赤ちゃんが指を口に入れる行動を見て、おっぱいが足りないのかも? 不安やストレスがあるのかも? と心配するママも多いようですが、これは赤ちゃんの成長過程において普通に起こる現象だそうです。
エコー検査で胎児を調べたところ、指しゃぶりは、妊娠4カ月の終わり頃から行われていることが判明しています。胎児は、指の他にもいろいろなところに口を持っていって、唇で触れてみたり、舌で舐めたりしています。
これは「探索反射」と呼ばれるもので、胎児期や新生児期の赤ちゃんに備わっている原始反射と呼ばれる反射反応のひとつです。
体の感覚の中で口や舌の触覚が最初に発達するために、自分のまわりにあるものを知りたいと思ったときには口を使うということでしょう。つまり赤ちゃんは口を使って外の世界を学習しているというわけですね。
まだまだ大脳が未発達なため、「探索反射」が始まると、自分の指が口の周囲に触れたときに反射的にくわえて吸う「吸引反射」などの原始反射による行動をとるようになります。こうした反射で反応しているうちに、赤ちゃんの大脳に神経のつながりが形成されはじめ、おおよそ2週間から3週間たつと自分の意志で指をくわえられるようになるようです。
2カ月から3カ月目ぐらいたつと、好みの指を見つけてそれをしゃぶるようになることも。ただ、この時期の赤ちゃんは、まだものを上手に持つことができないので、スムーズに口に持ってこられるもの、すなわち自分の手指を調べようとしているのでしょう。
4カ月目に入ると、手を上手に使えるようになり、自分のまわりにある興味が向くものを口に持っていってくわえたり舐めたりしはじめます。ですから、「生まれてから10カ月ぐらいまでの指しゃぶりはとくに心配する必要はない」という意見が多いようです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、誰に教えられることなくママのおっぱいを探して口でチュウチュウと吸いはじめますよね。これは胎児の頃からの探索反射の訓練によりママの乳首を探索して口に含むことができ、指しゃぶりの吸引反射の訓練により母乳を吸うことができるのです。
本能としてスタートした指しゃぶりは、学びや遊びに発展することで自然に消滅していくのが一般的のようですが、赤ちゃんによっては、心の安定を得るためにもう少し続くこともあるようです。
ただし、歯が生え揃う4歳から5歳の指しゃぶりは、歯列不正や舌の異常、発音障害のリスクがあるという指摘もあります。
とはいえ指しゃぶりは赤ちゃんのさまざまなサインを反映しているものなので、無理やり止めさせるのではなく、赤ちゃんのストレスが溜まらないないよう、工夫しながら止められるようにできるといいですね。
おしゃぶりのメリットとしては鼻呼吸が定着しやすくなる、落ち着いてくれる、寝かしつけしやすくなる、などがあります。もともと赤ちゃんは鼻呼吸がメインですが、まれに口呼吸になってしまう赤ちゃんもいるため、矯正する目的としておしゃぶりを使うと鼻呼吸への移行がスムーズになると言われています。
ただし、おしゃぶりはずっと口にくわえていることもあって依存性が高くなる傾向があると言われています。また、なかなか止めることができず、歯が生え揃った以降も続けてしまうと、長く指しゃぶりを行っているのと同じような悪影響が出てくるおそれもあるようです。
指しゃぶりについてはさまざまな意見があるようですが、いずれにしてもその様子をきちんと観察しながら丁寧に対応していくことが必要ですね。
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