料理酒とは日本独自の調味酒とも言えますが、日本酒に塩や酢を添加して作られています。ではなぜ添加されているかというと、その理由は実は、食材の特性などより、それを扱う人の事情から。
料理酒を酒税の対象である酒のカテゴリーから外すために、食塩や酢を添加することで、酒のように飲むことをできなくしているのです。(不可飲処置といいます。)酒税対象でなくなった料理酒は、消費者からすると、酒税がかからず店頭にその分安価で並ぶようになったり、酒類販売許可証を持っていない商店などでも販売が可能になるので入手しやすくなったり、という利点が生まれるのです。
料理酒の中には、醸造方法の工夫や添加することで、うまみ成分を増したりさせているものもあります。(こちらは酒税対象となります。)いづれにしても、酒に添加されているものが料理酒となります。
お料理ビギナーの方には、料理の時には料理酒でないとならないの?と悩む方もあるそう。でも、そんな事はありません。
日本の家庭の食卓では、グラタン(フランス)カレー(インド)麻婆豆腐(中国)ミートソース(イタリアン)パエリア(スペイン)etc……様々な国の料理が日常食となっている食文化があります。そんな日本のキッチンの酒は、日本酒由来の料理酒でなくては!と決め込む必要はありません。
料理に酒を加えるのは、主に素材の臭み取りや、風味を増すためですが、日本の日本酒はもちろん海外でも様々な酒が、それぞれの料理に使われて豊かな風味などをもたらしています。
・減塩を気にしている
減塩が気になる方、料理にはお気に入りの塩を使いたい方には料理酒より酒がおすすめです。ヘルシーといわれる和食ですが、日本人の塩分摂取量は世界的にみても高く、ワースト1クラス。妊娠中、授乳中、血圧などの体調の事情で、塩を控えている方や徹底して減塩している方には、料理酒を使わずに(添加のされていない)酒を使うことがおすすめです。料理酒を使うことで、料理に加えた塩の量が思っていたより入っていて、結果、見えない塩を摂ることを防ぐためです。
・こだわりの塩を料理にはつかいたい
料理につかう塩にこだわりのある方にも、料理酒に添加されている塩は通常明記されていないので、料理酒より酒を使う事をおすすめします。(添加の無い)酒を使う方が仕上がる料理の塩を自分のお気に入りの塩だけで味付けすることができますね。
・レシピ通りの味を再現したい
レシピ通りに味を再現したい場合などにも同様です。もしレシピに「酒」と表記されていたら、「料理酒」より「酒」を使う方が、添加物の影響を受けずに、調味することができるのです。
実際、こだわりの料理人や、レストランの厨房では、料理酒より(種類は別として)酒を使うことが好まれます。料理酒を見かけることの方がまれかもしれません。調味時に、酒を加えるつもりで予定外の塩や酢などが料理に加わってしまって、思った味にならないことを避けるためです。
一般的には……
・和食 日本酒・焼酎(すっきりしていて素材の味を邪魔せずに引き出す)
・中華 紹興酒(クセの強い素材の風味もひき出す)
・欧米料理 赤ワイン・白ワイン(赤なら肉料理に合い、白なら魚料理に合う)
ですが、何種類も購入したり、冷蔵庫で保管したりするのは家庭では困りものです。
おすすめはまずは白ワインを1本、冷蔵庫に備えてはいかがでしょう。決して高価である必要はなく、スーパーなどで買える一番安価なテーブルワインで十分です。フルーティーな風味は和食にも、その他の料理にもよく合います。
料理酒と酒の違い、はっきり意識して料理できると、自分の出したい味に、更に一歩近づけるはず。「味は塩で決まる!」という程、料理の味を決める時に、大きな要素となる塩。酒も塩も思い通りのタイミングや量で調味していきたいですね。
ライター:タスカジさん ふたば
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