子供の頃から手作りが大好き。遊びの延長に手作りが
エレガントだけどナチュラル、あたたかみの中に光る洗練…。deerさんの作品には独特の世界観があります。昨年末に開かれた「クリスマスの飾りつけコンテスト」では、その卓越したセンスとアイデアを十二分に発揮。見事、金賞に輝きました。 「100均素材や空き箱を使っていても、決してチープに見えないこと。そして、我が家は狭くて大きなツリーも立てられないので、限られたスペースで少しでもクリスマスらしいスペシャルな演出をしたい!家族を喜ばせたい!との思いで飾りつけをしました」 中でも、100均アイテムで作ったランプシェードやステンドグラス風フレームなどで、手作りのすのこ棚を美しくライトアップするアイデアにはご家族もびっくり!9ヶ月の息子さんも目をパチクリさせながら、声を出して大喜びしてくれたとか。
そんなdeerさんの手作りの原点は、子供時代にさかのぼります。お母様がパッチワークや刺しゅうが趣味だったこともあり、小さな頃からハンドメイドが身近なものだったと言います。 「小学校高学年までには簡単なパッチワークの巾着や小物入れ、人形などは自分で作っていました。布が並んでいるのが好きで、何を作ろうか考えてはウキウキワクワクしている子供でしたね。それは今も変わりませんが(笑)。ハンドメイドが生活の一部で、遊びの延長だった気がします」
その後も編みぐるみや消しゴムはんこ、ワイヤークラフト…など、形を変えながらも常に”モノ作り”を楽しんできたdeerさん。結婚後、築27年の社宅に引っ越してきたことがきっかけで、DIYも始めました。 「専業主婦になって家にいる時間が増えたのに、どうしても家が好きになれなかったんです。古いキッチンでもカフェ風になれば好きになれるかなぁ、壁の汚れもかわいいオーナメントがあれば隠れるかなぁ、とか、そんなところからアイデアをふくらませています。自己流でやっているので、最初は着色ニスをうすめ液で薄めて使うことも知らず、コテコテになってしまって大変な思いもしました。失敗も多いですが、ちょこちょこ改良しながら手を加えています」
あくまで家族優先。完璧を求め過ぎないことも大事
4年前からは地元の陶芸サークルに参加。子供の頃からの憧れだった陶芸が趣味の一つに加わりました。お子さんが生まれるまでは毎日のように通っていたため、今や自宅の食器の半分くらいは手作りのもの。近所のお友達を招き、自作のカップでおうちカフェを楽しむのが至福の時間だと言います。 「陶芸って、土をこねている間、無心になれるんです。工程が多いぶん、完成まで時間がかかりますが、そのぶん愛着もわくような気がします。色の出方も日によって変わるので、窯から出す時はずっと会いたかった人に会う時のようなドキドキ感がありますね」
出産後、モノ作りにかける時間は極端に減りましたが、それこそが忙しい毎日の大切な息抜き。理解のあるご主人に見守られながら、お子さんが寝たあとのちょっとした暇を見つけては、少しずつ作業をしているそう。 「ただし、子供が泣いたら試合終了。どんなに中途半端でもそこで止めると決めています。また、いくら作りたいものがあっても、”家事を終わらせてからやる”がルール。家事が面倒だなあと思う日も、ルールがあることで、”あれを作りたいから早く終わらせよう!”という原動力になっています」
好きなことにとことん打ち込みつつ、しっかりルールを課して自分を律することができる人。生来のdeerさんにはきっと、そんな完璧主義な一面があるのかもしれません。だからこそ、モノ作りを続けるコツは「完璧を求めすぎないこと」だと言い切ります。 「時間があった頃は、気に入らないところがあると、何度もやり直したりしていました。でも逆にぐちゃぐちゃになってしまい、疲れ果てて楽しめないなんてこともあったんです。ちょっとぐらい縫い目が曲がっていても、歪みがあっても、それが”味”だと思えるようになってから、ますますハンドメイドやDIYが好きになりました。自分が満足できること。そして、その作品を見たり使ったりする時にウキウキできることが何より大切だと思っています」
程よく力を抜きつつ、日々の暮らしをめいっぱい楽しんでいるdeerさん。女性として、母として輝きを増しながら、これからますます素敵な作品を生み出してくれるはずです。
取材・文/村井未来(暮らしニスタ編集部)
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