「夫が給与振込口座を握っているため、食費や日用品などふだんの買い物は私が立てかえて、あとでまとめてかかった分のお金をもらいます。ざっくりでも、あらかじめ生活費としてくれたらいいのに……。夫のやり方は“経済的DV”に近いように感じています」と話すYさん(44才・息子13才・娘11才)。
ご主人とは「お金に関する意見が合わず、話し合いはいつも平行線。しまいには険悪な雰囲気になるので、いまは何もしないし、言わないようにしています」とため息をつかれます。
“経済的DV”、これはダンナさんががっちり家計を握っている場合のキーワードになるかもしれません。
そもそも家計は妻が握っても、夫が握っても、どちらでもOK。きちんと管理できるほうがすればよいのです。ただ夫が管理すると、エクセルなどできっちりとつけすぎて、のびしろ(余裕部分)がないことがあります。
夫がやりすぎて、妻にも合理的な行動を求めすぎてしまう。そうすると奥さんは行き詰まります。全部理詰めで、「これに合わせて暮らせば問題ないから」、「計算上できるはずだから」っていうんだけど、家計は会社ではないので、やっぱりのびしろ部分は残してあげないときついですよね。夫が管理すると、意外とそういうことになりがちなんです。
理詰めには理詰めが一番!紙に書くことも重要
こんなお宅もありました。食費は毎月5万円でやれとご主人からいわれて、奥さんは単価の安いものを探すなど、がんばって節約していたけれど、そのお宅は食べ盛りの男の子が3人もいて、どんなに頑張っても5万円ではおさまりきらない。それなのに「何に使ってるんだ!おまえの管理の仕方が悪い!」なんて、奥さんはご主人に問い詰められて……。
こういう場合は、とにかく奥さんが使った明細をきっちりと記録して、もらった金額では足りないことを証明していくしかありません。まずは、それが第一歩。「何に使っているの?」といわれて答えられないと、その先に進めないからです。奥さんは、その時々に買った品物と値段はもちろん、これは底値に近いとか特売で買ったとか、いくつか買った理由もつけて夫に見せる。そしてこれ以上やると、私は息が詰まる、と早めに言うことですね。
1カ月だけ記録しても信頼されないようなら、3カ月は続けて……。3カ月記録すれば平均値がとれます。そうして、「これは相当我慢しました、でも足りません」ときちんと説明するといいですよね。
一方で、なぜ5万円でやらないといけないのか? ということも奥さんのほうからダンナさんに問いただしてほしいですね。夫もそれで使っていなければいいけれど、食費は5万円、夫のこづかいも5万円だとすると、これはほんとうに経済的DVですので、その場合は、妻と同じように夫にも明細を出してもらう。ちゃんと内訳を教えてくださいということですね。
それでも、なかにはほんとうに収入が少なくて、ぎっちぎちのお宅もありますから、そういう場合は、やっぱり奥さんが働いて収入を増やすということも考えていくしかないと思います。
いずれにしても夫婦のお金の問題というのは、言葉の応酬だけでは、ほとんど解決しません。会話で解決できるのは、ほんとうに仲のいい一部の夫婦だけ。だから紙に書き出して、お互いの支出内容を確認し合うのがいちばんなのです。
<プロフィール>
畠中雅子/ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』(主婦の友社)、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』(KADOKAWA)など著書多数。
取材・文/池田純子
写真© Photographee.eu - Fotolia.com
ファイナンシャルプランナー
社会人の娘、大学生、高校生の息子の母。実体験に基づく的確なアドバイスに定評があり、多数のメディアで幅広く活躍している。『Como特別編集 子育て中でも貯金ゼロでも1000万円貯める10のルール』(主婦の友社)、コミックエッセイ『結婚したらすぐ考えるお金のこと』(KADOKAWA)など著書多数。
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