料理家やスタイリスト、カフェのオーナー、手芸作家……「好き」を生かしながら活躍する、あの人の普段のライフスタイルをたっぷりと見せていただく、この連載。
お一人目は、食を中心にインテリアの分野でもスタイリストとして活躍しながら、吉祥寺でナチュラルフードのカフェ&デリ「ORIDO.」を営む、江口恵子さん。プライベートでは、中学生から小学生までの3人のお子さんのお母さんでもあります。
食を大切にすると、家族みんなの暮らしが整う
「食」を仕事にする江口さん。子育ての上でも、日々の優先順位として、「食」と「睡眠」は譲れないといいます。
「毎日、手作りのごはんを食べ、睡眠時間をしっかり取ると、子どもたちの健康を守ることができる。病気も少なくなり、私も夫も仕事がスムーズにできる。毎日の食を大切にすると、パズルのピースがはまるように家族の暮らしが整って、回っていくようになるんです」
だから平日は、“仕事からの帰宅後30分以内に『いただきます』と食卓につくようにする”のが、江口さんの変わらないルールに。「子どもたちの就寝の時間を考えると、そのぐらいのスピード感で準備しないとならなくて」
時間を決めているからこそ、「平日はメニューに凝らない」という江口さん。品目数にはこだわらず、素材をシンプルな味つけで食べる、すぐにできるメニューで。野菜の蒸し煮、具だくさんの味噌汁、生野菜のサラダなど、パッとできるものが並びます。梅干しや佃煮、漬け物などのごはんのお供は、家族みんなのお楽しみ。いつも数種類は食卓に並びます。
その代わり、休日は作ること、食べることをもっと丁寧に楽しむ時間に。「まだ明るいうちから、ゆっくりごはんを作ることもあります。ワインを片手に、揚げたてのものをパクッとする幸せといったら、最高! これも、子どもが大きくなってきたから、できるようになってきたんでしょうね」
毎日の食を支える、大事な道具たち
手早くおいしく、を心がけている江口さんの毎日のごはん作り。どんな秘訣があるのでしょうか? まずは、日々の料理に大活躍しているという、よき相棒の調理道具を見せていただきました。
無印良品に行くと、ついまとめ買いしてしまうというのが、長さ19㎝の「シリコーンジャムスプーン」(下)。「調味料やジャムなどを瓶からすくう時はもちろん、混ぜたり、とにかく使えるので、仕事でも家でも何本も使っています」
オクソーの「アングルドメジャーカップ(ミニ)」(上)は、「目盛りが上から見えて量れるのが、とにかく便利。大さじ1から4まで一気に量れるのも便利で、愛用しています」
毎日、「加熱した野菜と生野菜、両方を食卓に並べるようにしている」という江口さんにとって、オクソーの「サラダスピナー」も必需品。「ノブを押すのにも力がいらず、さすがのユニバーサルデザイン。子どもにも扱いやすいようで、この前、私の留守中に、長男が自分で野菜を水切りして、塩とオリーブオイルでサラダを作って食べていました(笑)」
マイクロプレイン社の「ゼスターグレーター」(下)は、「しょうがやにんにくが手早くおろせます。鋭い切れ味なのに、刃が尖っていなくて、洗う時の扱いやすさももいい」
レズレー社の「アジャスタブル スライサー ハンドガード付」(上)は、食材をスライスできる厚みが0.3㎜単位で11段階も調整できるスライサー。
「脚のカーブの部分がミソ。サラダスピナーの縁に引っかければ、安定してスライスできて、スピナーに直接入れられるので時短にもなるんです」
ざるもいろいろな種類が。特に使うのが、米とぎざると丸ざる。「盆ざるは、切った食材やゆでた野菜の一時置きにしたり、天ぷらなどを食卓にサーブしたりと、あるととても便利な形ですよ」
段取りの工夫で、スムーズに調理
短い時間でのごはん作りの秘訣は、もしや作り置き? 「いいえ、その日食べたいものを作りたいから、基本的に作り置きはしません」と江口さん。
実際の調理の様子を見せていただくと……。
食材を切って、調理にとりかかる前に、コンロ下の左右の引き出しを開け始めました。左右の引き出しに囲まれ、コンロがコックピットさながらの状態に。「ものぐさでしょう?」と笑う江口さんですが、引き出しに一目瞭然に並ぶ調味料や乾物などの素材に迷いなく手が伸び、もの探しのムダな時間が一切ありません。
作り置きはしない代わりに、素材の下ごしらえは大切に。「肉は酒としょうゆを少量(鶏もも肉1枚なら、酒大さじ1/2、しょうゆ大さじ1/2程度)まぶして冷凍しておきます。こうするとまみが増して、そのあとの調理にも影響がない程度に味がつき、調理しやすくなりますよ」
魚も、味噌とみりん、日本酒で味噌漬けにするなど、簡単に味をつけて冷凍保存。「味も決まりますし、持ちもよくなります」。余った野菜も、調理のついでに切っておきます。「調理の流れでできるので、無理がないし、余りも早く使いきれますよね」
キッチンを無理なくきれいに保つ、マイルール
取材中も、気づくと、江口さんは調理台やシンクの周りを布巾で拭いていました。調理が進むにつれ、どんどんピカピカになっていきます。「若いころ、有元葉子さんの料理撮影のスタイリストのアシスタントとしてに何度か伺ったことがあって、その時に感銘を受けたのが、こまめにふきんで拭く有元さんの姿。地に足のついた、日々のきれいはこうやって作られるものだと、教わった気がして。それから、私も実践するようになりました」
また、洗いかごに器がごちゃっと置かれている様子もありません。「うちは食洗機がメインなので量が少ないということもあるのですが、洗ったそばから拭いて、かごは一時的に置くだけ。だからこれ、水切りかごではなく、収納用の浅いかごなんです」。水受け皿も必要ないので、さっと持ち上げて下を拭ける状態に。
シンク周りもすっきりまとめ、いかにも掃除しやすそう。「最近気に入っているのが、100均の「キャッチフック」という、テープ式のくっつくスポンジ置き。スポンジ受けを設けると、それ自体の掃除が必要になりますからね。最近お気に入りで使っている、3Mの『スコッチ・ブライトTMスクラブドットスポンジ』もピタッとくっついて、使いやすいんです」
作る、きれいにするがスムーズに流れる、いい循環
道具、収納、習慣……いくつもの江口さんらしさがつながって、スムーズに出来上がる、日々のおいしいごはん。そして、片付けも流れるように終わり、「作る」と「きれいにする」のの繰り返しが、なんとも心地よく循環していました。このリズムのよさが、江口家の健やかさを育み、暮らしを支えているのですね。
2018.10.26料理家やスタイリスト、カフェのオーナー、手芸作家……「好き」を生かしながら活躍する、あの人の普段のライフスタイルは? ご自宅にお伺いして、日々の暮らしをのぞかせていただく新企画。お一人目は、食を中心にインテリアの分野でもス...続きを見る
江口恵子さん
フードスタイリスト。雑誌や書籍、広告などで活躍。東京・吉祥寺にある「ORIDO.(オリド)」のオーナーでもあり、カフェや料理教室、ケータリングなども行う。著書に『普段使いの器は5つでじゅうぶん。』(ジービー)など。中2の長女、小5の長男、小2の次女の3児の母でもある。http://www.orido.life
取材・まとめ:秋山香織
撮影:土屋哲朗(主婦の友社写真課)
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