小さいキャベツのような見た目をしており、ほのかな甘味とキャベツを凝縮したような旨味が魅力の芽キャベツ。未熟なキャベツと思われがちな野菜ですが、実は種類も栽培方法もキャベツとは違います。本記事では、そんな芽キャベツの旬の時期やレシピから産地まで解説していきます。
また、健康面でもさまざまな効能が期待できる芽キャベツは、積極的にとりたい野菜のうちのひとつです。そして美味しく食べられるように、できるだけ長期間保存する方法も紹介しています。芽キャベツの魅力を知って、ぜひ食卓に取り入れてみてくださいね。
「芽キャベツ」ってどんな野菜?
芽キャベツは、直径4cm〜6cmほどのキャベツに似た見た目をした冬の野菜です。分類上はキャベツの仲間で、日本には明治時代に伝わってきました。
芽キャベツは、葉の付け根に出てくる脇芽が結球(※)したもので、ぶどうのように連なって育ちます。60cm〜80cmほどに育つ茎から50玉ほど収穫できるため、「子持ちキャベツ」と呼ばれることもあります。
(※)結球とは、植物の葉が重なり合って球のようになること
ちなみに、最近では芽キャベツとケールを交配させた品種が日本で誕生しています。「プチヴェール」といい、フランス語で「小さい緑」という意味です。芽キャベツのように結球はしませんが、茎から脇芽が50個ほどつきます。
普通のキャベツとの違いとは
芽キャベツは成熟する前に収穫されたキャベツだと考える人も多いですが、実はまったく別の品種です。ただし、同じアブラナ科の野菜であったり、ルーツとなる野菜が芽キャベツもキャベツもケールであったりと、共通点も多くあります。
キャベツは中央の芽が徐々に結球していくのに対して、芽キャベツは1つの茎の葉の付け根にある脇芽が結球して育ちます。1つの茎に対して複数の芽キャベツがなるようにできるため、芽キャベツの成長を待ったとしてもキャベツのような大きさになることはありません。
芽キャベツの旬
芽キャベツの旬は、晩秋の11月中旬から初春の3月下旬。芽キャベツは高温や湿気に弱いため、寒い季節に旬を迎えます。
芽キャベツの成長は早いのが特徴で、夏にポットに入れて育て始めてからおおよそ3ヶ月ほどで収穫に最適な大きさになります。旬の時期は晩秋~初春の寒い時期のみですが、値段が安い時期でもあるので、ぜひ美味しい時期に芽キャベツを手に入れて楽しんでみてはいかがでしょうか。
芽キャベツの産地
国産の芽キャベツの産地として有名なのが静岡県です。令和2年の芽キャベツの生産量をみると、全国376tの生産量のうち351tが静岡県で生産されており、全体の約95%も占めています(※)。
(※)参考:農林水産省「地域特産野菜生産状況調査」
静岡県に続いて、山形県が5t、神奈川県が4tほど。ほかにも、北海道でも生産されています。芽キャベツは輸入品も多く、なかでもオーストラリア産のものがよく流通しています。
芽キャベツの栄養価は「キャベツ」以上!
名前から若芽のキャベツだと思われがちな芽キャベツは、ミニサイズながらも栄養価はキャベツよりも多いといわれています。
芽キャベツに栄養が豊富に含まれているのは、成長期である芽そのものが結球してできているから。ビタミンCはもちろん、β-カロテンやカリウム、ビタミンB2などが豊富に含まれています。以下では、芽キャベツに多く含まれている栄養素の効果について解説していきます。
ビタミンC
ビタミンCはコラーゲンを生成し、皮膚や細胞などの健康維持には欠かせない栄養素です。しかし、体内では合成できない栄養素のため、毎日継続して摂取する必要があります。
新鮮な野菜から摂取できますが、不足してしまうと筋力低下や疲労を感じやすい体になってしまいます。芽キャベツにはキャベツと比べると、約4倍の160mg(可食部100グラムあたり)も含んでいます。
βカロテン
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、皮膚や粘膜を丈夫にして免疫力を上げる効果があります。最近では、アンチエイジングの効果もあるとして注目されています。
このように、健康維持には欠かせない栄養素の一つであるβカロテンは、芽キャベツに710mg(100gあたり)含まれています。βカロテンは油と一緒に摂ることで吸収率が高まるといわれているため、炒めものや天ぷらなどで食べるのがおすすめですよ。
芽キャベツの下処理
芽キャベツを美味しく食べるために必要な下処理は簡単で、基本的には切り込みを入れたら完了です。そして重要なのは、しっかりと火を入れること。
丸ごと食べることができるため細かい下処理は不要ですが、生では苦味が強いため、火が通りやすいように根本に切り込みを入れる必要があります。
下茹でをする際は、たっぷりのお湯に塩をひとつまみ入れたところに芽キャベツを投入し、軽くかき混ぜながら茹でたら完成です。ほかにも、黒ずんでいたり茶色くなっていたりする葉があれば取り除くとよいでしょう。
芽キャベツの保存方法
芽キャベツは鮮度が落ちやすい野菜なので、食べきらないときはすぐに保存処理をしましょう。
また、寒い季節が旬であるため、暑さには弱い野菜です。そのため常温での保存には向いておらず、必ず冷蔵庫か冷凍庫で保存しましょう。以下では、それぞれの保存方法について解説していきます。
冷蔵保存
芽キャベツを保存する際は、乾燥しないようにすることがポイント。キャベツと同様に水分を多く含んでいるため、水分が抜けることで鮮度が落ちやすくなってしまいます。
そのため、買ってきたらまず湿らせたキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保管しましょう。この際に、ビニール袋をきっちり締めすぎると通気性が悪くなってしまうため、軽く締めるくらいにしましょう。
キッチンペーパーを毎日取り替えてあげることで、冷蔵保存で一週間ほどは鮮度を保つことができますよ。
冷凍保存
冷凍保存する場合は、下処理してから保存するのがおすすめです。
一度固めに下茹でしたら、小分けにして冷凍庫に入れましょう。下茹でをすることでアク抜きにもなるため、使う場合は自然解凍してそのまま使えますよ。ただし、茹ですぎると栄養素が溶け出してしまったり、芽キャベツの食感が損なわれてしまうため、様子を見ながら茹でてくださいね。
冷凍保存する場合は1ヶ月ほどは持つといわれています。たくさん芽キャベツを手に入れたときは、ぜひ冷凍で保存して美味しく食べてくださいね。
芽キャベツの栄養を生かせるレシピ
芽キャベツは生のままだと苦味が強いため、加熱して食べるのがおすすめ。また、キャベツに比べるとアクも強く固いため、下茹でが必要です。
加熱することで芽キャベツが鮮やかな緑色になり、料理も華やかになりますよ。また、芽キャベツに含まれるβカロテンは油で調理することで、より吸収しやすくなります。
以下では、芽キャベツを使ったおすすめのレシピを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
*yuko*(曽布川優子)さんのアイデア
芽キャベツ丸ごと肉団子
材料 : 芽キャベツ / ひき肉 / 溶き卵 / 塩・コショウ・ナツメグ / 片栗粉 / オイル / タレ
芽キャベツを肉ダネで包んだ、丸ごと肉団子。メインになるほどボリューミーで食べごたえがありますが、芽キャベツを丸ごと使っているためとてもヘルシーですよ。下茹でする際に取れた葉っぱも肉ダネに混ぜるので、余すことなく芽キャベツを頂けます。お弁当のおかずなどにもぜひ作ってみてくださいね。
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野島ゆきえさんのアイデア
芽キャベツのペペロンチーノ
材料 : 芽キャベツ / ブロックベーコン(細切り) / にんにく(粗みじん切り) / 鷹の爪(小口切り) / オリーブ油 / 塩
にんにくの香りと鷹の爪の辛さがアクセントとなった、芽キャベツのペペロンチーノ。芽キャベツの旨味とベーコンの肉汁が上手く絡まって、ご飯がすすむこと間違いなし。また、油で炒めることにより芽キャベツに含まれるβカロテンの吸収を効率的に行えますよ。スーパーで見かけたらぜひ、晩御飯のおかずに取り入れてみてはいかがでしょうか。
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青山金魚さんのアイデア
新じゃがと芽キャベツのスタミナ焼き
材料 : 新じゃが※1 / 芽キャベツ※2 / A 減塩しょうゆ / A にんにく / A オリーブオイル / A ブラック&ピンクペパー(ホール)※3 / ◆トッピングの材料 / かぼちゃの種
新じゃがと芽キャベツを使った、醤油とバターの香りが食欲をそそるスタミナ焼き。レンジで新じゃがと芽キャベツを蒸し、トースターで火をいれるだけのほったらかし調理で手軽に作れるのが魅力です。簡単につくれるので、プラス一品のおかずとしておすすめのレシピですよ。
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まとめ
今回は、芽キャベツの魅力についてご紹介しました。本記事を見て、芽キャベツがキャベツとは異なる品種だったということに驚いた方も多いのではないでしょうか。
旨みと栄養素を持つ芽キャベツは、ぜひ積極的に食べたい野菜です。鮮やかな緑をした芽キャベツが、食卓を彩ってくれること間違いなし。旬の時期は寒い季節だけと限定的ですが、スーパーで見かけたらぜひ手にとってみてくださいね。
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