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コラム

夕飯が決まらない!脳の「決断疲れ」を救う“ファミレス5秒”の法則

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夕飯が決まらない!脳の「決断疲れ」を救う“ファミレス5秒”の法則

夕方、スーパーで夕飯の食材を前に「何を作ればいいんだっけ…」と固まってしまう。そんな瞬間、ありませんか?

朝のお弁当作りから始まり、仕事の段取り、家族の予定管理まで──私たちは一日中、無意識のうちに“選ぶ・判断する”を繰り返しています。気づいたころには脳はすっかり疲れきって、夕飯を決めるだけなのにエネルギーが残っていない…。それは決して要領が悪いわけではなく、むしろ毎日フル稼働でがんばっている証拠です。

そんな「決断疲れ」をどう減らすか。そのヒントをくれたのが、行動経済学博士である相良奈美香氏の著書に書かれていた、とてもシンプルで使いやすい考え方でした。

私たちは、2つの思考モードで「決めている」

人間は1日に3万5000回の意思決定をしているとされています。寝ている時間を除けば1〜2秒に1回の頻度で、なんらかの意思決定をしているということです。

「さすがにそれは多すぎる」と思うかもしれませんが、私たちはどんなに小さな行動でも、動く前には意思決定をしています。

たとえば歯磨きなら、歯を磨くと決める、自分の歯ブラシを手にとると決める、どの歯から磨き始めるか決める、次はこの歯を磨くと決める……。自分では「ぼんやり歯磨きしている」と思っているかもしれませんが、脳の中ではすさまじいスピードで意思決定がなされ、それを実行しているのです。

といっても、いちいち意識していないことがほとんどです。多くの決断は非常に素早く、感覚的に決められています。このような速い意思決定を「システム1」といいます。

これとは別に、私たちはもう1つの思考モード「システム2」ももっています。こちらは意識的で、論理的で、時間がかかる思考です(システム1は「速いから1番」、システム2は「ゆっくりだから2番」と覚えてください)。私たちはこの2つを場面ごとに無意識に使い分けながら1日に3万5000回の意思決定を乗り越えているというわけです。

では、ちょっと実験してみましょう。下にある漢字を、文字ではなく、その色で答えてください。後にも同様の問題がありますから、パッと見た瞬間にお答えください。

上の「黒」「白」は難なく答えられたのではないでしょうか。ここで使っているのが「システム1」です。いちいち「この色はなんだっけ?」などとは考えずに答えられますよね。

では、次の問題はいかがでしょうか。

先ほどの「黒」「白」の勢いで上の文字を読んでしまうと、システム1で「青」「赤」と言ってしまうかもしれません。しかしいったん立ち止まり、「ここで答えるのは文字自体の色の名前だった!ってことは、左は黒で、右は黄色だ」と考えたはずです。これがシステム2への切り替えなのです。

このように、システム2に切り替えるとき、少しめんどうくささを感じませんでしたか?システム1で決断するのはものすごくラクで気持ちがいいのですが、システム2で慎重に考えるのは誰でも小さな苦痛を感じてしまいます。多くの場合、人はシステム2を使って物事を決めるより、システム1でパッと判断したいのです。

一方で、私たちは、人に何かを説明するときには、相手にシステム2を要求してしまいがちです。「情報は多いほうがいい」「論理的に説明すべきだ」と考える傾向があり、プレゼンや商品情報の説明でも、クライアントや顧客に長々と説明しがちです。でも、相手はシステム2を使わないと理解できないので苦痛となります。

私たちが思っている以上に、人はシステム1を使って決断したいのです。ですから、商品説明など、システム2の決断が合理的だろうというときも、いかにシステム1で「これがよさそうだ!」と思ってもらえるかが重要です。もちろん相手に納得してもらうには、論理の裏づけも欠かせません。要所を抑えて簡潔に伝えるのが効果的です。

「システム1」だけで乗り切りたいからファミレスでの注文は5秒で決める

私たちの日ごろの意思決定は、自覚している以上にシステム1を使っています。朝の身支度も、通勤ルートも、電話やメールでの挨拶も、住所を聞かれたときも、コンビニでいつものパンを買うときも、全部システム1を使います。最初のころはシステム2であれこれ考えて進めていたタスクでも、慣れるとシステム1だけで終わらせることもしばしばです

ただし、間違うこともあります。「ちゃんと考えた?」と言われて「しまった!」と思うのは、本来システム2を使うべき場面でシステム1を使ってしまったときです。それはだいたいこんな場面です。

●疲れているとき……考えるのがめんどうになり、即決してしまいます
●情報量が多すぎるとき……情報や選択肢が多いと、つい「おまかせで」になりがち
●時間がないとき……あわてていると「はい、じゃあそれで!」と言ってしまいます
●やる気がないとき……興味が湧かず「なんでもいいや」と言ってしまう
●習慣になっているとき……「あ、いつものこれね」と安易な判断をしがちです
●気力や意志の力がないとき……ちょっとした誘惑にすぐに負けてしまいます

こういうときにシステム1で決断すると、たいていは後悔する結果になります。私も先日、疲れていたせいか、仕事帰りのコンビニでスナック菓子を買ってしまいました。あ~、やっちゃった……。ということで、本来はシステム2を使うべきときにシステム1が優位になってしまわないようにすることは、私にとっても大きなテーマです。

夕食で使う食器は、白いプレート1枚だけにする

必要なときにちゃんとシステム2を稼働させるためには、システム2のムダづかいをしないことが大切です。システム2で考えることが多い日は脳が疲れてしまうのか、うっかりシステム1、特にアフェクトで決断しそうになるのです。そうならないためにも、システム1で処理できるものを増やしてシステム2を温存します。

たとえば私は、家で使う食器はたいてい同じ白いプレート1枚です。いちいち「これは平皿、これは小鉢」などと選んだりせず、いつも同じ食器を使います。洗うのもラクチンです。着る服もスティーブ・ジョブズほどではありませんが、Aパターン、Bパターン、Cパターンなどと事前に決めています。ただ最近私はメディアに出演するようになり、着るもののバリエーションを増やさなくてはいけないのが悩みの種ですが……。

食べ物もそうです。私の場合、ファミレスで5秒で注文が決まります。「メニューを開いて、最初に目に入ったヘルシーでおいしそうな料理」をアフェクト・ヒューリスティックで選ぶと決めているからです。

アフェクト・ヒューリスティックは直感的ではあるものの、過去の経験や自分の好みはたいてい反映させているので失敗も少ないのです

全部をしっかり見ていると、その日の気分や体調で、脂っこいものやボリュームたっぷりのものを注文してしまったりするのです。それに、あれこれ迷って悩んだあげく注文したものがおいしくなかったら、アフェクトが下がってしまいますよね。

同席している夫はたいていシステム2で選ぶので、決まるまでに5分ほどかかるのですが、食事が始まると5秒の私も5分の夫も食事の幸福度はさほど変わりません

それどころか、食事やアートなど感覚で楽しむものは、深く考えずにシステム1で選んだほうが満足度は高いという研究結果もあるのです。そのうえ、夫がメニューを選んでいる間、私のシステム2は、少しだけ温存できるのです。

〈システム1とシステム2〉
人間は意思決定するときに、2つの情報処理システムを使い分けている。システム1は素早く直感的な判断に、システム2は注意深く考えたり分析したり時間をかけた判断に使用する。この2つのシステムは無意識のうちに連動して、ほぼ同時に動いているので、時と場合でその強さが変わってくる。また、人によっても違い、システム1とシステム2のどちらが強く働くかの傾向が異なる。

〈アフェクト・ヒューリスティック〉
アフェクト・ヒューリスティックとは淡い感情による決断のことを指す。心理学者ポール・スロビックが提唱したもので、人が情報を受け取ったときに、それに対する感情がポジティブなら、ほぼ考えずに「やる」「選ぶ」「買う」という決断をし、ネガティブなら「やめる」「買わない」という選択をすることが多い。ちなみに、私、相良は大学院時代にスロビックの研究室でさまざまな助言を受けていた。

■著者略歴:相良奈美香(さがら・なみか)
行動経済学博士・コンサルタント。日本とマレーシアで育ち、オレゴン大学で行動経済学の修士・博士号を取得後、デューク大学でポスドクを務める。起業しサガラ・コンサルティングを設立、世界最大級のマーケリサーチの会社Ipsos行動科学センター代表などを経て、現在は米国を拠点に、ビヘイビアル・サイエンス・グループ代表として、世界各国で幅広い業界の企業に行動経済学を提供。著書『行動経済学が最強の学問である』は16万部超のベストセラーとなり、日本における行動経済学の認知度を広げる大きなきっかけとなった。

最注目の学問「行動経済学」で、
「幸せになれる仕組みづくり」!

本人も意識してないレベルの「淡い感情」をポジティブに傾けて、ストレス無く人生が好転していく“幸せになる仕組み”をまとめた一冊。「ファミレスは5秒で決める」「大きな決断はサイコロで決める」など、努力に頼らず行動が変わるコツが満載です!

『ポジティブアフェクトで幸せの仕組み化』相良奈美香:著 1,760円/主婦の友社

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