コラム

ガン発症率の増加も!?遺伝子組み換え食品に潜む落とし穴

更新日：2017.10.28

スーパーで買い物をするときに、「遺伝子組み換えでない」という表示をご覧になったことはありませんか？
「“遺伝子組み換えでない”ことを訴える表示があるということは、“遺伝子組み換え”は身体によくないのかな」という印象を持っている人は多いはず。でも、実際に何が問題なのかと言われると難しいですよね。
そこで今回は、“遺伝子組み換え食品”の問題と、日常生活での対処法をお伝えしたいと思います。

遺伝子組み換えは品種改良とはまったく異なる技術

良い性質を持った同士の植物を掛け合わせて、優れた作物を作るという品種改良は、これまでも行われてきました。

しかし、遺伝子組み換えは、特定の遺伝子を取り出し、それを直接別の植物の遺伝子に組み入れるという技術なので、根本的に違うものです。
その目的も、虫食いを防いだり、雑草を取る手間を省くというような農家にとっての利点はあれど、消費者には直接利点がないもの。
さらに、遺伝子組み換えにはさまざまな問題が指摘されています。

安全性に疑問の声

遺伝子組み換え作物は、健康に影響がないということで世界中で広く栽培されていますが、その安全性には多くの疑問の声が上がっています。

実際にいくつかの研究では、遺伝子組み換え作物を食べさせたラットのガン発症率が上がったり、成長阻害が見られたり、死亡率も上がるなどの恐ろしい結果が得られています。
このように、現時点では完全に安全性が保証されているとは言いがたい状況にあります。

こんなに身近にある遺伝子組み換え食品

「でも、遺伝子組み換え作物なんて、どこに使われてるの？」と思われる方も多いでしょう。
それもそのはず、日本の食品表示の基準では、遺伝子組み換え作物を使っていても、表示しなくてもよいようなルールが存在します。

加工食品の場合、遺伝子組み換え原料の使用が原材料の上位3番目までで、かつ全体重量の5%以上でないと表示しなくてもよいのです。
簡単に言うと、「原材料」の欄の4番目以降の原材料については、遺伝子組み換えであっても表示する必要がないのです。

国内では作られていないが、大量に輸入されている

現時点では、国内での遺伝子組み換え作物の栽培はされていません（研究用を除く）。
しかし、日本は年間2000万トンの遺伝子組み換え作物を輸入しています。これはお米の生産量の2倍以上の量です。

ちなみに、日本の大豆は93.2%が輸入で、そのうち65.4%がアメリカから。トウモロコシは100%が輸入（国内生産量が少なすぎて統計上は0%になる）で、そのうち83.6%がアメリカからです。
そして、2008年のアメリカ農務省の発表では、作付面積で大豆の92%、トウモロコシの80%が遺伝子組み換え作物となっています。
日本国内の大豆やトウモロコシに占める遺伝子組み換えの割合は、推して知るべしです。

大量の遺伝子組み換え作物はどこに使われる？

では一体、そんな大量の遺伝子組み換え作物をどこに使っているかというと、多くが加工品や家畜用の飼料として消費されています。

先ほど、表示の抜け穴のお話をしましたが、その中でも食用油や醤油などは完成品に遺伝子組み換え作物のDNAやたんぱく質が検出されないので、いくら使っていても表示義務がありません。

食品添加物も、加工品に使われるときは他の原材料に比べて使われる量が少ないので、表示しなくてよいですし、店頭に並んでいる肉や牛乳が、どんなエサで育てられた家畜から作られたものなのかはわかりません。

どうすれば遺伝子組み換え食品の摂取を減らせるか

では、どうすれば日常の食生活の中で遺伝子組み換え食品の摂取を減らすことができるのでしょうか。

それにはまず、原料が国産のものを選ぶことです。
国内では遺伝子組み換え作物は栽培されていませんので、原料に「国産」とあれば遺伝子組み換えの心配はありません。日本の生産者を応援することにもつながりますし、地球環境にも優しい選択です。

次に気をつけたいのが畜産品です。海外では、肉や牛乳などのパッケージには「どんなエサで育てられたのか」という表示が多く見られますが、残念ながら日本ではまだそのような表示が一般的ではありません。
そこでオススメしたいのが、宅配サービスの利用です。自宅まで食品を届けてくれる宅配サービスの会社の多くは、安心安全を追求している会社が多いので、非遺伝子組換えのエサで育てられた動物の肉や牛乳が簡単に手に入ります。

食品添加物も、多くが遺伝子組み換えの作物から合成されています。加工品の摂取を減らしたり、昔ながらの伝統的な製法で作られたものを選ぶなど、なるべく添加物の少ない生活をすることも大切です。

いかがだったでしょうか。
遺伝子組み換えの問題は、なかなか情報が公開されていないこともあり、一般的にはあまり深く知られていませんが、さまざまな事実を知っていくとその問題の大きさに気付かされます。
日本もTPPの影響で、これから遺伝子組み換えに関する決まりごとも変わってくる可能性がありますので、ニュースを注意深く確認するようにしたいものです。

＜プロフィール＞
圓尾和紀
管理栄養士。ファスティングマイスター。総合病院勤務を経て、「予防医療に貢献したい」という思いから独立。「日本人には和食が一番身体に合っている」との考えから、和食の良さを伝える活動をしている。また、現代は”不自然な食べもの”にあふれており、定期的に身体をリセットする目的から、ファスティングを取り入れた生活の提案を行う。テレビや雑誌等のメディアにも出演。

写真© 00132 - Fotolia.com

Profile圓尾和紀

管理栄養士。ファスティングマイスター。総合病院勤務を経て、「予防医療に貢献したい」という思いから独立。「日本人には和食が一番身体に合っている」との考えから、和食の良さを伝える活動をしている。また、現代は”不自然な食べもの”にあふれており、定期的に身体をリセットする目的から、ファスティングを取り入れた生活の提案を行う。テレビや雑誌等のメディアにも出演。

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