「使用」と「利用」の違いは?使い分けや例文・英語での書き方も紹介

「使用」と「利用」の違いは?使い分けや例文・英語での書き方も紹介

「使用」と「利用」は、使い方の区別がつかない漢字の代表格ではないでしょうか?

はっきりと違いは分からないけれど、なんとなく使い分けている人もいるかもしれません。本記事では、2つの言葉の違いや、使い分け・例文・英語表記について紹介します。

「使用」と「利用」の意味

まず「使用」と「利用」の意味の違いについて解説します。同じような言葉でも、微妙に異なる点があるものです。

「使用」の意味

「使用」とは、人や物を使うことです。その物が持つ性能や機能などに関係なく、ただ使うことを意味しています。

効果があるように機能や性能を生かして使うという意味合いはありません。単に使うだけです。

「利用」の意味

「利用」とは役立つようにうまく使うこと、また、使って役に立たせることです。

ただ使うのではなく、物の機能や性能を十分に生かすという意味があります。

「使用」と「利用」の共通点・相違点

「使用」と「利用」の共通点は、どちらも「使う・用いる」という意味があることです。相違点は、利用には「役立つようにうまく使う」という意味が含まれていることです。

そのため、「使用」を「利用」と言い換えても不自然ではありません。

「使用」はただ使うだけ、「利用」はそのものの持つ性質を十分に生かして使うことであると覚えましょう。

「使用」と「利用」の使い分け

「使用」と「利用」はほとんど同じ意味合いであるため、どちらを使っても間違いではありません。

利用と使用の双方に使われている「用」は、使用するという意味の漢字です。使うという意味は共通しているので、多くの場合は「使用」でも「利用」でも意味が通じます。

しかし、「利用」には「役立つようにうまく使う」という意味が含まれています。そのため、あえて使い分けするなら、メリットのある使い方をする・効果的に用いるというニュアンスを伝える時には「利用」を使うと良いでしょう。

「使用」を使う具体例・例文

言葉を使いこなすには、実際に使って感覚を覚えるのが最適です。「使用」を使う具体例・例文を紹介します。

お金に関わるもの

クレジットカードやICカード・クーポンなど、お金に関わるものは「使用」を使います。ただし、クーポンなど「支払いを安くするために使う」といった場合には、「利用」を用いることもあります。

「クーポンを使う」より「クーポンを利用する」という方が、「自分の利益になるように使う・役立つように使う」という意味合いが伝わりやすいでしょう。

  • ICカードを使用して電車に乗った
  • ポイントがつくので、普段の支払いはクレジットカードを使用しています

乗り物

車や公共交通機関、エレベーターなどの乗り物は「使用」を使います。

乗り物は「移動する」という本来の目的以外に、機能を活用して役立たせるというケースはほとんどありません。車椅子など一部に「利用」を使う以外は「使用」を使います。

  • エレベーターより階段を使用する方が、ダイエットに良い
  • 駐車場が少ないので、車ではなく公共交通機関を使用するように指示があった

場所・施設

トイレや駐車場などの場所や施設は、一般的には「使用」を使います。

会議室などの部屋も多くの場合「使用」を使いますが、空き部屋を使ってビジネスをする・収益を得るなどのケースでは「利用」を用います。

  • この部屋は書斎として使用するつもりです
  • 会議室を使用するので、準備をお願いします

「利用」を使う具体例

「利用」は、特性や機能を十分に生かすという意味合いを伝える場面で使います。「利用」を使う具体例・例文を紹介します。

サービス・制度

サービスや制度など、使うことでメリットや利益があるものは「利用」を使います。

サービスは、使うことそのものが目的ではありません。サービスの特典や恩恵を得るために使うため、「利用」を用います。

  • 株主優待サービスを利用して、10%割引で購入した
  • 子育て支援制度を利用すれば、無料でチャイルドシートを借りられます

システム・物

システムやスマートフォンなど、便利に使える物に対しても「利用」を使います。

「使う」でも意味は通じますが、「便利さを生かして使う」という意味合いが伝わるのは「利用」です。

  • 近年、再生可能エネルギーを利用した発電に注目が集まっている
  • 有給休暇を利用して、3年ぶりに帰省した

OSSのライセンス(知的財産権)

OSS(オープンソースソフトウェア)は「使用」と「利用」が用いられます。ただし、OSSのライセンスは著作物として扱われるため、「使用」と「利用」を読み違えないように注意が必要です。

OSSは、法律で知的財産権が認められています。そのため、ソフトウェアの複製が許可されていないケースでは「使用許可」となります。

OSSによっては「商用利用」が可能ですが、条件が定められていることがほとんどです。

特に二次利用、二次使用については著作権侵害とならないよう、しっかり契約書を読み込む必要があります。

再使用と再利用

よく似た言葉に「再使用」と「再利用」があります。同じ意味で使うケースがみられますが、本来は意味の異なる言葉です。

「再使用」とは、同じものを洗浄などして再度使うことを意味します。「再利用」は再生利用とも呼ばれ、分解して資源として使うことです。

再使用はリユース・再利用はリサイクルと覚えると、間違えにくいでしょう。

不利用と不使用

「不利用」と「不使用」も混同されやすい言葉です。

「不利用」とは、物品やサービスなどを使わないことを表す言葉です。「不使用」とは、製品や商品の材料や原料として使っていないことを意味します。

「添加物・合成着色料不使用」といった表示を見かけたことはありませんか?「不使用」は、電化製品の素材や食品の原料表示でよく見かける言葉です。

未利用と不使用

「未利用」と「未使用」は、基本的にはどちらも「今まで一度も使っていない」状態を指しますが、ニュアンスは異なります。

「未利用」はまだ使っていないさま・利用したことがないさま、などを意味する表現です。「未」はいまだ〜していないという意味の漢字であるため、今後は利用する可能性があることを示しています。

「不使用」は使っていない状態を意味する表現であり、今後も使わないという意味合いを含んでいます。

使用方法と利用方法

「使用方法」と「利用方法」も意味が微妙に異なる言葉です。

「使用方法」とは、物事を扱う方法のことです。「利用方法」は、物事を活用するための方法や手段を意味する表現です。

ただの使い方・操作方法なら「使用方法」が適しています。機能や性能を十分に生かす方法・効果的な使い方であれば「利用方法」が良いでしょう。

使用料と利用料

「使用料」とは、使用したことに対して支払う金銭を指します。「利用料」は、モノやサービスなどを利用する際に発生する料金のことです。

使ったことに対する請求や支払う金銭であれば「使用料」ですが、モノやサービスを使って利益やメリットを得るのであれば「利用料」となります。

身近な例として、水道の使用料・プロバイダの利用料金などがあげられます。

「使用」と「利用」の敬語

「使用」と「利用」をビジネスで用いる場合、敬語ではどのように記載するのでしょうか?具体的に解説します。

「使用」の敬語

ビジネスでは基本的に尊敬語と謙譲語を用います。尊敬語では「ご使用なさる・ご使用になる」、謙譲語では「使用いたします」と表現します。

尊敬語は取引先やお客様、上司や先輩に対して使う言葉です。一方、謙譲語は自分の行動に対して使います。

謙譲語は自分がへりくだって間接的に敬意を表す言葉であるため、誤って目上の人に使わないようにしましょう。

  • 先ほどのお客様は、右の席をご使用になった

「利用」の敬語

「利用」の尊敬語は「ご利用になる・利用なさる」です。謙譲語では「利用させていただく」と表現します。

「利用させていただく」は二重敬語のように見えますが、「利用」に「させてもらう」の謙譲語である「させていただく」が付いた言葉であるため、正しい敬語です。

  • 限定サービスをご利用になりますか?
  • 私は小会議室を利用させていただくつもりです

「使用」と「利用」の類義語

「運用」「活用」など、「使用」や「利用」と同じような意味合いで使われる言葉があります。「使用」と「利用」の類義語について紹介します。

「使用」の類義語

「使う」と同じ意味で使われる言葉に「活用」があります。また、ルールや知識を当てはめて使うという意味では、「応用」「適用」「運用」といった言葉が用いられます。

「利用」の類義語

「利用」の類義語は「使用」「活用」「応用」「運用」です。「利用」は使うことでメリットを得るという意味合いがあります。

特性を生かして使うという意味を含ませたいときは、上記の類義語を用いると良いでしょう。

「使用」と「利用」の英語での違い

「使用」と「利用」は英文でも類義語にあたるため、同じ単語を利用することがあります。英文において「使用」と「利用」の意味で使われる言葉は、下記のとおりです。

  • 使用:use, usage, employ, application, activity
  • 利用:application, use, utilization, availability

日本語同様に、文章や前後の会話の流れから「使用」と「利用」のどちらの意味で使われているのか判断することもあります。

「使用」と「利用」を正しく使い分けよう

「使用」と「利用」は、どちらも「使う・用いる」という意味ですが、微妙に異なる点があります。

「使用」がただ使うことを表すのに対し、「利用」は機能や性質を生かして使う・役立つようにうまく使うという意味合いが含まれます。

「使用」と「利用」を正しく使い分けて、円滑なコミュニケーションに役立ててください。

(参考:goo辞書(デジタル大辞泉))

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