アレがない、コレがない…探しものばかりの人が今すぐ実践すべきこと

何を隠そう私も片づけられない女だった

「今でこそ『整理収納アドバイザー』という肩書を持っている私ですが、何を隠そう大人になるまで相当な“片づけられない女”でした。そうです、私もつい最近まで、人生の多くの時間を“探す”ことに費やしていたのです。

でも、それは探さなくなって気づいたこと。その頃は探し続けている状態が当たり前だったので、時間をムダにしている、部屋が散らかっていることが自分の人生にとってマイナスであるとは思いもしませんでした。

例えば高校時代。私は電車に乗って絵の勉強をするために芸術系の学校に通っていました。当然、行き帰りは定期券を使って通学をするのですが、これが朝家を出るときに見当たらない！　家の中のどこかに絶対にあるはずなのに、どこを探してもないんです。しょうがないので、泣く泣くお小遣いから往復700円を自腹で払って学校へ。

ところが、帰宅してみると、部屋の机の上など、かなり目立つ場所にあるんです。おかしいな、ここは絶対に見たはずなのに……。なぜ朝は見つからなかったのだろうと不思議に思いつつ、『見つかったからまぁいいか』と安堵して一件落着。そんなことを繰り返し、結局大学生になってからも定期紛失事件を度々起こしました。そのせいで、トータルで確実に数万円はムダにしたのではないかと思います。

人間とは不思議なもので、慌て過ぎると神経の伝達がうまくいかなくなり、目の前に物があってもそれを「ある」と認識して「手に取る」ことができなくなるそうです。その頃の私は定期券だけでなく、絵具箱の中で必要な色のチューブが見つからない、カバンの中から鍵が見つからないということがしょっちゅうありました。『物がいっぱいで見渡せない→焦る→一層見つからない』というスパイラルに陥っていたのだと思います」

リスクヘッジのために物をさらに増やすのは逆効果

「さて、物が多すぎて見つからない場合、あなたはどんな方法で解決しますか？　普通は、物を減らして探しやすい状態にすればいいと考えるでしょう。

しかし、私がそのとき取ったのは、それとは真逆の行動でした。複数個持てる物に関しては、なんと“多く持つ”ことで、もしものときに対応しようと考えたのです！　絵の具が見つからなければ、すぐに同じ色をもうひとつ買い足し。鍵は紛失することを見越して、入居したらすぐに合い鍵を複数本作成。“保険として”実家や恋人に渡しておくことに。

でも、物というのは増えれば増えるほど愛着が減り、大切にしなくなるもの。ですから、私の行動はまったくの逆効果でした。当時の私は、物を持ち過ぎて自分にとって大切なものが何かさえ見えなくなっていたのです。

日々探し物が多い人は、まずは持ち物の数を減らすことが、解決への近道！　潔く物を捨てて、持たない、探さない心地よさを体感することから始めるのが正解です」

今度こそ片づけたいあなたへ…

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吉川永里子（よしかわ・えりこ）
収納スタイリスト®／Room&me代表／整理収納アドバイザー1級認定講師
「片づけはストレスフリーに暮らす近道」をモットーに、女性目線・ワーキングマザー目線で整理収納やライフスタイル提案を行う。メディアでのアドバイス以外に、個人のお客様のお宅へも積極的に伺っている。講演・セミナー・ワークショップなどでは、テンポのいい分かりやすい言葉で片づけについてレクチャー。『Como特別編集 吉川永里子のクローゼット収納―衣替え必要なし！』『元 「片づけられない女」の幸せの引き寄せ方 片付け道』（ともに主婦の友社）など著書多数。プライベートでは夫と2人の息子と52平米の賃貸マンションで暮らす。
http://www.roomandme.net

取材・文／栗田瑞穂

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