そもそも、なぜ冬場は加湿器の使用が推奨されるのでしょうか。
一般的に、人が室内で快適に過ごせる湿度は40%から60%だと言われています。
しかし、冬場は湿度が低い傾向にあり、暖房器具を使用する機会も増えるため室内の湿度が40%を下回ってしまうケースが多々あります。
湿度が40%を下回ると、さまざまなウイルスが活発になると言われています。さらに、気道粘膜が乾燥することで身体の防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなってしまう恐れもあります。
健康を守るためにも、加湿器を使用して室内の湿度を40%から60%程度に保つことはとても大切だと言えるでしょう。
次は、超音波式加湿器の仕組みを簡単に確認していきましょう。
超音波式加湿器は「超音波」という名の通り、超音波による細かな振動でタンク内の水を粒子に変え、空気中に放出するという仕組みです。
タンク内の水を加熱して蒸気を送り出すスチーム式加湿器と異なり、「加熱しない」という点が超音波式加湿器の特徴と言えるでしょう。
しかし、この特徴が思わぬ健康被害をもたらす恐れも。
水の加熱工程がない超音波式加湿器は、スチーム式加湿器よりも雑菌が繁殖しやすい傾向があります。そして、タンク内に雑菌が繁殖した状態で使用してしまうと、水の粒子と一緒に雑菌が空気中に飛散されてしまうのです。
つまり、しっかりと除菌・洗浄を行っていない超音波式加湿器を使用していると、ウイルス対策として機能しないばかりか、雑菌による健康リスクを高めてしまう可能性すらあると言えます。
「雑菌」と聞いても、「ちょっとした菌くらいなら健康に影響はないのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、超音波式加湿器からの細菌感染によって死亡した事例もあるのです。
そのひとつとして、大分県の老人ホームで発生した感染事例が挙げられます。
この事例では、2017年12月に80代男性2名がレジオネラ肺炎を発症、翌2018年1月には90代男性1名がレジオネラ肺炎を発症して死亡しました。
レジオネラ肺炎とは、レジオネラ属菌の空気感染・飛沫感染により発症する細菌感染症です。
調査の結果、老人ホーム内に設置されていた2台の超音波式加湿器からレジオネラ属菌が検出されました。
この事例で注目すべきポイントは、「加湿器の水は毎日交換し、週に一度はブラシによる洗浄を行っていた」という点。
定期的にお手入れをしていたにもかかわらず、レジオネラ菌による健康被害が発生したことからも、超音波式加湿器においては念入りに消毒・清掃を徹底する必要があると言えるでしょう。
重大な健康被害を防ぐためにも、超音波式加湿器は毎日お手入れをして、雑菌が繁殖しないようにすることが大切です。
雑菌繁殖による健康被害を防ぐためにも、超音波式加湿器の基本的なお手入れ方法を確認しておきましょう。
・タンクの水を毎日交換する
・タンクに少量の水を入れてフタをして、振り洗いして水を捨てる
・本体に残っている水を捨てて、内部をスポンジやブラシなどで掃除する
・フィルターやトレーなど、取り外せるパーツは流水で洗って布でしっかり拭く
・柔らかい布で水分を完全に拭き取る
また、除菌液を使用してタンク内の除菌・抗菌を行うのもおすすめです。なかには、空間除菌を目的とした除菌液もあるので、あわせてチェックしてみるとよいでしょう。
今回は、超音波式加湿器の意外なデメリットについてご紹介しました。
乾燥対策やウイルス対策として、加湿器を使用することは決して間違いではありません。
しかし、適切にお手入れをしないと、菌繁殖による健康被害を引き起こす可能性もあります。
今回ご紹介した情報も参考に、安全に超音波式加湿器を使用しましょう。
【美容ライター】 富永ゆう
キレイになれる情報を求めて日々情報収集を行い、そのネタを美容コラムとして発信中。併せて、30代になってから結婚した経験をもとに、恋愛に関する体験談も執筆している。
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