【刺し子の基本】初心者さん向けの基礎テクニック&初めてでも作れる作品レシピ

【刺し子の基本】初心者さん向けの基礎テクニック&初めてでも作れる作品レシピ

白い布に、藍や赤の糸を刺していく刺し子。心まで整えてくれるようなシンプルで美しいパターンの連なりが魅力で、今、ひそかなブームとなっています。

今回はそんな刺し子の基本を初心者さん向けにご紹介。前半は、人気刺し子作家いちきゆきこさんの書籍『刺し子のきほん』から「刺し子の基本」を、後半は、暮らし二スタさんたちの刺し子作品&レシピをご紹介していきます。ぜひ最後までご覧ください。

刺し子の基本

刺し子は、布の補強や、寒さをしのぐために施された日本の伝統刺しゅうです。東北地方を中心に暮らしの知恵として発達し、各地で手の込んだ模様が生まれました。実用性だけでなく装飾性も兼ね備え、完成までに多くの時間が費やされたに違いありません。

今は、手芸として、並縫いだけで表現できる模様の素朴さと繊細さに人気があります。針と糸と布があれば、下描きに沿って刺すだけで、凛としたたたずまいの刺し子ふきんができあがるのも魅力です。

刺し方は何通りかあり、どれも間違いではありません。模様を美しくきわ立たせるためのポイントがありますが、多くはなく、難しくもありません。工程を丁寧に追っていけば、自分らしい刺し子ができあがります。

刺し子には、布に直接図案線を描いて刺す「模様刺し」と、方眼線をガイドに縦横斜め方向に刺す「一目刺し」があります。初めての方には、下描きに沿って刺せる模様刺しがおすすめ。慣れてきたら一目刺しにチャレンジしてみましょう。

刺し子の美を伝える12の模様

基本のテクニックの前に、昔から愛されている模様から、少し目新しいデザインまで。刺し子をする人にぜひ刺してみてもらいたい模様をご紹介します。

七宝(しっぽう)

平安時代から続く「有職(ゆうそく)文様」の代表。円は縁に通じ、重なってつながり広がる様は、平和な世界や、子孫繁栄で家福を呼ぶという意味が込められています。七つの宝と同じ価値がある模様刺しです。

亀甲鉄線つなぎ(きっこうてっせんつなぎ)

長寿を願う亀甲模様の中央に鉄線(クレマチス)の花模様を配しました。鉄線の硬いつるは強い絆の象徴とされ、良縁や家庭円満の願いが込められています。斜方眼の模様は、どこかモダンにも感じられます。

変わり鳥襷(かわりとりたすき)

尾長鶏と、中国由来の唐花模様を襷がけのように配しています。有職文様の中でも格調高く、高貴な模様。つがいの鳥は夫婦円満の象徴として、婚礼の贈り物に好まれました。

八角寄せ(はっかくよせ)

八角形は、八方(全方位)に広がることで世界を示す壮大さと、運を引き寄せるといわれる縁起のよさをあわせ持つ伝統模様。この模様刺しは、いくつもの八角模様が隣り合う均整のとれた様が魅力です。

重ね亀甲(かさねきっこう)

長寿の象徴である亀甲に、家の形を模して家内安全を願う井桁を重ねたことで、花模様があらわれました。この模様を刺した花ふきんは嫁入り道具とされたそう。嫁ぐ娘の幸せを願う母の気持ちが込められています。

重ね枡刺し(かさねますさし)

米やお酒を入れたことから豊かな暮らしに欠かせない枡に、「増す」や「益す」の意を重ね、「幸福が増す」「益々めでたい」とした縁起のよい枡刺し。枡をいくえにも重ねて家族の幸せを祈りました。

六つ手籠目(むつでかごめ)

籠を六つ目(正六角形)に編むと頑丈になることから、邪気を祓い、魔よけに通じる模様刺しです。風車のようにも見え、白地を多く残すことで、清潔さと静謐な美を感じる模様刺しでもあります。

毘沙門亀甲(びしゃもんきっこう)

毘沙門亀甲とは七福神の一柱で、財宝や福徳をもたらす毘沙門天のこと。その甲冑に使われているのが、この独特な亀甲模様です。シンプルですが、固く身を守ることから特に縁起がよいとされています。

一目干網(ひとめほしあみ)

細かく切れ目ない網目が特徴で、「網文」模様に由来します。敵を一網打尽にするという意から、勝負必勝、福をからめとる模様。裏側は「霰亀甲」になりますす。表裏で異なる模様ができるのは一目刺しの醍醐味。

綾刺し(あやざし)

刺した針目に糸をくぐらせる「くぐり刺し」という技法を使います。くぐらせる糸の向きを変えることでさまざまな模様が生まれるのでデザインを創出する楽しさがあります。

米刺し(こめざし)

お米を模した小さな十字がずらりと並ぶ一目刺し。米作りには八十八手の手間がかかることから、五穀豊穣を寿いでいます。現代では食卓を囲む家族の幸せを祈念して刺したい模様です。

歯型(はがた)

名の由来には諸説ありますが、櫛を作るために引く鋸などの歯挽き道具を抽象的に模したという説が一般的。整然と並ぶ独特な凹凸模様は美しさとともに、平穏な日々への感謝もあらわしています。

糸の話

刺し子のふきんには木綿の刺し子糸を使います。じょうぶで扱いやすく、布と同じ木綿で刺すことで、使っていくうちに一体化していく様子も楽しめます。かわいいな、刺してみたいな、という好みで選びましょう。

初心者の人には4本撚り程度の太さの糸が、刺しやすくおすすめです。

【糸の種類】

撚り合わせた本数は同じでも、撚りの強さや糸の加工によって質感が変わります。

  • A:ホビーラホビーレ刺し子糸(4本撚り)
  • B:COSMO 刺し子糸hidamari(6本撚り)
  • C:DARUMA 刺し子糸〈細〉(4本撚り)
  • D:津軽工房社 mederu(4本撚り)
  • E:染織アトリエKazu (4本撚り)
  • F:小鳥屋商店(4本撚り)

【糸の太さ】

  • 細糸:2~3本撚り 
  • 中細糸:4本撚り
  • 太糸:6本撚り
  • 極太糸:8~12本撚り

【糸の選び方】

布の強度を高めるために生まれた刺し子糸は、綿糸数本を撚り合わせており、じょうぶで何度も洗うふきんに最適です。

手縫い糸や刺しゅう糸でも刺せますが、専用の刺し子糸がおすすめ。

ただし、太い糸で刺すと波打ってしまう模様や、細い糸で刺すと物足りなさを感じる模様があります。使用糸の表記を参考にして、イメージに近い太さの糸を選びましょう。

糸のよさを生かすためには縫い針との相性も大切。刺し心地や仕上がりのよさにつながります。針の選び方は下の【針の話】を参照してください。

【糸の太さによる針目の違い】

上/6本撚り 下/4本撚り

【糸の下準備】

刺し子糸は糸玉、カードやコーンに巻いてあるものと、「かせ」のまま売られているものの2種類があります。かせのものは扱いやすいよう手で巻き直しましょう。

糸は150cm程度を目安に切って使います。

1.糸のラベルをはずす。色番号はメモなどして残しておくとよい。

2.広げた状態。1つの輪の状態に広げて糸端を探す。

3.かせを束ねている糸を切る。

4.かせの輪の中に絡まりを防ぐための柱(ここでは水を入れたペットボトル2本)を置く。

5.糸端をペンなどを使って小さく巻き、指先でつまめる大きさになったらペンからはずして手で巻く。

6.柱を避けながら糸をすべて巻きとる。

針の話

刺し子用針は、太すぎない少し長めの針です。「刺し子針」として販売されている専用の針を使うことをおすすめします。

使いやすさは手の大きさや指の力などで変わるので、基準の1本を決めて使ってみて、ほかの針とも比べ、自分好みの針を見つけましょう。

【針の種類】

  • おすすめの針。
  • A:みすや忠兵衛 溝大くけ 長さ51.5mm ~4本撚り向き
  • B:みすや忠兵衛 刺し子針(長)長さ54.5mm 4〜6本撚り向き
  • C:クロバー 刺し子針 取合せ(アソート内のいちばん長い針) 長さ50.8mm 4〜6本撚り向き
  • D:チューリップ 刺し子針アソートロング(アソート内の1本)長さ51.5mm 〜4本撚り向き

【針穴の違い】

  • A・B・D:針穴が小さく溝があります。糸がつぶれにくく糸割れを起こしにくいのが特徴です。スレダー(糸通し)を使用。
  • C:細長く大きな針穴です。糸が動く「遊び」があり糸割れの懸念がありますが、太糸にも適応します。スレダーで糸を通す際に、スムーズに引き出せないようなら針に対して糸が太すぎます。少し太い針に変えるか、細い糸に変えましょう。細糸で刺すときは、糸に対して針が太すぎると、布に大きな針の穴が開きます。糸と布の間があくことで、糸がたわみ、模様がぼんやりしてしまうことがあります。太糸で刺すときは、糸に対して針が細すぎると、布の針の穴と糸で強い摩擦が生じ、「糸こき」が難しくなることが。布のゆがみにもつながるので、おすすめしません。

【針の特徴と保管方法】

A・Bは縦研磨の針。一般的な横研磨の縫い針に比べると生地の通りがよく刺し心地がよいのが特徴です。

メッキ加工がなく錆びやすいため、保管には桐箱がおすすめ。

針山で休ませるときはできるだけ深く刺します。

針は消耗品なので錆びたり加工がはげたものは処分しましょう。

左/桐箱 右/深めの針山

その他の用具の話

【仕立て・刺し子に用いる用具】

  • A:指ぬき(皿つき)/刺し子針のような長針には、皿つきの指ぬきを使います。針を持つ手の中指や人さし指のつけ根にはめて、皿で針の後ろを押し、刺し進めます。革製のものは柔らかいので手になじみやすく、金属アレルギーの人でも使えますが耐久力が低い一面も。金属製は長もちしますが、皿の角度に気をつけないと針が折れる原因になります。手の大きさ、指の長さなどにより個人差があるので、自分に合った指ぬきを選んで使いましょう。
  • B:糸切りばさみ、裁ちばさみ/糸切りばさみは糸を布のきわでカットするため、刃先が細く薄い手芸用のものが向いています。裁ちばさみは布専用のものを使いましょう。

【印つけ・図案作成に用いる用具】

  • C:手芸用または製図用の方眼定規/50cmのものがおすすめ。布(さらし)の幅が34cmなので1回で直線が描けます。加えて15~18cmくらいの少し短い定規があると、作図の際に小回りがきいて便利です。
  • D:摩擦熱で消えるペン/手芸用ではありませんが、細い線が描け、インクが長もちします。アイロンを60度以上でかけるとインクが無色になるので使い勝手は抜群。上はフリクションファインライナー®(株式会社パイロットコーポレーション)
  • E・F:印つけペン、白いチャコペンシル/濃い色の布への下描き用。水で消える(洗濯すれば消える)もの、熱で消えるものなど各種あります。

【あると便利な用具】

  • カッター、カッターマット
  • のり(スティックのり)
  • 工作用はさみ/型紙を作る際に使用します。
  • ウエイト(文ちん)、マスキングテープ/線を描くときや、定規がずれやすいとき、図案を写す際に布と紙がずれないように使用します。
  • まち針/ふきんを仕立てるときや、外枠を刺すとき、重ねたさらしがずれないように仮留めします。しつけをかけたり、安全ピンでも代用できます。
  • 円定規、サークルプレート/円や曲線を描くときに利用すると型紙を作る手間がはぶけます。

図案の描き方

【材料と用具】

  • 摩擦熱で消えるペン(2色)
  • 方眼定規(あれば30cm以上)
  • さらしのふきん

書き方・写し方

【基本の描き方(重ね亀甲など)】

方眼線や補助線を描き、それをベースに図案を描く。

【写しとる場合(十字つなぎなど)】

実物大図案をコピーし、透かして写しとる。

【一目刺しの場合(角十つなぎなど)】

方眼線を描き、それをベースに刺す。

【型紙を使う場合(流れ卍など)】

方眼線を描いた上に、型紙を使って図案を描く。

模様の刺し方

それでは実際に、模様の刺し方をみていきましょう。今回は「重ね六甲」を刺していきます。

【手順・刺し順】

模様を刺す前に、外枠をぐるりと刺しておきます。

①右中央から横線を刺す。

②端で折り返して、横線をすべて刺す。

③上中央から縦線を刺す。同様にすべて刺す。

④仕上げる。

①右中央から横線を刺す。

1.糸は150cmほど用意する。模様の少し先に表から針を入れ、布の間を通して刺し始めの位置に針を出す。

2.糸端を2cm残して糸を引き、模様を刺し始める。布の間の糸にも針を通しながら、直線で刺せる角まで刺し、頂点に針を出す。

3.針を抜いて糸こきをする。

4.直線で刺せる部分は一度に刺す。模様をきわ立たせたいときは角の頂点(→部分)に針を出し入れし、交点(→部分)は針目を裏に出す。

②端で折り返して、横線をすべて刺す

1.1辺ずつ糸こきをしながらふきんの左端まで刺したところ。ふきんを180度回し、折り返す。

2.1本めと交差させながら刺す。交点(←部分)は針目を裏に出す。

3.1往復したところ。同様にすべての横線を刺す。半分しかない模様は往復せずに一方向だけ刺す。

糸の始末

1.刺し終わりの裏に針を出し、裏の布だけをすくって2目戻りながらかぶせる。

2.糸端を2cm残して糸を切る。これを糸始末と呼ぶ。

糸のつなぎ方(糸継ぎ)

1.糸の残りが少なくなったところで裏に針を出す。

2.裏布だけをすくい、2cm程度進んだところに針を出す。

3.新しい糸を針に通し、裏で2目ほど戻った位置から針を入れ、前の針目にかぶせて刺す。このとき、裏布だけをすくう。

4.糸端が2cmになるまで糸を引く。

5.表に返し、続きの位置に針を出す。

6.続けて刺す。糸端はそのままにし、仕上げで切る。

③上中央から縦線を刺す。同様にすべて刺す

1.矢印の位置から次の模様を刺す。半分しかない模様は、往復せずに一方向だけ刺す。

2.ふきんを90度回して、 1の刺し始めと同様に、表から糸を入れて刺す。

3.1辺ごとに、糸こきをしながら進む。

4.模様をきわ立たせたいときは、角の頂点に針目が行くように針を出し入れし、交差部分は針目を裏に出す。これを繰り返す。

5.左端まで刺したらふきんを180度回し、折り返す。1往復刺したら縫い終わりの糸始末をする。

6.繰り返してすべての模様を刺せたところ。

④仕上げる

1.ふきんを中性洗剤を入れた水に浸す。軽く押し洗いする。水をかえながらすすぐ。

2.水から出して手で押して水をきる。ぞうきん絞りはしない。

3.ハンガーなどにかけてしわを伸ばし、半乾きになるまで陰干しする。

4.裏からアイロンをかけて整える。

5.外に出ている糸端を、はさみの刃をねかせて布のきわで切る。

6.できあがり。

きれいに仕上げるためのコツ・ポイント

刺し子に慣れてくると、「目が揃わない」「ゆがむ」「縮む」「裏面が汚い、裏も綺麗にしたい」などが気になり、もっと美しく仕上げたいという気持ちがわいてきます。それはすばらしいこと。「模様を美しく刺すために、どこに気をつけたらよいですか?」とよく聞かれます。そのときは「少しだけ針運びを意識するとよいですよ」とおすすめしています。

例をあげてみましょう。「重ね亀甲」は、4本線が交わる点と、2本線が交わる点があり、4本の交点では、花芯のようなデザインになります。ここの針目をすべて裏に出すと、写真のように美しく刺せます。

そのためのコツがあります。図案を描くときに、右下の写真のように交点に丸いガイド線を描いておきます。こうすると交点で針目がそろいます。一方、2本線が十字となる交点は、針目が重なっていても、離れていてもかまいません。

刺し子は、ポイントとなる箇所を少しだけ意識することで、模様がぐんときれいに仕上がります。ただ、「こう刺さなければダメ」ということは、あまりないと思っています。特に最初のうちは下手であたりまえ。交点がずれていてもご愛敬です。

出典:『刺し子のきほん』(主婦の友社)

刺し子を始める方に最適な初心者向けの入門書。刺し子糸や刺し子針について、刺す順序、縫う順番、仕上げ方、仕立て方、図案の描き方、運針など基礎を多くの写真で解説。[模様の刺し方]では、各模様別に実物大図案、図案の描き方、刺し方、美しく刺せるポイントを解説。

●模様刺しは、重ね亀甲、十字つなぎ、襷星、子持ち七宝、梯子山道、流れ卍、亀甲鉄線つなぎなど25点。

●ひと目刺しは、米刺し、亀甲花文、楼→の木、銭形くずし、綾刺しなど21点。

著者はtwoknot名で人気のいちきゆきこさん。

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みんなの刺し子作品と作り方

伝統の刺し子で作る新年のテーブルウェア

みんなのアイデアさんのアイデア

お正月の雰囲気にマッチ

材料 : 無地布(シーチング地、さらし、蚊帳ふきん)など / 刺し子糸数色

伝統柄を使った刺し子はおもてなしの為のテーブルウェアに最適。小さなぐい飲みに似合うコースター、小鉢カバー、風呂敷を作りました。デザインは「刺し子」で検索するといろいろなパターンが紹介されているので、それをコピーして使うといいですよ♪テーブルクロス、テーブルセンターなどに応用可能できます。

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刺し子をポイントに。100均の材料&キットで手作りバッグ

Time@縫夢さんのアイデア

手作りキットでワンランク上のハンドメイド

材料 : セリアキャンパストートバッグ / ダイソーカットクロス / ダイソー刺し子布 / ダイソークロスステッチキット

セリアのキャンパストートバッグに、ダイソーのカットクロスと刺し子布、クロスステッチキットで可愛くアレンジ。バッグに穴をあけて、刺し子とクロスステッチを施したハギレをはめ込むように、ミシンで縫い付けたら完成です!

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刺し子をリメイクのアクセントに!

nonkoさんのアイデア

スカートからパンツにリメイク。つなぎ目を刺し子にしたら素敵!

材料 : デニムのスカート

つぎはぎの部分に刺し子をしました。ダーニングやワッペンでもよいと思いますが、シンプルな刺し子が気に入っています。

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最後に。日本と世界の刺し子Q&A

Q.刺し子とクロスステッチの違いは?

大きな違いは、刺し子はなみ縫いと呼ばれるランニング・ステッチに似た刺し方で、クロスステッチは、名の通りクロスになるように刺すことです。

また、刺し子は図案に沿って刺すものと、布の織り目に沿って刺すものがありますが、クロスステッチは布の織り目から同じ本数の糸を拾って刺します。これは「区限刺繍」と呼ばれ、刺し子の仲間のこぎん刺しや、南米のモラ、スペイン刺繍など世界中に仲間がいます。

Q.刺し子とこぎん刺しの違いは?

刺し子とこぎん刺しは、ともに針と糸を使った刺繍の技法ですが、縫い方や用途、使い道が違います。

刺し子は、日常生活の中で使われる衣服や布団などの補強やリペアのために用いられます。

一方こぎん刺しは、主に民芸品や日用品の装飾に用いられます。縫い目が前後に通るため、表裏で模様が異なるのが特徴です。

Q.刺し子と刺繍の違いは?

刺繍には多くの種類があり、刺し子はその一つ。なみ縫いと呼ばれる刺し方を、一定の針目で刺すことで、さまざまな模様を作ります。布の補強や防寒という実用目的で生まれましたが、家内安全や招福を願う吉祥模様を刺して嫁入り道具とした「花ふきん」が有名です。

一方、刺繍(フランス刺繍)は、サテン、バリオンローズなど多彩なステッチで自由に刺すのが魅力。華麗な模様は西洋の貴婦人のドレスやファブリックを彩りました。

Q.「日本三大刺し子」とは?

「津軽こぎん刺し」「南部菱刺し」「庄内刺し子」が有名で、「日本の三大刺し子」と呼ばれています。

「津軽こぎん刺し」は、青森県の津軽地方で生まれた、区限刺繍で、伝統的な幾何学模様を精密に刺すもの。

「南部菱刺し」も青森県の南部地方で生まれ、こぎん刺しとよく似ていますが、糸の拾い方や模様に特徴があります。

「庄内刺し子」は山形県の庄内地方で盛んに刺されたもの、やはり模様に特徴があります。

いずれも、暮らしの中で使われる衣服や布団などの補強やリペアのために用いられるだけでなく、民芸品や日用品の装飾にも用いられます。

Q.「日本三大刺し子」以外の刺し子の種類は?

刺し子は日本全国にある伝統刺繍です。どの地方にも特色があり、どれも魅力的です。

・京都:京刺し子(華やかな金銀糸を使い、独特の細かい繊細さが特徴)

・東京:江戸刺し子(単純なデザインで色合いが豊富)

・愛媛:伊予刺し子(昔ながらの自然な染料を使った自然の美しさが魅力)

・北陸地方の能登半島:能登かすり刺し子

・中国地方の広島:広島刺し子(戦争後の広島で発展した、色鮮やかな刺繍)

なども有名です。

・東北地方では秋田に秋田刺し子(江戸時代から続く伝統の技法で、特に白地に青い模様が特徴)もあります。

Q.消防刺子とは?

日本の江戸時代に、江戸幕府が定めた「火消組合」と呼ばれる組織に所属する消防団員が、制服として身に着けていた制服「火消し半纏」に施された刺し子のことです。「赤」を基調にした、独自の意匠が施されています。

Q.ヤオ族の刺し子とは?

タイ、チェンマイの少数民族「ヤオ族」が作る刺し子です。糸が鮮やかで、しばしば絹糸が用いられ、お土産品として人気です。

トートバッグやポーチなどのバッグ類、テーブルクロスやランナー、コースターなどのテーブルウェア、布地で作られた衣服やアクセサリー類、壁掛けやクッションカバーなどのインテリアアイテム、伝統的な文様をあしらったストールやスカーフなどのファッションアイテムなどがあり、オンラインショップなどでも購入できます。

終わりに

日本に古くからある伝統的な刺し子ですが、今は糸の色も豊富で、かわいい作品もたくさん作れます。一刺しごとに完成に近づくワクワク感を、ぜひ楽しんでくださいね!

まとめ/暮らし二スタ編集部(主婦の友社)

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