子どもの野菜嫌いは、単なる好き嫌いだけではなく、味覚に関連する本能的な反応からくるものと言われています。人間の舌は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つを基本の味として認識しています。その中の「甘味」「旨味」「塩味」は生きていくために必要なエネルギー源(炭水化物、たんぱく質、脂質、ミネラル)と認識し、本能的に好みます。一方、「酸味」と「苦味」は、未成熟や腐敗、毒と認識し、本能的に嫌う傾向にあるそうです。また子どもの味覚は、大人の3倍以上も敏感に感じてしまうそう。つまり、大人でも感じる野菜の酸味や苦味を、子どもはその3倍以上も感じていることになります。
まだ食の経験が浅い子どもは、本能的に「酸味」や「苦味」を危険な味と認識して受け付けないことが、野菜嫌いの要因と言われています。食の経験を重ねることで「酸味」や「苦味」でも食べられるものがあることを理解し、成長する過程の中で好みも変化していきます。子どもに野菜を食べるように叱るのではなく、子どもの状況に寄り添って、野菜嫌いを一緒に克服していく工夫が大切といえそうです。
野菜嫌いを克服するうえで一番大切なことは、無理やり食べさせないこと。無理をさせ過ぎることで、より嫌いになったり、食事が楽しくなくなってしまう可能性があります。一番大切なのは、食事を楽しく感じてもらうことです。たとえ今は食べられなくても、焦らず気長にソフトプッシュを繰り返すしかないかもしれません。食卓には常に野菜を揃えて、家族が美味しそうに楽しそうに食べているところを見せることで、「食べてみようかな」という気持ちになるのを待ちましょう。
一方、日々の食事に少しずつでも野菜を取り入れるために、調理方法も工夫していきたいものです。とくに緑黄色野菜は、子どもの成長に必要なビタミンやミネラルが豊富なので、子どもが食べやすくなる調理方法を模索してみましょう。味が苦手な場合は、ケチャップやカレーなど好きな味と合わせたり、食感や見た目が苦手な場合は、細かくしてハンバーグやコロッケ、ポタージュなど好きな食べ物に合わせると食べやすくなります。どんな料理にしたら美味しくなりそうか、子どもと一緒に考えてみるのもオススメです。
他にも、子どもと一緒にスーパーで野菜を選んだり、野菜を型抜きしたり切ったりと食事の準備を一緒に手伝ってもらったり、野菜を育てたり自分で収穫したりすることで、野菜に親しみを感じるきっかけになるかもしれません。
また、食の環境を変えてみるのも手です。家で食べないものも、保育園や幼稚園では頑張って食べているという話をよく耳にします。外食、キャンプや旅行、お友達と一緒に、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に、いつもと違うシチュエーションでの食事が、新たな好きな味に出会うきっかけになるかもしれません。
子どものために、野菜をちゃんと食べさせないといけない、と焦ってしまいますが、食事の時間が苦痛で、食事自体を嫌いになったり、食への関心が薄れてしまうことは本末転倒です。「無理なく」「少しずつ」「気長に」を心がけながら、少しでも食べられるようになったら、思いっきり褒めて自信をつけてあげましょう。少しずつでも繰り返し食べられることで、味に慣れていくことができるかもしれません。
ママやパパもあまり神経質にならず気長に構えて、子どもと一緒に食を楽しもう!くらいのスタンスで挑むのがいいかもしれませんね。
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