中国の唐の時代、1年を竹の節(ふし)のように区切って普段と異なった日を設けた盆やお正月を節(せち)と呼んでいました。
日本でもこれに習って、節日の会食のことを「節会(せちえ)」と呼び、その食べ物を「お節」と呼びました。
これが由来となって、正月にいただくお料理を「お節料理」というようになったのです。
おせち料理は、正月を祝う祝い肴(屠蘇肴)を組み入れたり、日持ちの工夫をしたり、お重の組み合わせのルールを作ったりと、私たちの祖先が何代もかけて作り上げてきました。もともとの由来は中国でも、長い時を経て、日本の初春のごちそうになっていますよね。
おせちの海の幸といえば、「よろこぶ」にかけた昆布。
昆布巻きや結び昆布にして、屠蘇肴に使われます。
そして、数の子は子孫繁栄の願いを込めたものであり、鯛は「めでたい」にちなんだもの。
海老は床飾りにも伊勢海老を用いて、「ひげ長く腰が曲がるまで元気であれ」という長寿への願いが込められています。
田作り(ごまめ)は、田の肥料に使うほどたくさんとれたところから、豊作への願いを込めた祝儀肴。
おめでたいお料理として節目を感じつつ、先人が込めた想いもいっしょにお召し上がりください。
まず、山の幸の栗。
これは勝栗として保存されたものが使われました。
武士が出陣の際に縁起をかついで用いた3肴、勝栗・熨斗・昆布のうちのひとつです。
次は、干し柿。
「嘉来(かき)」として、喜びに通じるために使われるようになったものです。
柿はお砂糖が貴重品だった時代の甘味で、なますにも使われます。
そして、次の幸は「野の幸」。
これは大根やごぼう、里芋、八ツ頭、黒豆などの野菜類のことで、秋の収穫物にそれぞれ意味を持たせて使われました。
ちなみに、おせちに使う箸紙にも「海」や「山」と書いて、縁起をかついだとか。
お箸には2種類あって、日常の食事や不祝儀には褻(け)の箸、お正月や祝い事のお席では 晴れの箸を使います。
褻の箸と晴れの箸、2つの違いはカタチ。
褻の箸は片方だけ先が細くなっていますが、晴れの箸は両端が細くなっています。
この両端が細い形状には意味があり、片方は神様のためのもの。
つまり、神様といっしょに食事をするという意味合いがあるそうです。
材質は祝い膳の箸には柳が用いられます。これは、柳は昔から‘神が宿る霊木’とされてきたからです。
ちなみに、箸袋には干支の絵がついたものや、金文字で‘寿’と書かれたものが一般的には好まれるようです。
三が日の間、晴れの箸でおせちを食べるのが慣わし。
「一の重」から「控えの重」までバランスよく組み合わされたおせち。
お重を並べると、食卓がパッと華やぎますよね。
それは味わいだけではなく、見た目の印象でもお正月の晴れやかさを演出した盛り付けによるものではないでしょうか。
おせち料理の盛り付けは、大別すると関東風の「重詰」と関西風の「重盛り」があり、一般的には「重詰」が通例となっています。
盛り付け方もさまざまで、中心に一品を盛って周囲を扇状に料理が囲む「末広」、お重を九つの正方形で均等に分ける「市松」、馬のくつわに取りつける綱をイメージして斜めに美しく詰める「手綱」、お重を横に仕切って一列ごとに同じ料理を並べる「段取り」・・・などなど。
この他にも、目にも美しいレイアウト法がたくさんあります。
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