「発酵食品」と聞くと、体によく健康のために摂り入れたい食品というイメージがありますが、発酵食品が体にいい理由やどのように体に作用するのかは意外と知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで、発酵食品の様々な種類やおすすめレシピをご紹介しながら、管理栄養士さんに発酵食品がもたらす効果や適切な摂り方を聞きました。
発酵とは?発酵食品とは?
「発酵」とは、麹菌や乳酸菌といった微生物が、食材に含まれるデンプンや糖、タンパク質などを分解し、その食品の中で微生物自身が増えることを指します。
そんなふうにして変化した食品を「発酵食品」と呼び、健康に良い成分が増えていたり、増えた微生物そのものが体内で良い影響を及ぼしたりすることから、"発酵食品は体にいい"と言われています。
「発酵食品」はいつ誕生した?
世界最初の発酵食品は、紀元前5000年頃に牛乳から偶然にできたヨーグルトと言われており、 日本最古の発酵食品は、諸説ありますが「魚醤」(魚介類と塩で作られた液体調味料)だとされています。
偶然生まれた「発酵食品」。そのときから現在まで、日本を含む世界中で発酵を技術化する研究や工夫が重ねながら今に至る…「発酵食品」にはそんな長~い歴史があります。
「発酵の日」と「発酵食品の日」
8月5日は「発酵の日」。マルコメ株式会社(長野県長野市)が、『先人の知恵が詰まった発酵食品は、日本が世界に誇れる食文化です。その魅力を、子どもたちに、より多くの人たちに知ってもらいたい。』とう思いから、「はっ(8)こ(5)う」の語呂合わせで8月5日に制定したそうです。
さらに、8月8日は「発酵食品の日」。こちらは万田発酵株式会社(広島県尾道市)が1994年に制定し、『発酵(ハッコウ)の8と末広がりの八(ハチ)で発酵食品の無限の可能性を示す意味から8月8日になった』のだそうです。
このように記念日を設けたり、各メーカーなどが発酵食品をPRしたり、昨今の健康ブームの後押しもあったりして、発酵食品はより身近なものになってきました。
「発酵食品」にはどんなものがある?
発酵には微生物が関わっていますが、そこに関わる微生物は主に「細菌・酵母・カビ」の3種類。その中でもよく使われる発酵形式が「乳酸発酵」「アルコール発酵」「酢酸発酵」の3つで、"三大発酵"と呼ばれることもあります。
まずは、そんな微生物の種類をチェックしましょう。
発酵を促す微生物の種類
細菌
細菌には、ヨーグルトやキムチをつくる「乳酸菌」、大豆を発酵させる「納豆菌」、食酢をつくる「酢酸菌」など様々な種類があります。
酵母
パンを作る際の「イースト菌」や、酵母がブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解することで、ワインやビールなど(アルコール発酵)になります。酵母も様々な種類があり、食品によって異なる酵母が使われます。
馴染みが深い日本初の乳酸菌飲料「カルピス®」は、乳酸菌の一次発酵と酵母の二次発酵によって作られる発酵食品です。
カビ
日本酒、しょうゆ、味噌を作る「麹菌」や、チーズを作る「白カビ、青カビ」、カビ付け作業をする鰹節(本枯節)、「クモノスカビ」が穀物に作用して紹興酒などのお酒ができます。カビは有毒なものがほとんどですが、発酵に使われるカビには毒がありません。
日本酒や醬油、味噌などを作る工程で、その原料が発酵している状態を「もろみ」と言い、これらを濾して絞ったものが「清酒」と呼ばれるもので、残った固形分は「酒粕」となります。居酒屋の定番メニュー、きゅうりをつけて食べる"もろきゅう”は、「もろみ味噌」(豆麹や米麹、調味料からできた発酵食品で普通の味噌とは違うもの)が使われていますね。
主な発酵食品一覧
発酵食品は主に【豆類、魚介類、肉類、乳製品、野菜・果物、穀類】の6種類に分けられ、この6種類にはどのような食品があるのかご紹介します。馴染みの深いものから珍しいものまでをピックアップしました。
豆類
納豆、しょうゆ、味噌、豆板醤、など。
魚介類
鰹節(本枯節)、塩辛、くさや、魚醤など。
肉類
生ハム、ドライソーセージ・セミドライソーセージ、サラミなど。
乳製品
チーズ、ヨーグルト、サワークリームなど。
発酵食品として知られるチーズですが、チーズという名前がついていても「乳酸菌が死んでいるもの」もあります。
チーズは大きく分けて「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」の2つの種類があり、ナチュラルチーズ(クリームチーズ、マスカルポーネ、モッツァレラチーズ、ラクレットチーズ、パルミジャーノ・レッジャーノ 、ゴルゴンゾーラなど)は、原料の乳に乳酸菌や酵素を加えて発酵・熟成させて作られたもの。
一方でプロセスチーズ(スライスチーズや個別包装タイプなど)は、ナチュラルチーズを混ぜて加熱・加工して作られたもので、加熱する過程で乳酸菌が死滅するため長期保存が可能になります。
それぞれ用途に合わせて使い分けたいですね。
野菜・果物
漬物(ぬか漬け・たくあん・らっきょう)、キムチ、ピクルスなど。
「野菜・果物」に分類されるキムチには、「発酵キムチ」と発酵していない「非発酵キムチ」があります。発酵キムチは、塩漬けした白菜などに薬味を加え、低温発酵させたもの。非発酵キムチはキムチ味の調味料に野菜を漬け込んだものです。
発酵キムチは乳酸発酵を行っているため乳酸菌が多く含まれており、腸内環境を整えて免疫力を高める効果があります。一方、非発酵キムチは"キムチ風浅漬け"なので乳酸菌は存在しません。ですが、野菜を食べることで食物繊維などは摂取することができます。
では、発酵と非発酵の見分け方はどうすればいいのでしょうか?それは、市販品キムチのパッケージに【キムチくんマーク】があるかどうか。
韓国産の熟成発酵キムチにのみ掲載が許可されているマークが、キムチくんマーク。このマークがついていれば、"韓国の伝統製法にて発酵したキムチ"である証明になります。
では、国産が全て非発酵キムチなのかというと、そうではありません。国産キムチにはキムチくんマークはついていませんが、パッケージの表示に「熟成発酵」「乳酸発酵」などと書かれていれば発酵キムチとなります。
次にキムチを買うときは、店頭でチェックしてみてくださいね。
穀類
パン、甘酒、米酢、黒酢、塩糀、米酢、黒酢、穀物酢、ビール、日本酒、みりん、焼酎など。
知っておくと便利!「これも発酵食品なの?」をピックアップしました
くず餅…関東で作られる「くず餅」は、小麦粉のデンプン質を発酵させて作る和菓子の中で唯一の発酵食品。関東風くず餅の代表的メーカーは「船橋屋」。
タバスコ…唐辛子と塩、酢を混ぜて酢酸発酵で作られたアメリカ発祥のソース。
チョコレート…カカオ豆を発酵させることでおいしいカカオ豆に変身。
ナタデココ…ココナッツ汁に酢酸菌の一種ナタ菌を加えて発酵させた、インドネシアの伝統的な発酵食品。
メンマ…主原料の麻竹を乳酸発酵させて作られる発酵食品。
明太子…韓国のキムチが原型となっている発酵食品。スケトウダラなどの卵巣(たらこ)を原料として塩漬け熟成し、その後、調味液に漬け込んで発酵させた食品。
柚子胡椒…青唐辛子と柚子の皮を塩で漬け込み、発酵させ味を馴染ませて完成する発酵食品。
日本&世界各国には「発酵食品」がたくさんあります
ぬか漬け、味噌、アンチョビ、最強の発酵食品と言っても過言ではない納豆など、これらは普段からなじみのある発酵食品ですが、発酵食品は世の中にたくさん存在しており、あまり聞きなじみのないものもあると思います。
"発酵大国"日本でも、様々な地域で特色のある発酵食品が作られていて、海外にも数多くの発酵食品があります。タイの魚醬「ナンプラー」、韓国の発酵酒「マッコリ」、イタリア発祥の保存食「アンチョビ」、北欧スウェーデンなどで食べられている"世界一臭い食べ物"として知られる「シュールストレミング」(塩漬けのニシンの缶詰)などが有名ですね。
地方発信の特産品から、海外の珍しいものまで、ここでは様々な発酵食品をご紹介します。
いしり・いしる
能登半島(石川県)にて、醤油より以前から愛用されてきた伝統的な発酵食品であり発酵調味料です。秋田県の「しょっつる」、香川県の「いかなご醤油」と並んで"日本三大魚醤"と呼ばれています。
「いしり」と「いしる」は発酵調味料ですが、それぞれの違いは原材料。いしりは、小木港や宇出津港などの漁港町で獲れたイカ、いしるは、輪島港や蛸島港などの漁港町で獲れたイワシやサバ、アジなどが使われています。
かんずり
新潟県妙高市に伝わる伝統の発酵調味料。塩漬けのトウガラシを雪の上にさらしてアクを抜き、柚子や麹などと混ぜて3年以上熟成・発酵させたものです。万能調味料として活用されています。
同じく日本に古くからある万能調味料として、豆麹と麦麹をしょうゆに漬けて発酵させた「ひしお」も有名です。
なれずし(熟れ鮨、馴れ鮨)
主に魚を塩と米で乳酸発酵させた食べもので、「なれずし」は日本各地それぞれその土地で獲れる魚で作られています。
北海道や東北地方の気温が低い沿岸部地域では、ホッケやニシン、サンマを使った「飯寿司(いずし)」、秋田県の「ハタハタ寿司」、滋賀県の「鮒寿司」は琵琶湖でとれるニゴロブナを使用、和歌山県南部の熊野地方の「さんまずし」、福井県小浜市のへしこを使ったなれ寿司、岐阜県の「鮎なれずし」、栃木県宇都宮市北部の「鮎のなれずし(くされずし)」、石川県や富山県の北陸地方では、塩漬けしたかぶらに塩漬けしたブリを挟んだ「かぶら寿司」などなど、その土地ならではの「なれずし」があります。
すぐき漬け
かぶらの一種すぐきと塩だけで乳酸醗酵した漬物。千枚漬、しば漬と並び、「京都三大漬物」と呼ばれています。すぐき漬に含まれる乳酸菌・ラブレ菌は、整腸作用や免疫力の向上をサポートする働きがあります。
ミキ・みき
"長寿の島”と言われる鹿児島県奄美大島に伝わる伝統食。さつまいもと米を使って作る発酵飲料で、栄養価が高くて消化もいいことから、子供からお年寄りまで幅広い層に愛されている「ミキ」。
沖縄県の宮古島にも、古くから受け継がれているお米と麹で作られる乳酸菌発酵飲料「みき」があり、どちらも、神様に捧げる「御神酒」(おみき)が名前と由来と言われているようです。
テンペ
大豆発酵食品と「テンペ」の発祥はインドネシア。大豆にテンペ菌をつけて発酵させた古くからの伝統的な発酵食品で、インドネシアでは宗教上の理由からお肉を食べられない人が多く、その代わりにテンペを食べることが多いのだそう。
キビヤック
冬の間、分厚い氷に閉ざされた地域に暮らすグリーンランドのカラーリット民族、カナダのイヌイット民族、アラスカ州のエスキモー民族が作る伝統的な漬物の一種。
アザラシのお腹の中にアパリアスと呼ばれる小型のウミスズメ類の海鳥を大量に詰めこみ(その数、数十羽~数百羽!)、アザラシの腹を縫い合わせ(縫合口にハエが卵を産み付けるのを防ぐため)日干ししたアザラシの脂(プヤ)を塗り地面に埋めて長期間発酵させるという、なんとも衝撃的な作り方。
「キビヤック」の臭さレベルは世界第4位とされ、食べるのにかなりの勇気が必要ですが、上記の民族にとっては貴重なビタミン源で、保存性が高い大事な保存食なのです。
マーマイト
ビールの製造過程で出る酵母を主原料とした発酵食品で、発祥の地イギリスではソウルフードとされています。強い塩気があるなかで甘みや苦みもあり、かなり独特の味わいのよう。「マーマイト」はイギリスの朝の定番のようで、バタートーストなどに塗る食べ方がおすすめだそうです。
ベジマイト
オーストラリアの珍味「ベジマイト」。こちらもイギリスのマーマイト同様、独特の風味と発酵臭で「世界一まずいジャム」と言われることも。味はさておき、ビタミンB1やB2、葉酸などが含まれているので、栄養補給のためにトーストに塗るなどして食べられているようです。
クワハーダ
スペインの北東部・バスク地方などで伝統的に食べられている乳製品。「クワハーダ」はチーズの一種で、昔は伝統的に羊乳や山羊乳から作られていたようですが、現在では牛乳で作られることもあるのだとか。低カロリーで低脂肪なので、ヨーグルトのようにダイエット目的で食べる人も多いようです。
ポイ
ハワイのソウルフード、タロイモの発酵食品。「ポイ」は、タロイモを蒸してペースト状にして発酵させたもので、かつてのハワイアンの主食として食べられていました。
作りたてで新鮮なポイは甘く、時間が経つにつれて酸味が出てきます。魚の付け合わせ、パンや焼き菓子に酸味を加えたいとき、スムージーにして飲むこともあるそうです。
腐乳
台湾で古くから愛されている発酵食品「腐乳(フールー)」は、万能調味料として活用されています。白いキューブ型の豆腐に麹をつけて、塩水に漬け込み発酵させたもので、沖縄の発酵食品「豆腐よう」は、明の時代にこの腐乳が琉球王国へ伝わったものと言われています。
皆さんが知っている発酵食品はありましたか?日本国内はもちろん、世界各国にも様々な発酵食品があることがわかりました。
ハラルとハラムについては要注意
イスラム教では食べ物に関して、食べていいもの(ハラルフード、ハラールフード)と食べてはいけないもの(ハラム)が厳しく定められています。ハラル認証を受けている食品や調味料であれば安心ですが、もしムスリム(イスラム教徒)に発酵食品を提供する機会があれば、注意が必要です。
管理栄養士さんに聞きました!「発酵食品」の効果について
発酵食品から得られる効果にはどのようなものがあるのでしょうか?メリットやデメリット、気になる疑問まで、管理栄養士の猪坂みなみさんに聞きました。
発酵食品のいいところ
発酵食品は、腸内で有害な菌の繁殖を抑え、腸内環境を整えます。そして、腸内環境が整うと様々なメリットが期待できます。
具体的なメリットとしては、腸内の免疫細胞が刺激されて免疫力の低下を防ぐことができる、睡眠の質が向上するなどのほか、発酵によってたんぱく質が分解されて作られる"ペプチド"という物質には、血圧を下げる効果も期待されています。
また、腸の中の善玉菌が"幸せホルモン"と呼ばれているセロトニンを増やすと言われ、その善玉菌を増やすために重要なのが発酵食品です。
さらに、一部の発酵食品に含まれる成分にはストレスを緩和させる効果が期待されています(GABAなど)。ストレスは腸内環境を悪化させますが、その改善に役立つのが発酵食品!
因みにここ数年で、発酵食品にも含まれる「5-ALA」という成分が体に良いと聞いて気になっている人もいるかもしれませんね。
5-ALAはもともと私たちの体内に存在しているアミノ酸の一種で、細胞内でのエネルギー作りをサポートしているものです。野菜や果物、魚、肉など様々な食品に含まれていますが、特に黒酢やワイン、日本酒などの発酵食品に多く含まれているという研究があり、話題になっています。
デメリットはある?
発酵食品のデメリットとしては、自分で作る場合は、発酵ではなく腐敗になってしまい病原菌が増殖してしまう場合もあること。
「発酵食品はなぜ腐らない?」ということについては、菌には「発酵」を行うものと「腐敗」を引き起こすものがあり、発酵食品の場合は前者(発酵を行う菌)の力が強く、腐敗させる菌が活動しにくくなっています。
自己流で発酵食品を作って、その作り方を間違えたり食べ頃を見誤ったりすると食中毒の原因になるため、においや見た目がおかしいなと思ったら食べないようにしましょう。
また、これはデメリットではありませんが、アルコールを摂取していなくても発酵食品を食べていたらアルコールチェッカーが反応する場合があります。
「発酵食品」気になるQ&A
発酵食品の1日の摂取量に決まりはありますか?
発酵食品の1日の摂取量は、特に決められていません。そのため、発酵食品を毎日このくらい摂ろうという目標を定めるよりは、「色々な食品をバランスよく食べる中で、発酵食品も摂り入れていく」という考え方をとるのが良いと思います。
その中での注意点としては、「塩分と糖分の摂り過ぎにならないようにする」ということです。
日本人が日常で摂取しやすい発酵食品としては納豆や味噌、醤油、キムチ、漬物、チーズなどがありますが、これらは塩分を含んでいます。そのため、塩分の摂り過ぎにならない程度にとり入れていくのがおすすめです。調理の際に醤油や味噌を使うときは少量にしたり、キムチや漬物、チーズなどを食べるのは1日1回までにしたりすると良いでしょう。
また、ヨーグルトや甘酒も発酵食品として有名ですが、商品によっては砂糖が多く含まれていることもあるので、ヨーグルトなら無糖タイプを選ぶ、甘酒は飲み過ぎないようにする、という風に、食べ方を工夫するのがいいですね。
発酵食品の効果を高めるために意識するポイントはありますか?
カリウムを含む食材と一緒に食べる!
発酵食品には塩分が多く含まれるものが多いので、余分なナトリウム(塩分)の排出を助けてくれる「カリウム」というミネラルを含む食材を一緒に食べることをおすすめします。
カリウムは、緑黄色野菜や海藻、芋類、大豆製品、果物などに多く含まれますので、「味噌汁には小松菜とあおさを入れる」「豆腐にキムチをのせて食べる」「納豆は焼き海苔で巻いて食べる」というように、お好みに応じて組み合わせてみてください。
糖分の多い発酵食品を食べたあとは体を動かす!
糖分の多いもの(甘いヨーグルトや甘酒など)の場合は、食べたり飲んだりした後にお散歩や家事などで体を動かすようにすると、筋肉で糖を消費できるので太りにくくなりますよ。
異なる菌の組み合わせが◎!
発酵食品は種類によって摂取できる菌が異なるため、色々なものを組み合わせて食べるとより良いですね。
例えば、「納豆(納豆菌)+お酢(酢酸菌)」「味噌(麹菌)+チーズ(乳酸菌)」というように、違う食材を選べばそのぶん摂取できる菌のバリエーションも豊かになります。
毎日継続することが大事!
発酵食品を食べる頻度としては、毎日継続するのが良いでしょう。「2~3ヵ月乳酸菌を摂取していても、食べるのをやめたら2週間程度でその菌が減ってしまった」ということもあります。1回摂ればOKと考えるのではなく、「毎日摂り続けることで腸内環境を安定させていく」ことが大切です。
私自身が毎日摂取している発酵食品は、納豆とお酢、ヨーグルトです。特にお酢は血糖値や血圧を抑える効果も期待されているので、納豆にかけたり、お料理の味付けにしたりと積極的に使うようにしています。
発酵食品を食べていることだけが影響しているかはわかりませんが、おかげさまで便秘や下痢などのトラブルに悩むことは年間を通してもほとんどありません。
今後摂り入れてみたい発酵食品は「微生物発酵茶」です。これは微生物でお茶を発酵させるもので、有名なのは中国のプーアール茶なのですが、日本でも四国や富山県などで作られている伝統的なお茶があります(愛媛県:石鎚黒茶、高知県:碁石茶、徳島県:阿波晩茶、富山県:バタバタ茶)。
他の発酵食品と同様に腸内環境に良い影響を及ぼすのではないかと期待されているので、気になる方はぜひ取り寄せてみてはいかがでしょうか?
腸内環境改善には食物繊維と一緒に!
腸内環境を整えたい場合は、一緒に食物繊維を多く含む食材をとるのがおすすめ。食物繊維は腸内でビフィズス菌などの善玉菌のエサとなり、増殖を助けてくれるので、腸内環境の改善に役立ちます。
逆に、脂質の多い食事は腸内環境を悪化させてしまうことがあるため、摂りすぎないようにすることも大切です。
鶏肉や白身魚、えび、いか、たこ、貝類などのような低脂質な食材を積極的に選び、サシの入った牛肉や脂ののった大トロ、バターや生クリームたっぷりのスイーツや揚げ物などは、たまに楽しむくらいにするのが良いですね。
また、腸に老廃物がたまることで肌荒れが生じると言われており、発酵食品によって腸内環境を改善するとそういった肌荒れを防ぎ、アンチエイジング効果が期待できるという説もあります。
腸内環境が悪いと便秘などにつながったり代謝が悪くなったりと、ダイエットが進みにくくなる可能性があるため、ダイエット中の人も発酵食品を積極的に摂ると良いでしょう。
1日の中で発酵食品を摂取するベストタイミングはありますか?
一般的に、腸は夕食後2時間くらい経つと胃酸などの分泌が落ち着いて、腸内細菌の活動が活発になると言われています。そのため、夜は何かしら発酵食品をとるのが良いでしょう。
ただし、朝食やお昼ごはんに食べても全く意味がないというわけではないので、1日の中でバランスよく摂り入れてみてください。
「腸のゴールデンタイム」と呼ばれている22時~深夜2時くらいまでの時間帯は、腸壁が修復されるなど腸が活発に動くと考えられています。そのため、夜にヨーグルトを食べておいてそのゴールデンタイムに菌が腸内に存在するようにしておけば、より効果的なのではないかと言われています。
だからといって夜遅い時間に甘いヨーグルトをたくさん食べると、太りやすくなったり睡眠の質が低下したりするため、砂糖なしのプレーンタイプを選び、量も100グラムくらいを目安にし、寝る2時間前くらいには食べ終えるようにすると良いでしょう。
暮らしニスタさんの「発酵食品レシピ」
発酵食品をお料理に上手に摂り入れている暮らしニスタさんたち。体によくておいしさも申し分ない"発酵食品レシピ"をご紹介します。
栄養士まみさんのアイデア
糀甘酒バターチキンカレー
材料 : 鶏もも肉 / ♦︎糀甘酒 / ♦︎カレー粉 / ♦︎にんにく(チューブ) / ♦︎しょうが(チューブ) / 玉ねぎ / バター(有塩) / ☆トマト缶(カット) / ☆糀甘酒 / ☆みそ / ☆塩 / ☆GABANブラックペパー[パウダー] / 無調整豆乳 / GABANパセリ
発酵食品の「糀甘酒」が持つ酵素の力でお肉やお魚を柔らかく♡さらにそこへ「味噌」を投入!自然な甘さとコクとまろやかさで、子供でも食べられる〈W発酵食品カレー〉の完成です。発酵食品とカレーのパワーで夏バテ気味のときにもよさそう。
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花ぴーさんのアイデア
ししとうと削り節の粉チーズ炒め
材料 : ししとう / 玉ねぎ / 削り節 / 粉チーズ / ごま油 / 醤油
ししとうと玉ねぎのシンプルな炒め物に、発酵食品である「削り節」と「粉チーズ」をINするだけでうまみが倍増!このレシピを考えた暮らしニスタさんも「発酵食品の実力をまざまざと見せつけられた気がしました…」とのことです。
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舞maiさんのアイデア
赤味噌とヨーグルトの和風マドレーヌ
材料 : 赤味噌(白味噌、合わせ味噌でもOK) / 卵 / 三温糖 / プレーンヨーグルト / 薄力粉
「赤味噌」と「ヨーグルト」を使って作る和風のマドレーヌ。発酵食品はお料理だけではなくスイーツにも活用できるので、お料理の幅が広がりますね。
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naoguriさんのアイデア
高野豆腐の糸寒天グラタン
材料 : 糸寒天 / 豆乳 / さつまいも、人参、エリンギ / ズッキーニ / 玉ねぎ / にんにく / 鶏ささみ肉 / 昆布だし顆粒 / 味噌 / 粉チーズ、チーズ / 高野豆腐 / 塩、胡椒
大豆が原材料の「高野豆腐」は発酵食品である「味噌」との相性バッチリ。ヘルシーな糸寒天でダイエット効果も期待できる、ほっこりやさしい味わいのグラタンです。
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瀧本真奈美さんのアイデア
自家製ヨーグルトと味噌の鶏むねソテー
材料 : 鶏むね肉 / ヨーグルト / 味噌 / 料理酒 / ブラックペッパー
鶏むね肉は、ただ焼くだけだとパサパサで硬くなり淡白な味になりがちですが、ヨーグルトや発酵調味料を使えばやわらかくおいしく焼くことができますね。発酵食品の活用で、腸内の善玉菌を増やして免疫力アップも期待!
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増田陽子さんのアイデア
さつまいもとりんごの甘酒ヨーグルト和え
材料 : さつまいも / りんご / 甘酒(米麹から作られているもの) / プレーンヨーグルト / 塩
「甘酒」&「ヨーグルト」の発酵食品コンビとさつまいものサラダスイーツレシピ。発酵食品パワーに加え、さつまいもに含まれる食物繊維で腸内環境を整えてくれてうれしいことだらけ♪
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ひろさんきっちん♪さんのアイデア
ザワークラウト風キャベツ
材料 : キャベツ / 酢 / レモン汁 / オリーブオイル / 塩
「ザワークラウト」は、キャベツを乳酸発酵させたヨーロッパで広く親しまれている発酵食品。作るのに時間がかかるところを、今回は発酵食品の「酢」とレモン汁を使って3分でザワークラウトの味を再現!
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栄養士まみさんのアイデア
納豆キムチの生春巻き
材料 : 納豆 / キムチ / 釜揚げしらす(しらす干し) / レタス(フリルレタス) / ライスペーパー
発酵食品と言えば「納豆」と「キムチ」を思い浮かべる方も多いのでは?そんな二つの発酵食品をライスペーパーで巻いて生春巻きにしてパクッ。腸内環境改善が期待できるおいしいレシピです。
詳細を見る
「発酵食品」は自分の状態に合わせて摂るのがベスト
「発酵食品には体に良い部分もありますが、過剰に摂取すれば塩分や糖分の摂り過ぎにつながる恐れもあります。健康状態はひとりひとり異なるため、血圧が高めの人は塩分の多い味噌汁は控えてヨーグルトを食べるようにしたり、健診で血糖値が高いと指摘されているなら甘酒や甘いヨーグルトは避けてお酢を積極的に使うようにしたりと、自分の状態に合わせて摂り入れると良いと思います」と、管理栄養士の猪坂みなみさんは言います。
過剰摂取は控えながら自分に合った方法で毎日継続するよう心がけて、上手に無理なく発酵食品と付き合っていきたいですね。
まとめ/暮らしニスタ編集部
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