脂の乗りがよく、とろけるような味わいが特徴の「のどぐろ」。正式名称はアカムツというスズキ目の魚ですが、喉の奥が黒いことからのどぐろと呼ばれています。白身のトロとも呼ばれるほど脂がのっていて甘味が強いため、刺身から煮つけ、焼き魚とさまざまなバリエーションで楽しむことができます。しかし、のどぐろの旬の時期を知っている人は少ないのではないでしょうか。
今回は、のどぐろが美味しい季節から鳥取県や福井県などの産地、新潟県や富山県、長崎県などの名産地別の特徴まで一挙にご紹介します。おすすめのレシピも紹介しているので、のどぐろの魅力にハマること間違いなしです!
のどぐろの旬は一般的に「夏過ぎ」
のどぐろの旬は一般的には夏過ぎと言われています。「一般的に」というのは旬とされている時期に夏〜秋とする説と秋〜冬とする説があるためです。
のどぐろは7月〜10月に産卵期を迎えるので、体に栄養を取り込むために食欲旺盛となり、脂を蓄えます。そのため、夏〜秋が食べごろの季節とされているのです。一方で、水温が下がってくる秋〜冬も寒さに耐えるために体に脂肪が蓄えられており、冷たい海水によって身がしまっており、美味しい時期といわれています。
通常、多くの魚は産卵期が終わると身がやせて味が落ちますが、のどぐろの場合は産卵期が終わった後もそこまで変わりがないともいわれています。そのため、のどぐろの旬はそこまで定まっておらず、一年を通して美味しく食べられます。
のどぐろの名産地は主に6県!
のどぐろの名産地としてとくに有名なのは、新潟県、富山県、石川県、島根県、山口県、長崎県の6県。ほかにも、兵庫・香住町も有名な産地です。6県の中でも、島根県や山口県などの山陰地方は主な産地であり、漁獲量を合わせると全体の80%を占めています。
以下では主な名産地である6県のそれぞれの特徴について説明します。産地によって旬の時期も異なるので、のどぐろの購入時にはぜひ産地にも注目してみてくださいね。
①島根県
島根県沖の浜田市や太田市、松江市は、全国でも有数なのどぐろの漁場です。特に、のどぐろを市の魚として掲げている浜田市では、沖合底引き網漁で8月から翌年5月に水揚げされる80g以上のサイズののどぐろを「どんちっちノドグロ」としてブランド魚としています。
島根県沖の海域は、脂質が豊富な甲殻類やプランクトンが多く生息しており、その栄養源を取り込んだのどぐろは脂質がたっぷりと含まれて美味しさが際立ちます。脂質が多く含まれるのどぐろの中には、脂肪含有率が25%以上になるものも。まさに、白身のトロと呼ぶにふさわしいのどぐろが、島根県では水揚げされているのです。
②山口県
山口県も島根県と並ぶ日本有数ののどぐろの生産地です。山口県のなかでも萩市の見島沖は主要な漁場であり、水深100m以下の岩礁帯に生息するのどぐろを底引き網で漁獲しています。
また、下関漁港では山口県内から高品質なのどぐろが集まり、東京や大阪などに卸す主要な漁港。この山口で漁獲された上質なのどぐろは「やまぐちブランド」として登録されています。山口県農林水産物需要拡大協議会によって体重200g以上で脂質が15%以上の「山口県産のどぐろ」と、そののどぐろを加工した「山口県産のどぐろの開き」が登録され、優れた味と品質ののどぐろを楽しめますよ。
③新潟県
新潟県は広大な日本海に面しており、豊富な漁場があります。ここもまた、のどぐろの名産地の一つです。新潟ののどぐろは夏から秋にかけての産卵期が旬とされ、産卵前ののどぐろは脂肪をたくさん蓄えており、脂たっぷりで甘味が強く感じられます。そんな新潟県沖で水揚げされるのどぐろは、他の産地と比べて脂肪量が2倍以上も異なるケースも。
新潟港で水揚げされた旨みや甘味が強いのどぐろは、魚市場で浜焼きや寿司として親しまれているそう。旬は夏から秋にかけてですが、ほぼ一年中漁獲されているため、新潟ではのどぐろをいつでも楽しむことができますよ。
④石川県
北陸屈指の観光地である金沢市や能登半島がある石川県ものどぐろの名産地。石川県沖の漁場は暖流と寒流が交わる海域で多種多様な魚種が漁獲されています。そのうちのひとつであるのどぐろは橋立漁港、金沢港、富来漁港、輪島港、蛸島漁港などで多く水揚げされています。
漁獲後はすぐに冷却し、鮮度を保ったまま県内外に出荷されているため、各地で石川県ののどぐろを楽しむことができます。石川県ののどぐろは晩秋~冬が旬であり、特に秋口ののどぐろは脂乗りがよく、高値で取引されます。観光名所でもある近江町市場では丼や寿司、ひつまぶしなどのどぐろを使った料理店が多く存在し、観光客から人気を集めています。
⑤富山県
富山県ものどぐろの名産地です。富山県は標高3,000m級の北アルプスから栄養豊富な河川水が流れ込む富山湾が有名な漁場とされています。富山湾は年間を通して多くの魚が漁獲されており、全国でも指折りの海の幸の宝庫と言われています。
そんな海の幸の宝庫である富山県で獲れるのどぐろは、品質も鮮度もピカイチ!県内最大の氷見港をはじめとし、射水市や魚津市などの漁港でも多くのどぐろが水揚げされています。
⑥長崎県
全国の中でも漁業が盛んな長崎県ものどぐろの名産地です。長崎県の中でも盛んに漁獲が行われている対馬市では、ブランドのどぐろとして「紅瞳」が有名。目が赤いことにちなんで付けられた名前で、「地獄縄」という特殊な仕掛けで1本ずつ丁寧に釣り上げられています。
一本釣りのため傷のない綺麗な体が魅力で、流通時の温度管理も徹底されている最高級品です。最近では、長崎の新たな名産品としてのどぐろの干物が注目されています。長崎ののどぐろはさまざまな形で楽しめるので、ぜひ味わってみてくださいね。
さまざまな食べ方でのどぐろを味わおう
日本各地で漁獲されており、名産地ではブランド魚としても扱われているのどぐろ。一年を通して美味しく食べられ、刺身や塩焼き、干物など食べ方もさまざまです。
高級魚として知られているのどぐろは、美味しく食べたいですよね。ここからは絶品レシピを紹介します。ぜひ、旬ののどぐろを味わってみてくださいね。
①干物(一夜干し)
のどぐろの身近な楽しみ方の一つである干物や一夜干しは、手軽に調理できるのがうれしいところ。干物にすることでたんぱく質が分解され、うまみ成分であるアミノ酸に変化し、水分が減ることで旨みがより一層凝縮します。
もともとは日持ちさせられるように作られた干物ですが、のどぐろでは「特有のコクのある甘味は干物にしてこそ引き立つ」と言う人もいるほど、おすすめの食べ方なのです。
わんたるさんのアイデア
自家製の干物レシピ
材料 : アジ / 水 / 塩
自家製干物の簡単レシピは、のどぐろを塩水につけて日光で自然乾燥するだけ。5時間ほどで完成し、風味豊かで凝縮された旨みを楽しめますよ。天気が良い休日にぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
詳細を見る
②お寿司・お刺身
新鮮なのどぐろはお寿司やお刺身で自然な甘みを楽しむのがおすすめ。白身のトロと呼ばれるのどぐろは醤油につけると脂が浮き上がるほどで、口にいれるととろけるような甘味が絶品。
湯引きして皮をはいだものや、皮と身の間の油を活かした炙り、昆布締めであればさっぱり味わえます。高級魚であるのどぐろですが、全国チェーンのお寿司屋さんのフェアなどで、手軽にお寿司を食べられることがあるので要チェックですよ。
みーこさんのアイデア
らくらく簡単お寿司レシピ
材料 : 酢飯 / お好きな寿司種 / 【薬味】 / ワサビ、ショウガ、小ネギ、大葉 / スプラウトクレス(ピリリと辛い) / 味噌(生詰フンドーキン合わせ味噌)
酢飯をラップで包んで形を整えたら、あとはネタを乗せるだけ!少し変わった作り方ですが、一貫ずつ握る手間がないので手軽にお寿司を楽しめます。のどぐろのほかにも新鮮なネタをそろえて作ってみてくださいね。
詳細を見る
③塩焼き
のどぐろのさっぱりとした脂を楽しみたい方には塩焼きがおすすめ。高温でなるべく旨みを落とさないよう、香ばしく焼き上げることがコツ。外はパリパリの香ばしい皮でカリッと、中は脂があふれるほどのジューシーさで、噛むたびに旨味が広がります。
塩は多めに振ると魚の水分がしっかり出て、のどぐろ本来の甘味や旨みが凝縮されるので非常に味わい深くなります。贅沢なひと皿を味わいたい方は、ぜひ塩焼きで楽しんでみてはいかがでしょうか。
美味しく塩焼きする方法
のどぐろのウロコと内臓を取り出したら、皮が膨張しないように身が膨らんでいる所に十字の切り込みを入れます。脂が多く食塩が浸透しにくいため、多めに塩を振って1時間ほど置きましょう。
焼き方はフライパンやグリル、焼き網などがありますが、いずれも高温にした状態から焼きはじめて、身崩れしないようひっくり返すのは1度だけにするのがポイント。きれいに焼き色が付いたら塩焼きの完成です。
④煮つけ
夏〜秋の産卵期に入った子持ちののどぐろが手に入ったら煮つけがおすすめ。脂が乗っている濃厚なのどぐろを煮付けにすると、身はふっくらとしていてコクのあるしっかりとした味わいに仕上がります。
醤油やみりんなどの調味料で甘辛い味付けの旨みが溶け込んだ煮汁は、お米の相性は抜群なので食が進むこと間違いなし!旨みがしっかりしているのどぐろは濃いめの味付けにも負けないので、贅沢な一品をぜひ楽しんでみてくださいね。
はらしおりさんのアイデア
煮付け
材料 : 金目鯛 / しょうが / ししとう / A 水 / A 酒、醤油、きび砂糖
皮はとろとろで身はしっとりとした煮付けのレシピ。濃いめの味付けにした煮汁はご飯との相性抜群です。手軽に作れるので、今晩のおかずやおつまみにぜひ作ってみてくださいね。
詳細を見る
のどぐろはどこで売ってる?スーパーで買えるの?
高級魚であるのどぐろですが、他の魚と同じようにスーパーで手に入れることができます。スーパーで売っているのどぐろは1人前ほどの小さいサイズが多く、時期にもよりますが一尾200円〜ほどから手に入りますよ。ただし、大きいサイズになるにつれて高価格になるため、中には一尾5,000円を超えるものも。
大きいサイズのものは、通販やネットでのお取り寄せも可能です。ふるさと納税の返礼品としても販売されているので、この機会にぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
普段の食卓にはあまり登場しにくい高級魚、のどぐろ。テニスプレイヤーの錦織圭選手が全米オープン準優勝時のインタビューでのどぐろがたべたいと言ったことで、一時期は手に入れることができなくなるくらい注目されました。スーパーによっては手の届く金額で入手できるので、自分や家族へのご褒美として、ぜひ味わってみてくださいね。
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます