「体」と「身体」は、どのように使い分けるのか完全に理解するのが難しい言葉です。普段あまり意識せずに使っている人も多いのではないでしょうか?
本記事では言葉の意味の違いや、使い分けのポイントを紹介します。
「体」と「身体」の意味・使い分けのポイント
「体」と「身体」は、漢字の成り立ちや由来に使い分けのヒントがあります。2つの言葉の意味と使い分けのポイントは、下記の通りです。
「体」の意味
「体」は、生物全般の肉体のことを指します。人間だけでなく、他の生物にも使用される漢字です。「体」の語源は「殻(から)」に接続後である「だ」をつけた「殻だ」からきています。
平安時代、魂と肉体は別物と考えられており、魂が入っていない肉体を「殻」である=「からだ」と呼んでいたのが「体」の由来です。
現在と同じような意味合いで「体」が使われるようになったのは、室町時代以降のこと。魂と体を区別する考えが少なくなり、生きている状態の頭から足先までを「体」と呼ぶようになったといわれています。
「身体」の意味
「身体」は人間だけに用いる言葉で、心や精神も含めた「心身」のことを指します。
もともと、魂が宿っている肉体のことを「身(み)」と呼んでいました。魂が宿っている肉体「身(み)」に、肉体そのものを意味する「体」がついて、「身体」となったといわれています。
なお「身体」は、正しくは「しんたい」と読みます。「からだ」と読むのは常用漢字外なので注意しましょう。
「体」と「身体」の使い分けのポイント
「体」と「身体」の意味に明確な違いはないため、基本的にどちらを使っても問題ありません。
文章にする際、使い分けのポイントとなるのは読み方です。前述した通り「身体」は正しくは「しんたい」と読むため、「からだ」を使う文章ではほとんどの場合「体」を使用すると解釈して問題ありません。
また、「身体」は人間にのみ使われる漢字なので、人間以外には「体」を使うと覚えておくと良いでしょう。
「躰」と「体」・「身体」の違いは?
「からだ」と読む漢字に「躰」もあります。小説などで見かけたことがあるかもしれませんが、普段あまりなじみの無い漢字です。
「躰」は、「体」と同様に生き物の肉体や、手足を除いた胴体部分を表します。昔はよく使われていましたが、現在は常用漢字としては利用しない漢字です。
常用漢字表にも含まれないため、公的な文書や法令などでは使用されません。
こんな時はどっち?シーン別使い分け
よくあるシーン別に、「体」と「身体」の漢字の使い分けを紹介します。どちらの漢字を使っても問題ない場面もあるため、参考にしてください。
からだを動かす
「からだを動かす」に使う漢字は「体」です。動かすのは肉体であるため「体を動かす」となります。
また、「体」は生物全般に使用される漢字です。そのため、主語が人間でも、動物や昆虫の場合でも「体」を使用します。
おからだに気をつけて
メールや手紙の最後に、相手を労わる意味で用いられる「おからだにきをつけて」という言葉。この場合は、心や精神も含めた「身体」が望ましいでしょう。
「身体」を使うことで、「肉体だけでなく心身ともに健やかであるように」との意味が込められます。相手を心から思いやる気持ちが伝わるはずです。
からだを壊す・からだが資本
このケースにおいては、どちらも使用可能です。体調を崩した時に用いる「からだを壊す」は、一般的には「体」が使われます。
しかし、メンタルの不調が原因で体調不良を起こす場合もあるため、「身体」と表記するケースも。
「からだが資本」も同様に、本来であれば肉体を指す「体が資本」とされますが、「身体」が使われる場合もあります。
そのほか「からだの疲労」や「からだの負担」といった場合においても、「体」と「身体」のどちらも利用されています。
あえて使い分けるなら、肉体のみを指すのであれば「体」を、肉体と心の両方を表すなら「身体」を使うと良いでしょう。
「体」を使う具体例
前述したもの以外では、以下のような場合において基本的に「体」を使います。状況によっては「身体」を使うこともあります。
肉体そのものを指し示すケースでは「体」を用いますが、心を含めた肉体に作用する意味合いを表現するなら「身体」が適しているでしょう。
「体」と「身体」を正しく使い分けよう
「体」は、人間を含めた生物全般の肉体のことです。一方「身体」は、肉体だけでなく心や精神を含めた心身のことで、人間だけに用います。
「体」と「身体」に明確な意味の違いはなく、どちらを使用しても問題ないケースも多いのが実情です。ただし「身体」は正しくは「しんたい」と読むため、「からだ」を使う文章では「体」とするのが適しています。
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