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プレスリリース

〈目眩がするほどまばゆい虚無〉中原昌也の魅力が凝縮、病後初の小説集『焼死体たちの革命の夜』が4月30日発売!

翻訳家・岸本佐知子が絶賛! 昨年末刊行の復帰作『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』は発売後、即重版の大反響




株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役 小野寺優)は、作家、ミュージシャン、映画評論家、アーティストとして幅広く活躍する中原昌也の2023年1月病床に伏して以降初となる小説集『焼死体たちの革命の夜』を2025年4月30日に刊行いたします。
『焼死体たちの革命の夜』と改めて中原昌也について

本書カバー+袖より

中原昌也は、80年代後半より、「暴力温泉芸者」「HAIR STYLISTICS」などの名義でノイズミュージシャンとして活動し、ソニック・ユース、ベックといったミュージシャンのフロントアクトやリミックスワーク、国内外での公演を通じて人気を博しました。歪んだノイズ、過剰なサウンドと、シュールでポップセンスあふれるコラージュ、アートワークとが絶妙に入り交じった音楽性は、前衛/実験音楽ファンのみならず、幅広いリスナーを魅了しています。
一方で、90年代からは、雑誌「映画秘宝」への寄稿を中心に映画批評家としても名を馳せ、現在まで一貫する審美眼、尽きることのない映画愛がつづられた初の著作『ソドムの映画市 あるいは、グレートハンティング的(反)批評闘争』(洋泉社)を筆頭に、これまで多くの評論、映画関連書を世に送り出しています。

小説家としては、1998年、文芸誌「文藝」での連載をまとめた『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(小社刊)で鮮烈デビュー。小説、音楽、映画ほか、様々なカルチャー層から多くの読者を獲得し、賛否両論を呼ぶ話題作となりました。「中原昌也、初の小説 各界強力大推薦」と謳い、小西康陽(ピチカート・ファイヴ)、小山田圭吾(コーネリアス)、石野卓球(電気グルーヴ)ほか、総勢11名が名を連ねた同書帯からは、当時の時代の雰囲気とともに、シーンをけん引するアーティスト、目利きたちによって、既に発見されていた小説家であることがうかがえます。
2001年に初の長編『あらゆる場所に花束が……』で第14回三島由紀夫賞受賞、2006年『名もなき孤児たちの墓』(ともに新潮社)で第28回野間文芸新人賞受賞と高い評価を受け、2008年には、混沌とした日常を記した約3年半の記録『中原昌也 作業日誌 2004→2007』(boid)が、第18回Bunkamuraドゥマゴ文学賞(選考委員:高橋源一郎)を受賞するなど、作家活動の幅は広がり続けました。

しかし、2023年1月、糖尿病の合併症による脳梗塞と肺炎を併発、一時は生命が危ぶまれるほどの病状に陥ったものの、奇蹟的に生還を遂げました。現在は左半身麻痺、視覚障害の後遺症が残りながらも、多くの方々のサポートを受けながら、健康的な生活を送っています。


本書表紙より


未来も勿論なく、あとはただ捨てられるだけのボロ布が、唯一の存在感を主張するに必要な揺れを演出する微風が、「誰か家賃を払ってくれないか?」のいなたいメロディと重なって小さなスピーカーから流れた。ささやかに、煤けたボロ布はたなびいた。それは主張と呼ぶには、あまりにも小さな声。起こっても起きなくても、どちらでも構わないような、何事かが起きたとも言い難い、誰の感性にも認知されない音量の小ささだった。
(「焼死体たちの革命の夜」より)

2024年12月、〈病以前〉に書いた日記、エッセイ、映画評と、〈病以後〉の日々を語ったエッセイ、短編小説を収録した異色の生還第1作『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』(小社刊)を発表、新旧ファンに歓喜をもって迎えられ、発売後1カ月で重版が決定する大きな反響を呼びました。

同書に続いての刊行となる『焼死体たちの革命の夜』は、2016年から病いに倒れる直前の2023年までに書かれた短編9作を収録した小説集。
フィリピン人女性歌手が交通事故で死んだ速報から焼死体、動物たちへと連想を広げ、「ただ捨てられるだけのボロ布」としての生に思いを馳せる表題作、職場の窓から目にした同僚女性の不倫を妄想し「花を買いにいく」と宣言する(「わたしは花を買いにいく」)、馬に乗って新宿を彷徨う(「あの農場には二度と」)、バスに乗り角田の母親に会いに行く(「角田の実家で」)などなど、いずれの作品も、乾いた絶望と笑いとのあわいを漂いながら、異様な魅力と不気味な光彩を放つ傑作揃い。

ベルンハルトのように世界への呪詛に溢れ、カフカのように不条理で、ベケットのように美しく、アルトーのように残酷で、バロウズにようにクールな、中原昌也の文学はもはや前人未到の領域に達していました。この作品集は、この中原文学の魅力を凝縮した一冊です。

虚無が虚無を支え合ってできたアーチの向こうから、
目眩がするほどまばゆい虚無があらわれる。
――岸本佐知子
(翻訳家)



本書目次/初出
わたしは花を買いにいく………「文藝」2016年冬季号
悲しみの遺言状………「文學界」2016年11月号
劣情の珍獣大集合………「文藝」2017年夏季号
あの農場には二度と………「文藝」2018年夏季号
角田の実家で………「文藝」2020年夏季号
次の政権も皆で見なかったことにした………「文藝」2021年春季号
げにも女々しき名人芸………「ILLUMINATIONS」創刊号(2021年6月)
焼死体たちの革命の夜………「文藝」2021年冬季号
久美のため息………「FEU」創刊号(2023年6月)


著者紹介


中原昌也(なかはら・まさや)
1970年、東京都生まれ。「暴力温泉芸者」名義で音楽活動の後、「HAIR STYLISTICS」として活動を続ける。2001年『あらゆる場所に花束が……』で三島由紀夫賞、06年『名もなき孤児たちの墓』で野間文芸新人賞、08年『中原昌也 作業日誌 2004→2007』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。他の著書に『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』『子猫が読む乱暴者日記』『キッズの未来派わんぱく宣言』『待望の短篇は忘却の彼方に』『KKKベストセラー』『ニートピア2010』『悲惨すぎる家なき子の死』『こんにちはレモンちゃん』『知的生き方教室』『軽率の曖昧な軽さ』『パートタイム・デスライフ』『人生は驚きに充ちている』『偉大な作家生活には病院生活が必要だ』ほか多数。





書誌情報


書名:焼死体たちの革命の夜
著者:中原昌也
仕様:46判/上製/224ページ
発売日:2025年4月30日
税込定価:3,256円(本体2,960円)
装丁:前田晃伸
ISBN:978-4-309-03960-2
書誌URL:
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039602/

※近日中に電子書籍の発売を予定しています。
詳細は各電子書籍ストアにてご確認ください。



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