塀に囲まれたテラスと広いお風呂を最優先した子どもが走り回れる家
【永田さん宅(熊本県) 】
コンパクトな住まいでランニングコストも節約
「子どもたちが走り回れる家にしたかった」という永田さんのお宅。玄関を兼ねた広い土間を介して、LDKと広いテラスがつながる、光と風をたっぷりとり込める住まいです。「近隣の目を気にせず活用できるテラスと、家族みんなで入れる広々としたお風呂は、どうしても実現させたかったプランです」と、ご夫妻が重視した部分には予算をしっかりとかけました。一方、玄関を独立させずに土間と一体化したり、部屋数を少なくしてオープンな間取りにするなど、永田さん夫妻の要望がそのままコストダウンにつながった部分も。建物をコンパクトにしたことで、光熱費を抑えながら快適に暮らせるそうです。
1階 間取り図
「じつは主人の父が左官職人なので、壁のしっくい塗りは父の指導のもと、家族も手伝って仕上げました。難しい箇所は本職の父が、簡単な部分は自分たちで塗りましたが、これは施工費の節約になったと思います。設計会社も、DIYはどんどんやって、と協力的だったのが助かりました」
家じゅうの壁は、光をやさしく反射させる白い土佐しっくい塗り。コテあとが残るナチュラルな仕上がりです。
「浴槽の大きい広いお風呂が欲しいと思い、ユニットではなくコストをかけても在来工法のものに。今は家族一緒に入れるので、光熱費が節約できています(笑)」
以前の家のお風呂が狭かったので、大きなお風呂を希望。窓を開けるとバスコート(デッキ)に出られて露天風呂気分に。
「素足に気持ちがいい無垢材のフローリングにしたいと希望。コスト調整のために“節あり”が提案され、気持ちよさには影響がないと聞いて、これを選択しました」
床には歩行感のいい杉の無垢材フローリングを採用。さらっとした肌ざわりが夏は気持ちがいいのだそう。
「コストがかかっても、部屋数をふやすよりも、気兼ねなく洗濯物を干したり、プールやバーベキューを楽しめる庭が欲しくて、塀で囲まれたテラスをつくってもらいました」
住宅密集地でプライバシーを保ちながら室内に光と風をとり込み、庭を生かすために、テラスを塀で囲みました。
「以前の家の玄関は、暗くて狭くて特有のにおいがあって……。そういう玄関にしたくなかったので、収納だけつくり、あえてオープンに。それが節約にもなったようです」
玄関ドアをつけたのは、広い土間の一角。シューズクローゼットで靴の脱ぎ履きをするので、土間はいつもすっきり。
「設計会社の施工例を見たときに、キッチンはこれがいい!とお願いしました。料理を作る、食べる、くつろぐ、がここを中心にできて、家族も手伝えるように広くしました」
設備はシンプルにしてできるだけコストを抑えつつ、家族でオープンカフェ気分を味わえる、木製カウンターの大きなキッチンに。
「土間とテラスをひと続きの空間にしたくて、フルオープンのフォールディングドアを高いけれど採用しました。スライド式の網戸も高いけれど奮発しました」
フォールディングドアを開けると、土間とテラスが1つの大きな部屋のように。
フォールディングドアに付随して網戸も高価。「壊さないようにね」と設計者から言われたそうですが、フルオープンの気持ちよさを楽しむために採用。
「住まいがコンパクトなのでリビング・ダイニングは分けず、食べたりくつろいだりするスペースを兼ねたつくりに。このコンパクトさも冷暖房が行き渡る理由のひとつです」
アトリエSORAオリジナルの畳スツールで、子どもたちはごはんを食べたり、ごろんとくつろいだりしているそうです。
「1階も2階もオープンな間取りなので、夏と冬の冷暖房効率を上げるためにポリカーボネートの引き戸をつけました。おかげでエアコンは各フロアに1台ずつだけで十分です!」
上部があいているデザインは、アトリエSORAの事務所の引き戸を見て決定。
エアコンは1階のLDKと2階の寝室に1台ずつ。真夏や真冬でも光熱費は月に1万円ほどでおさまるそう。
「子どもが小さいうちは広々と使い、大きくなったら家具などで仕切ればいいと思って、つくり込まない設計に。これもコストの節約につながったと思います」
できるだけ壁をつくらず、光と風をとり込めるようにした子ども部屋。将来は間仕切り家具で仕切る予定。
「2階にもトイレを設けるかどうかとても悩みました。それまでの暮らしを振り返ってみて、わが家にはなくても大丈夫だと判断し、省略しました。実際、それほど困らないし、コストも節約できたと思います」
“お金のかけどころ&省きどころ”の本音 Q&A
Q.予算内におさめつつ満足度の高い住まいをつくるために、施主がすべきことは何だと思いますか?
A.自分たちの要望をしっかり話し合い、それを設計士さんに伝えること。本当にとり入れたいものと不要なものをはっきりさせておくこと。とにかく何度も事務所に足を運んで、よく話し合いました。打ち合わせの場で夫婦の意見が分かれたときは、設計士さんが二人の要望をすり合わせる案を出してくれたこともありました。
Q.思っていた以上にコストがかかると思ったものは何ですか?
A.火災保険は、思っていた以上に高かったです。
Q.「ケチらなければよかった」または「お金をかけなくてもよかった」と思う部分はありますか?
A.しいていえば、バスコートの屋根兼バルコニーの床は、こんなにカッコいい素材でなくて、もう少し安いものでもよかったかな……と(笑)。でも、外観の個性にもなるし、バスコートが明るいので気に入っています。
NAGATA HOUSE_DATA
家族構成: 夫婦+子ども2人
敷地面積 :185.17㎡(56.01坪)
建築面積 :48.85㎡(14.78坪)
延べ床面積 :81.14㎡(24.54坪) 1F40.57㎡+2F40.57㎡
構造・工法:木造2階建て(軸組み工法)
工期: 2011年7月〜10月
本体工事費: 約1630万円
3.3㎡単価:約66万円
設計: アトリエSORA TEL 03-6435-4517
www.soramado.com
施工: SORAデザイン TEL 096-288-9801
www.soradesign.biz
★おしゃれな注文住宅を建てたい方はこちら
★注文住宅のカタログを取り寄せたい方はこちら
こちらの記事もおすすめ!
2016.08.30 部材・内装材編工事の項目をできるだけ減らすひと口に新築工事といっても、そこにかかわる職人さんの種類はさまざま。ベースとなる木工事をする大工さんのほかに、外装では板金屋さん、サイディング屋さん、左官屋さん、タイル屋さんなど...続きを見る
2015.12.09コストを抑えたくても、すべてをダウンするのはNG。まずは削っても支障のない部分とOKな部分をはっきりさせることが肝心です。少ない予算でもこだわりを実現して、納得のわが家をつくりましょう。 耐久性にかかわる部分のコストカット...続きを見る
2016.08.30これだけはおさえたい! コストダウンのポイント心地よい住まいを賢く無駄なく建てる!限られた予算内で理想の家をつくるためには、効果的なコストダウンの工夫が欠かせません。ローコスト住宅に積極的にとり組む建築家のかたがたに、プロ...続きを見る
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます