平たくひし形の体にすぼまった口が特徴的なカワハギ。カワハギはフグ目カワハギ科に属するフグの仲間で、味わいもフグと似ています。名前の由来は調理をする際に、ざらざらとした分厚い皮を剥ぐことからきているそう。そんなカワハギを美味しく食べられる旬は、実は身と肝で異なるのを知っていますか?
今回は、カワハギを美味しく食べられる旬の時期から、青森県、静岡県、富山県、福岡県などの産地、美味しい食べ方やおすすめの料理方法まで徹底解説!本記事を読めば、スーパーなどで迷わずにカワハギを選べ、美味しく味わえること間違いなしです。
カワハギの旬
季節を問わず、春でも秋でも年中美味しく食べられるカワハギですが、旬の時期は身と肝で異なります。時期によって美味しい部位が異なるということは、手に入れる時期によってさまざまな食べ方で楽しめるということ。
ここではそれぞれの旬の時期を詳しく紹介しますので、まずチェックしてくださいね。
身の旬
カワハギの身は、一年を通していつでも美味しく食べられますが、なかでも5月〜7月の産卵期を少し過ぎた7月〜8月の夏頃がとくに美味しくなる時期といわれています。
多くの魚は産卵を終えると身が痩せていきますが、カワハギは産卵を終えたあと、体力を戻すために餌をたくさん食べて、体を大きくする習性があります。そのため、体力が戻ってくる夏頃には身が締まり、とても美味しくなるということ。一説では、真夏に出荷されないフグの代わりにカワハギの流通を増やしたため、夏が旬といわれるようになったとの話も。
カワハギの身は脂肪分が少ないため、薄造りでいただくのがおすすめです。あっさりとした白身と上品な甘み、フグのようなコリコリとした食感は病みつきになること間違いなし。新鮮なカワハギが手に入ったらぜひお刺身にして、ワンランク上の食卓を楽しんでくださいね。
肝の旬
7月〜8月頃が身の旬に対し、肝の旬は秋〜冬です。一般的に、魚は冬の寒さに耐えるために体内に脂肪を貯めますが、カワハギは肝に脂肪を蓄えるのが特徴。そのため、秋〜冬の時期はカワハギの肝にたくさんの脂肪が詰まり、パンパンに膨れ上がっています。
肝が膨れた状態は2月〜3月頃まで続きますが、4月〜6月になると一気に萎んでしまうため、冬の間に食べるのがおすすめ。ちなみに、膨れ上がった様子は「肝パン(きもぱん)」と呼ばれるほど、ツウの間では有名です。
カワハギの肝は、海のフォアグラと呼ばれるほどの美味しさ。もちろん、身も美味しいですが、肝こそがカワハギの真価だと言う人が多いのも事実です。カワハギの肝は「肝醤油」にして食べるのが上級者。醤油に肝を溶いて、薄造りにした身をつけて食べると、カワハギを贅沢に丸ごと美味しく食べられますよ。「肝パン」のカワハギが手に入ったときは、濃厚でまろやかな肝の旨みをぜひ味わってみてくださいね。
カワハギの産地
漁場が多いことで知られる大分県沿岸や富山県など、さまざまな産地が飛び交うカワハギですが、一体どこが主な産地なのでしょうか。実は、カワハギの名産地と呼ばれるような地域はあまりありません。
北海道以南から九州まで幅広く、どこでも獲ることができるため、関東近辺では有名な釣り場の静岡県や東京湾でも釣ることができます。また、全国各地で獲れるカワハギは、比較的どこの産地でも美味しく食べられるのが特徴です。
最近では、カワハギの養殖も以前より盛んで、主に福岡などの九州各地から和歌山県、愛媛県、三重県で多く養殖されています。養殖のカワハギは非常に質が高く、安定的に大きい肝が入っているのが魅力。養殖の技術も日々進歩しているので、海がない県産のカワハギが食べられる日もそう遠くないのかもしれませんね。
カワハギの種類
全国各地で獲れるカワハギですが、カワハギの仲間は多く、なんと約24属100種も存在します。その中でも皆さんがよく口にしているのは、主に「カワハギ」「ウマヅラハギ」「ウスバハギ」の3種。
カワハギはコンパクトなひし形で、こげ茶色のマダラ模様が特徴ですが、ウマヅラハギは顔と胴体が横に長く、ウスバハギはペラペラと薄く、平たい見た目をしています。
3種とも味が淡白なのは同じですが、カワハギ→ウマヅラハギ→ウスバハギの順に風味が弱くなるのが特徴。ウマヅラハギやウスバハギもカワハギ科であることからカワハギと呼ばれることがあるため、カワハギは「本カワハギ」と呼ばれることも。購入する際は、カワハギの種類にもぜひ注目してみてくださいね。
カワハギはどこで売ってる?値段の相場は?
カワハギの漁獲量はそれほど多くないため小売店に出回ることは少ないものの、運がよければスーパーでも手に入れることができます。
スーパーでの値段の相場は、煮付け用のカワハギ1尾あたり250円〜500円前後、平均的な20cmほどのサイズだと300円〜400円、30cmほどの大きいサイズになると500円前後です。ただし、肝が大きい旬のカワハギになると1尾1,000円以上することもあります。
また、天然か養殖かでも値段は変わります。養殖のカワハギは、築地市場で1キロあたり3,000円前後で取引されるのに対し、天然のカワハギは1キロあたり約6,000円と、倍の値段で取引されることも珍しくありません。
一方で、肝目当てであれば養殖がおすすめです。養殖のカワハギは肝の大きさが安定して大きいですが、天然のカワハギは旬の時期によって肝の大きさが変わるため、肝が旬の時期は天然よりも養殖の方が高くなることも。購入の際は、時期に合わせて天然か養殖か選んでみてくださいね。
カワハギを美味しく食べる方法
カワハギを美味しく食べる方法は主に、「生」「揚げ」「煮る」の3つ。それぞれの調理方法に合わせて、いちおしのレシピを紹介します。
旬によって美味しい部位が変わる魚ですので、時期によって食べ方を変えてみるのもおすすめ。さばき方も紹介しますので、新鮮なカワハギが手に入ったら挑戦してみましょう。
カワハギのさばき方
- 1. まず頭を内臓と一緒に引き剥がし、頭についた肝を取り出します
- 2. 血合いを洗い流した後に水気を拭いたら、頭の方から尾に向かって両面の皮を剥ぎます
- 3. 腹側と背側からそれぞれ中骨に向かって包丁を入れ、尾の付け根をとったら片面の身をおろします
- 4. 裏返したら同じようにもう片面もおろしていきます
- 5. 最後に腹骨と中央にある太い骨を取り除いて完成
少し難しいように感じるかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。何回か行えば慣れるので、いつでもさばけるようになりますよ。
カワハギの絶品レシピ3選
さばき方を学んだら、美味しく調理してみましょう。ここでは、旬のカワハギを楽しめる絶品レシピを3つ紹介します。
淡白でコリコリとした食感を楽しめるレシピから、カワハギの身を丸ごと使った贅沢な一品まで。レシピを参考に、美味しいカワハギ料理を楽しんでくださいね。
ねこじゃらしさんのアイデア
ちらし寿司風海鮮サラダ
新鮮な海の幸が盛りだくさん!彩り豊かなちらし寿司の魅力を、ヘルシーなサラダで楽しめる海鮮サラダです。おしゃれな盛り付けがテーブルを彩るので、パーティなどにもぴったり。カワハギ以外のさまざまな海の幸も使って、美味しさと見た目を兼ね備えた贅沢な一品を作ってみましょう。
詳細を見る
sawa.rararaさんのアイデア
唐揚げ
材料 : 鰆 / A塩麹 / Aカレー粉 / A砂糖 / 片栗粉 / 太白胡麻油
カレー粉と塩麹で味付けしたカワハギの唐揚げ。淡白で歯ごたえがあるカワハギの身は、スパイスが効いた味付けがよく合います。また、冷めても美味しく食べられるので、作り置きでもおすすめですよ。レシピ内は鰆を使っていますが、カワハギでも代用できますので、ぜひ試してみてくださいね。
詳細を見る
暮らしニスタ編集部さんのアイデア
カワハギのピリ辛豆乳鍋
材料 : カワハギ / ごぼう / キャベツ / えのきだけ、しめじ / ねぎ / にんじん / 豆腐 / 春雨 / にんにく / 赤とうがらし / 豆板醤 / 鶏ガラスープのもと / 豆乳 / ごま油
カワハギから出る旨みと、豆乳のコクが融合したピリ辛の豆乳鍋。カワハギを丸ごと使った贅沢な一品で、豆乳のまろやかさとピリ辛のスパイスが口いっぱいに広がり、身も心も温まりますよ。締めはぜひ雑炊にして、スープに溶け出したカワハギの旨みを余すことなく味わってくださいね。
詳細を見る
カワハギを上手に保存する方法
せっかく手に入れたカワハギですが、その日中に消費できないこともありますよね。そこで、できるだけ鮮度をキープしたまま保存する方法を、冷蔵・冷凍別にそれぞれご紹介します。とくに肝は鮮度が落ちやすいので要チェック!ぜひ上手に保存して、日がたっても新鮮なカワハギを楽しみましょう。
冷蔵保存
カワハギの身を冷蔵保存する際は、他の魚と同様に空気に触れないようにするのがポイントです。空気に触れると酸化して劣化が早くなってしまうので、捌いた身はそのままラップに包み、保存容器に入れたあとはしっかり脱気しましょう。
ただし、冷蔵保存だと美味しく食べられるのは長くても翌日まで。できればその日のうちに食べ切るのをおすすめします。もし翌日以降まで保存するのであれば、冷凍保存に切り替えましょう。
冷凍保存
冷凍保存する場合も、冷蔵方法と基本的に変わりません。ただし、冷凍する場合は空気が残っていると霜がつき身の劣化が早まるため、ラップに包んだらフリーザーバッグに入れてしっかり密閉することが大切です。
こうすることで、1週間くらいは鮮度を保って美味しく食べることができますよ。肝も同様の保存方法でOKですが、やはり鮮度が落ちやすいため、なるべく早く食べるのがおすすめです。
また、冷凍保存した場合は解凍方法に注意が必要です。電子レンジなどで一気に解凍すると組織が崩れてしまい、せっかくの旨みが溶け出してしまいます。
解凍する際は、食べる前日などに冷蔵庫に移し、自然解凍するのがおすすめ。ただし、脂肪が多く含まれている肝は完全には凍らないため、解凍せずそのまま調理できますよ。肝はすぐに解凍してしまうため、調理に合わせたタイミングで取り出しましょう。
まとめ
時期ごとで楽しみ方が変わるカワハギですが、年間通していつでも美味しく食べることができるのは嬉しいポイントですよね。カワハギの肝はアンキモと並ぶほど絶品なので、もしスーパーで見かけたらぜひ購入してみてくださいね。
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます