眠活という言葉が浸透しはじめてから、睡眠を促す成分「メラトニン」が注目されるようになりました。メラトニンとは、脳から分泌されるホルモンであり、体内時計を刺激して覚醒と睡眠を切り替え、眠気を誘う作用があります。たとえば、朝起きて太陽光を浴びるとメラトニン分泌が抑制された活動状態になり、それから約14~16時間経過して再び分泌がはじまるといった具合です。この作用によって、私たちは一定のリズムで眠気を感じることができるのです。
そして、このメラトニンは「若返りのホルモン」と呼ばれることもあり、病気の予防や老化防止に大きな役割を果たします。これは、メラトニンが抗酸化作用を持っているからです。実際に、スペインの研究グループがラットを対象に行った肝臓の若返り実験によれば、メラトニンを摂取しなかったラットに比べ、摂取したラットは肝細胞のストレスが減ったとの結果が出ています。
また、メラトニンは体内で生成されるだけではなく、食品からも摂取することが可能です。例えば、キャベツの一種であるケールのメラトニン含有量は、100gあたりなんと4300ng。同じ野菜であるトウモロコシの含有量は、100gあたり139ngであるため、その差は歴然です。メラトニンを摂取して、快適な睡眠や若返り効果を得たい方は、積極的にケールを食べるようにするとよいでしょう。
眠活を成功させるためには、メラトニンを摂取するほかにもいくつかの方法があります。まずは光のコントロールです。先ほど触れたように、太陽光を浴びるとメラトニンの分泌が抑制されますが、家の照明器具や電子機器の光でも同じような現象が起こります。睡眠前にはやや暗めの照明に切り替えたり、パソコンやスマートフォンの液晶画面を見ないようにしたりして、眠りやすい環境作りに努めましょう。
また、日本睡眠学会でも推奨している「筋弛緩法」も有効です。これは、身体の緊張感を緩めてリラックス効果を得るもので、睡眠前に行うと入眠効果が得られるといわれています。具体的な方法は以下の通りです。
(1)呼吸をしながら顔からつま先まで全身に力を入れる
(2)5秒間キープする
(3)一気に脱力する
(4)5回繰り返す
そして、さらなるリラックス効果を得るために、音楽やアロマを使うのもひとつの手段です。入浴中でもいいですし、部屋で一息つきたいときでも構いません。ただ、睡眠前を意識した音量や使用量を心がけるようにしてください。
睡眠は、美容だけでなく、健康の維持・向上を考えるうえでも重要です。こちらでご紹介した内容は、質の高い睡眠を得るためにとても効果的な方法だといえます。負担も少なく、日常的に取り入れやすいと思いますので、眠活の成功を目指して取り組んでみてはいかがでしょうか?
【栄養士ライター】スズキ
栄養士養成施設を卒業後、栄養士の資格を取得し食品会社に勤務。食品会社を退職後は、自宅で料理教室を開き栄養学上正しい料理を広めています。現在は料理教室の運営の傍らタウン誌などで記事を執筆するなど、フードライターとして執筆を中心とした活動も行っています。NO.075
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