カエル好きの親友の後押しでカエル作家に
愛らしいカエルの人形やポストカード、雑貨などをひとつひとつ丁寧に手作りしている“カエル作家”のmichiカエルさん。親しみのあるキャラクターものの雑貨やお菓子レシピの投稿は暮らしニスタ読者の間でも大人気。そんなmichiカエルさんは子どもの頃からデザイナーになりたいという夢を持ち、物作りが大好きな少女だったそう。
「子どもの頃は、ファッションデザイナーになるのが夢で、着たいお洋服の絵を描いたり、リカちゃん人形のお洋服を自分で作ったりしていました。手芸が趣味で、洋服や帽子や小物を自分で作るお仕事をしたいなと思っていた時期もありましたね。デザイン画などを描くのも好きだったので、高校は美術専攻の高校で染色などを勉強してその後、京都のディスプレイ会社に就職。百貨店や専門店に置く商品ディスプレイを企画提案するお仕事をしていました」
出産を機に3~4年間勤務したディスプレイ会社を退社。子育てをしながら作っていた粘土の雑貨がきっかけで紙粘土教室を始めることに。
「もう20年前のことなんですが、赤ちゃんがお昼寝中に粘土のマグネットをよく作っていたんです。そのマグネットが友達の間で好評で、パートをしていた生協の方に『教室を開いてみない?』と声をかけられて紙粘土教室を始めることに。その教室は今はやっていないのですが、19年間も継続しました。
カエル作家になったのは、紙粘土教室を始めて1年後にカエル好きの友達にカエルをプレゼントしたことがきっかけ。下書きに書いた墨絵をたまたま友達が見て、『京都のあぶらとり紙の表紙に使わせてほしい!』と、そこの社長さんを紹介してくれたんです。あぶらとり紙のイラストとして初めて商品化したときは、嬉しかったですね」
カエル絵作家になってからは、デパートでのイベントに出演したり、東京で個展を開催したり、トントン拍子でいろんなオファーが舞い込んできたといいます。
「自分で売り込んだわけではなく、すべて口コミで広がっていったお仕事ばかり。いつの間にか、東京のカエルショップにカエルの雑貨を置かせてもらえるようになりましたし、京都の『鈴木松風堂』でも、ポストカードやカエルの人形を販売するようになりました。京都の『鈴木松風堂』さんは最近、哲学の道店をオープンして、9月には奈良にも出店するので、今は新ショップのカエルのオブジェと看板を制作中です。他にも全国の高島屋さんでイベントをさせていただいたり、人形の久月さんからぬいぐるみも発売したり。作家になったのも、商品を販売することになったのも、すべては偶然の出会いがきっかけなんです」
今ではカエル以外のお仕事も多数抱えていて、毎年、墨絵の語り絵カレンダーを100部発売。1枚1枚心を込めて制作する手書きの墨絵イラストが大人気で全国に大勢ファンがいるのだそう。
「墨絵の語り絵カレンダーは、『私が来年度版のカレンダーを作ります』と告知する前にお客様から『今年もそろそろですか?』と問い合わせがあります。表紙を入れて7枚のカレンダーで、100部作るのに丸2ヵ月かかるので、10月から12月はその制作に追われっぱなし。かなり大変ですけど、楽しみにされているファンの方が一人でもいるかぎり、毎年頑張って作り続けていきたいと思っています」
※写真上:大人向けの粘土教室をしていた際、見本作品として作ったミニチュア作品
※写真上から2番め:最初に販売されたカエルの語り絵。100種類以上あるそう
※写真上から3番めと4番め:立体のカエル作品
※写真下:1枚ずつ手塗りのカレンダーは毎年100部限定で販売
工作教室で地域の人たちとコミュニケーション!
現在、自宅で子ども工作教室と大人向けの工作教室を開催。この教室も口コミだけで、1クラスの定員4名が毎回満員なんだとか。
「教室を少人数制にしているのは、自宅の作業場で教えているということもありますが、それよりも物作りを楽しみながら一人一人と丁寧にコミュニケーションをとれる場にしたいからなんです。お子さんによっては、対話をすることが楽しみで通ってくださっている方もいますからね。これからも地域のコミュニケーションの場として続けていきたいです」
カエル作家として、工作の講師として多忙な毎日を送るmichiカエルさん。長男は社会人、長女は大学生と子供たちが大人に成長したからこそ、制作に没頭できる日々が送れるといいます。
「同じものを大量生産するよりも、世界にひとつしかない手作りの温もりが感じられる雑貨を作るのが大好きです。探せばどこかにありそうなものではなく、誰も見たことがないものを作りたいんですよね。販売用の商品を作る合間をぬって、趣味で暮らしニスタに投稿する作品を作っていますが、自分は『これはそんなに反響ないかな?』と思いもよらなかったものに“いいね!”という反応があるのが面白いです。ダントツ人気は、コピー用紙で作った紫陽花のアクセサリー。娘は手作りの“なんちゃってガムボールマシーン”を気にいっていて、学校でも使っているそうです。『みんなから欲しいって言われるので、大学の学祭で売ろうかな?』なんて言っていますね(笑)」
物作りをする母親を見て育った長女もモノ作りが大好き。大学でもファッションを専攻し、洋服作りやデザインを勉強中なんだとか。
「子どもの頃から娘と一緒にアクセサリー雑貨をよく作っていました。私が作ったカンザシなどのヘアアクセサリーはほとんど娘が愛用しています。アクセサリーの金具づけは、細かい作業で目が疲れるので、娘が手伝ってくれるので有り難いかぎり。サラリーマンの主人や息子は私の作品作りを一緒に手伝うということはないですが、文句ひとつ言わずに陰ながら応援してくれています」
※写真上:16年前から年賀状の写真用に手作りしている、その年の家族の姿。当時、ご主人の携帯はアンテナ付き!
※写真中央:その9年後、中学生になったお嬢さんは新体操の衣装で。
※写真下から2番め:暮らしニスタの投稿で一番人気が高かった紫陽花のアクセサリー
※写真下:こちらも人気の紫陽花のバッグ
娘とのエアロビクスタイムが健康の秘訣!
「1日が24時間で足りるように生きたい! 少しの時間でもボーッとしたい!」と笑うmichiカエルさんが大切にしている息抜きの時間はというと…。
「昨年から毎週日曜日に、何があっても娘とエアロビクスに行って、一緒にお風呂に入るという時間を作ることを心掛けています。普段は自宅の作業場でじっとしていることが多いので、体を動かす機会がまったくないですからね。“健康第一”をモットーにエアロビクスでストレス解消しています。あとハマっているのが、暮らしニスタに投稿しているスイーツ作り。うちは家の近所にコンビニひとつない田舎町なので、甘いものが食べたくなったら自分で作るしかなくて。白玉団子のポンデケージョはぜひ作って欲しいレシピなのでチェックして欲しいです」
暮らしニスタのテーマや課題に合わせて、物作りをするのもワクワクが止まらない楽しみのひとつだという。これからの夢を尋ねると、「物作りを通して、誰かのお役に立てることができればいいですね」とニッコリ。
「カエル作家としての物作りは、生活のためのお仕事というよりも、欲しいと求めて下さる方がいるので作り続けているという感じです。教室では近所の方々を対象に教えていますし、自分の物作りのレシピをもっとたくさんの方に活用して楽しんでもらうためにレシピを掲載した書籍などもいつか出せたらいいですね。普段から知り合いにパンダが好きな人がいれば、パンダの雑貨を作ってプレゼントしたり、誰かにプレゼントして喜んでもらうことが大好き。みんなから喜んでもらえて、愛される作品をこれからもずっと作り続けていきたいです」
※写真:昨年から新しく出来たキャラ=オバロボ(ペン画)。ブラックなこともつぶやく自由なおばちゃんロボット
取材・文/福田恵子
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