シャキシャキした食感と独特な風味が特徴のセロリ。その強い風味が少し苦手な人もいる一方で、セロリでしか味わえない風味がやみつきになる人も多い野菜です。そんなセロリの旬がいつなのか、みなさんご存知でしょうか?
今回は、セロリの旬の時期から、普段食べているセロリの種類、栄養素まで徹底解説していきます。また、豊富な栄養素を持つセロリの調理方法や、豊富な栄養を活かしたレシピも紹介します。
セロリが好きな人も少し苦手な人も、この記事を読んでセロリの魅力にぜひ触れてくださいね。
「セロリ」ってどんな野菜?
香味野菜として特徴的な香りが魅力のセロリは、セリ科・オランダミツバ属の植物です。生産現場では「セルリー」や「セロリー」などと呼ばれることもあり、冬の季語でもあります。
また、セロリは昔、食用ではなく、整腸剤や強壮剤などの薬や、魔除けや祭儀などで使われていました。そしてしばらく経った16〜17世紀頃、やっと食用として定着しました。
日本でも江戸時代に持ち込まれてから食べられるようになりました。当時は「清正人参 (きよまさにんじん)」と呼ばれていましたが、独特な匂いによってあまり普及しなかったといわれています。
現在のように定着してきたのは戦後、欧米の食文化の影響が大きくなってきてから。また、セロリの香りやクセが改良され、だいぶ食べやすくなったことも定着の一因となりました。
セロリの種類
私達が普段食べる「セロリ」は、コーネル種と呼ばれるセロリの一種。ほかにも、根セロリと呼ばれる「セロリアック」や「グリーンセロリ」「ホワイトセロリ」など、さまざまな種類があります。
以下では、数あるセロリのなかから、主な4つの種類について説明しています。
セロリ
スーパーなどで売られているセロリは、中間種に分類される「コーネル619」という品種がほとんどです。長さは40cmほどで、厚みがある薄緑色の茎部分が食用として食べられます。
主に、長野県や静岡県で栽培されており、国産セロリの6割以上が2つの県で栽培されています(参照:農林水産省 2019年産野菜出荷統計)。成長すると黄色い花を咲かせますが、花も美味しく食べることができますよ。スジが柔らかい品種のため、サラダや浅漬、煮込み料理として食べるのがおすすめです。
グリーンセロリ
グリーンセロリは名前の通り、葉だけでなく茎も緑で肉厚な品種です。一般的なセロリとして知られているコーネル種に比べて小ぶりなため、「ミニセロリ」と呼ばれることもあります。
ほかと比べると香りが強い品種で、アメリカで特に多く栽培されています。強い香りを生かして、野菜ジュースやスープなどの加工用としても使われています。グリーンセロリの品種としては、「ユタ」や「トップセラー」などがあります。
スプラウトセロリ(サラダセロリ)
スプラウトセロリは、発芽前の苗の状態であるセロリのことです。スプラウト状態の野菜は成長して大きくなるために、多くの栄養素を含んでいます。
そんな栄養豊富なスプラウトセロリは、苗の状態で細いながらも特有の香りを楽しむことができます。また、成長したセロリよりも茎や葉が柔らかくサラダやおひたしなどで楽しめるため、サラダセロリとも呼ばれています。
ホワイトセロリ
ホワイトセロリは水耕栽培で作られたセロリで、見た目は小型で白いミツバに似た形をしています。比較的ほかの種類よりも、セロリ特有の香りが強くないため食べやすい種類として知られています。
また、茎が細く柔らかいのが特徴で、スジ取りも不要なため生のままサラダで食べたり、香味野菜としてスープに添えたりするのが主流です。
セロリの栄養
全体の95%が水分なので、栄養はあまりないのでは?と思われがちなセロリですが、これは誤った認識です。セロリには多くの栄養素が含まれており、代表的なのはアイピンという精油成分。独特な香りを作り出している成分ですが、精神を安定させて不眠やイライラの解消、食欲を促す働きがあるといわれています。
ほかにもカリウムや食物繊維、葉にはβ-カロテンやビタミンKが多く含まれています。カリウムはきゅうりやスイカなどのウリ科に多く含まれるイメージですが、セロリはそれらの倍以上のカリウムがあります。
また、グルタミン酸に関しては、グルタミン酸を多く含んでいることで知られているにんじんに匹敵する量を含んでいます。このように、セロリにはほかの野菜に引けを取らないほど、多くの栄養を含んでいるのです。
セロリの産地No.1は長野県!
北海道から愛知、沖縄まで全国各地で栽培されているセロリですが、主な産地として知られるのは生産量1位の長野県。生産量全国2位である静岡県と合わせると、全国の6割以上をこの2県で生産しています。
セロリは、かつては海外から輸入した種子に頼って栽培されていましたが、長野県の農家によって国内で採種できるように改良されたことにより、消費量に十分な供給ができるようになったといわれています。
セロリの栽培環境は15度〜25度が適温といわれています。この冷涼な環境は長野県の信州の気候風土にあっているため、みずみずしくシャキシャキしたセロリが盛んに栽培されています。
セロリの旬
セロリは涼しい気候で美味しく育つため、産地によって美味しい季節は違い出荷の時期が異なります。
一般的な旬は12月〜4月(冬春セロリ)と7月〜10月(夏秋セロリ)といわれていますが、ハウス栽培や産地リレーなどにより、一年中市場に出荷されています。旬の時期はセロリが安い時期でもあるので、ぜひチェックしてくださいね。
セロリの旬①:長野県
セロリが美味しく、育ちやすい涼しい気温と気候風土があっている長野県。出荷量は全国1位を誇り、そんな長野県のセロリは5月〜11月に旬を迎えます。
春から秋にかけて長期間出荷しているのも長野県のセロリの特徴。欧米の食文化が普及してきたころ、長野県・松本市で商用のセロリの生産が始まり、そのころから長野県の生産現場では「セルリー」と呼ぶそうです。
セロリの旬②:静岡県
長野県に続き生産量2位の静岡県は、全国の2割ほどの生産量を占めています。静岡県のセロリは12月〜3月の冬から春にかけて出荷され、旬の時期もこの頃です。
静岡県産セロリを代表する「はままつセロリ」は、冬場に全国の出荷量の約7割を占めるほど。肉厚で香りがよくみずみずしい味わいが特徴で、クセも少なくスジが張っていないため食べやすいと評判です。
セロリの旬③:福岡県
全国の生産量の1割ほどを占める、生産量3位の福岡県。福岡県産セロリは、主にハウス栽培で、11月〜5月頃の秋から春に旬を迎えます。
福岡県の中でも盛んに生産されており、九州のなかでも最大の生産量を誇るのが福岡県みやま市。旬を迎えたみやま市のセロリは葉がしっかりしており茎に張りがあり、苦味がすくなくとてもまろやかなのが特徴です。
セロリの栄養を生かせるレシピ
栄養豊富なセロリに含まれる栄養成分は、加熱しても壊れにくい性質を持ちます。そのため、スープや煮込み料理などでも十分に栄養を摂取できます。
ただし、カリウムは熱に弱く、β-カロテンは油と一緒に摂取したほうが良いという特徴もあります。むくみを取りたいときは生で、肌の健康などを保ちたい場合は油で炒めて食べるといいでしょう。
以下では、セロリを美味しく食べられるおすすめレシピを紹介しています。ぜひ今日から献立に組み込んでみてはいかがでしょうか。
cot.cotさんのアイデア
セロリのレモンマリネ
材料 : セロリ / 塩 / ツナ / A【レモン汁 / オリーブオイル】 / 塩こしょう
レモンの酸味とセロリの風味が調和したさっぱりした一皿。栄養たっぷりの葉まで一緒に食べられるので、ヘルシーでおすすめです。和えるだけで簡単に作れるので、食卓のあと一品にちょうど良い料理です。
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おなかがぺこりんさんのアイデア
セロリとちくわの鶏ガラマヨ炒め
材料 : セロリ / ちくわ / 鶏ガラスープの素 / マヨネーズ / オリーブオイル / 黒胡椒
さっと炒めて簡単に作れて、おつまみにもぴったりのセロリとちくわの鶏ガラマヨ炒め。鶏ガラの味わいとちくわの塩味、マヨネーズのコクが調和して晩酌のお供としておすすめです。
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花ぴーさんのアイデア
鶏むねとセロリのレモン炒め
材料 : 鶏むね肉 / セロリ / レモン汁 / みりん / 片栗粉 / 塩、ブラックペッパー / 米油
しっとりした鶏むねとシャキシャキした鶏胸肉をレモンの酸味でさっぱりと食べられる一品。鶏むねのタンパク質やセロリのβ-カロテン、ビタミンCと様々な栄養素を一度に摂取できます。晩ごはんのおかずにぜひ取り入れてみてくださいね。
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セロリの下処理
セロリには、茎の表面に白っぽく見える白いスジがあります。セロリを食べる前は、このスジをきれいに取ってから調理しましょう。
端に少し切れ目を入れ、皮を剥ぐようにするときれいに取り除けますよ。細かく刻んで煮込む場合などはスジを取らなくても分からなくなりますが、特に生で食べるときなどはスジの食感が目立つため、丁寧に取り除いてくださいね。
セロリの保存方法
セロリは、葉と茎を分けて保存するのが基本です。冷蔵であれば1週間、冷凍では1ヶ月ほど保存できますので、それぞれの保存方法を紹介します。
<冷蔵保存の場合>
水で湿らせたキッチンペーパーに包み、茎はラップに包んでポリ袋に、葉はチャック付きのポリ袋に入れて野菜室で保存します。収穫前と同じように立てて保存するとより長持ちしますよ。
<冷凍保存の場合>
茎を使いやすい大きさにカットしてからラップで小分けに包み、チャック付きのポリ袋で保存します。葉は細かく刻んでから冷凍すると薬味のように使えますよ。料理に使う際は冷凍のまま使ってOKです。
まとめ
古くは薬として使われていたほど栄養豊富で魅力的なセロリ。セロリにしかない独特な香りにやみつきになる人も多いのではないでしょうか。
近年では品種改良によってセロリの香りが苦手な人でも食べやすいようになってきています。ぜひ、紹介したレシピを参考に旬のセロリを美味しく味わってみてはいかがでしょうか。
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