「測る」「計る」「量る」の読み方は同じですが、意味は少し異なります。この3つは日常生活からビジネスシーンまで幅広い場面で使う単語なので、使い分けに迷った経験がある方も多いのではないでしょうか。頻繁に使う単語だからこそ、それぞれの意味を知って正しく使い分けるようになりたいですよね。
この記事では、意味の違いや、適切な文脈でどのように使うべきかを具体的な例文を交えながら解説します。違いを理解して正しく使い分けられれば、ビジネスシーンでも一目置かれること間違いなし。最後にはクイズも出題しているので、ぜひ挑戦してみてくださいね。
「測る」「計る」「量る」の意味
「計る」「測る」「量る」は、辞書によるとすべて“何かの基準に基づいて物の程度を調べる行為”として示されています。
はかるといえば、「体温をはかる」「距離をはかる」などが具体例として思い浮かびます。また、それだけでなく、推測や評価の文脈でも「推しはかる」「解決をはかる」のように使われます。
しかし、状況によって使う単語は異なるので、以下で詳しく解説していきます。
「測る」の意味
「測る」は、物の寸法や距離を測定、計測する際に使用する言葉です。具体的には、主に測定器具や道具を使用して、速さや長さ、高さ、深さ、面積などの物理的な寸法を測定する際に使われます。
例えば、「気温を測る」や「距離を測る」など。ほかにも、かかった時間を計測する際には「時間を測る」、家具のサイズを計測する際には「高さを測る」「長さを測る」などの場合に使われます。
「計る」の意味
「計る」も「測る」と類似した意味を持つ単語です。基本的には、はかりや定規などの計測機器を使用して、物の長さ、重さ、広さ、量、時間、数量などを測定する時に使われます。
ただし、「測る」とは異なる点として、推測や予測、想像などの文脈で使用されるということがあります。例えば、「リスクを計る」「価値を計る」など。このように、「計る」は物理的な測定だけでなく、抽象的なことを評価する際にも使われる単語です。
「量る」の意味
「量る」は、主に物量や重さを測定する際に使用する言葉です。「分量」や「計量」などの言葉にも含まれるように、物の重さや体積を測定する際に使用されます。
また、「計る」と同様に、抽象的な事柄を指す意味も持ちます。何かを想像することや推測することなど、数値化できない概念を評価する場合にも「量る」を使う場面があります。このように、「量る」は重さ、質量から測定、推測まで、広い意味で使用される言葉です。
「測る」「計る」「量る」の違いのポイント
「測る」「計る」「量る」のそれぞれの意味について詳しく紹介しましたが、より分かりやすくするために、覚え方のポイントについて紹介します。
<ポイント>
- 「測る」は、長さ、広さ、温度、距離などの物理的な寸法を計測する時に使われる
- 「計る」は、物理的な寸法を計測するほか、抽象的な評価にも使われる
- 「量る」は、物量や重さ、液体などの容積を計測するほか、抽象的な事柄にも使われる
少しややこしいので迷ってしまう人もいるかもしれません。しかし、日常生活で多く使われるのは「測る」「計る」の2つなので、絞って習得すればあまり迷わずに済むでしょう。
「図る」「謀る」「諮る」とは?
同じく「はかる」と読む「図る」「謀る」「諮る」も、それぞれ異なる意味や用法があります。
まず「図る」は、ある目的や目標を達成するために計画を立てたり、努力をしたりすることや、目標を達成するために具体的な方法を考えることを意味します。
次に「謀る」は、悪意を持って計画を立てたり、陰謀をめぐらせたりすることを指します。「謀る」は、計画を立てるという点では図ると共通しているものの、悪意があるという点では大きく異なります。
一方で、「諮る」は他人の意見や助言を求めることを指します。特に、重要な判断や決定を下す際に、他人の意見や専門家の助言を得るために相談することを意味します。
「測る」と「計る」と「量る」の言い換え
それぞれの言い換え表現についてもチェックしましょう。言い換え表現を覚えておくことで、使い分けが迷った際の助けになります。
「測る」の言い換え表現としては、「測定する」や「寸法を取る」などがあり、具体的には「液体の体積を測定する」などと使用します。「計る」には、「計算する」や「評価する」、「検討する」などが言い換えとして挙げられます。
一方で、「量る」は「材料の重さを正確に計るために、デジタルはかりを使用する」のように、「計る」や「測る」で言い換えるのが一般的です。
「測る」と「計る」と「量る」の例文
意味や言い換え表現だけでなく、具体的な例文も確認しましょう。例文もあわせて確認することで、実際の使用方法を知って、より文法や表現の理解を深めることができます。
以下では、「測る」「計る」「量る」のそれぞれの例文を、解説とあわせてご紹介します。
「測る」の例文
例文①:体温を測るために、体温計を使用しました。
解説:ここでは、具体的な数値(体温)を知るために測定しているので「測る」が適切です。血圧や身長、熱などの計測もこれに含まれます。
例文②:部屋の長さを測るために、メジャーを使いました。
解説:特定の長さを計測するために、メジャーという道具を用いて測定しているので「測る」が適切です。
例文③:タイムを正確に測るために、アトミック時計が使用されます。
解説:タイム(時間や速度)を正確に測るために、高度な測定器具を使用しているので「測る」が適切です。
「計る」の例文
例文①:プロジェクトの成功を計るためには、顧客満足度が重要です。
解説:プロジェクトの成功を評価するという抽象的な事柄を表しているので、「計る」を使います。
例文②:経済成長を計る指標として、国内総生産(GDP)が使用されます。
解説:経済成長を評価するための指標のため、上記と同じく「計る」が適切です。
例文③:業務にかかった時間を計ることで、効率化に繋がる。
解説:時間を計測するので、「計る」が適切です。(測る、でも可)
「量る」の例文
例文①:化学実験で、水の体積を量る。
解説:液体の体積は「量る」を使用します。
例文②:この体重計は、最大で200kgまでの重さを量ることができます。
解説:重さをはかりで計測するので、「量る」が適切です。
例文③:計量カップを使って、粉の重さを正確に量りました。
解説:上記同様、重さを計測するので「量る」が適切です。
「測る」と「計る」と「量る」の英語表現
「測る」「計る」「量る」は、英語での表現もそれぞれ異なります。英語表現を理解し、使いこなすことで、国際コミュニケーションがよりスムーズに行えるようになり、ビジネスシーンでも活躍しやすくなります。
以下では、それぞれの英語表現について解説していますので、ぜひ確認してください。
「測る」の英語表現
「測る」の英語表現には、主に「measure(メジャー)」という単語が用いられます。物差しのことを指すメジャーと同じ単語で、長さ、重さ、量、時間などを測定する際に使用します。
また、ほかにも抽象的なものを評価するときや、リスクを見積もるとき、データを分析するシーンでも使われます。このように「measure」は、物理的なものから抽象的なものまで、幅広い事柄や対象を評価する際に用いられる汎用性の高い単語です。
「計る」の英語表現
「計る」の英語表現には、「calculate(カルキュレート)」があります。この単語は「計算する」「算出する」という意味があり、数学や科学分野で一般的に利用される表現です。
また、計ると同様に「見積もる」「推定する」「判断する」のように、想像上での文脈でも使用されます。そのため「caluculate」 は、物理的な測定だけでなく抽象的な意味合いでも使われる幅広い英語表現といえます。
「量る」の英語表現
「量る」の英語表現の一つとして、「Measure the weight(メジャー ザ ウェイト)」が挙げられます。この表現は、日本語で「重さを測る」または「質量を測定する」といった意味を持ち、主にはかりなどの計測機器を用いて計測する際に使用する表現です。
ただし、長さや重さなど対象に関わらず、英語表現での「計測する」という意味では、共通して「measure」を使用することが一般的です。
目指せ全問正解!例文クイズに挑戦しよう
それぞれの意味の違いから言い換え、英語表現をたっぷりと学んだら、最後はクイズに挑戦してみましょう。
クイズに挑戦することで理解度を図り、楽しみながら学ぶことができますよ。全部で5問あるので、よく考えながら回答してくださいね。
クイズ①
プロジェクトの進捗を追跡するため、週ごとに作業時間を「はかる」ことにしました。
クイズ②
フルーツの重さを「はかる」必要があります。
クイズ③
専門家は地震計を使用して、地震の強さを「はかった」。
クイズ④
彼は経済的な成長を「はかる」ために、国内総生産(GDP)を研究しています。
クイズ⑤
彼女は新しい料理のレシピを作成するため、材料の分量を何度も「はかった」。
正解と解説
①正解:計る
解説:時間を計測するため、ここでは「計る」が適切です。(測る、でも可)
②正解:量る
解説:フルーツの重さを計測しているため、「量る」が正解です。
③正解:測る
解説:計測器を使用して具体的な数値を計測しているため、「測る」が適切です。
④正解:計る
解説:成長という抽象的な物事の計算を指しているため、「計る」が正解です。
⑤正解:量る
解説:分量という重さを計測しているため、「量る」が適切です。
まとめ
クイズは全問正解できましたか?「はかる」という言葉にはさまざまな表現の仕方があり、意味も似ているため、迷ってしまうことが多いでしょう。
しかし、日常生活からビジネスシーンまで幅広い場面で頻出する言葉なので、正しく使い分けることが重要です。ぜひ普段から積極的に使って、使い分けをマスターしてくださいね。
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