子どもが生まれると、「出産祝い」に始まって「お年玉」や「七五三」、「入園・入学」と様々なお祝い金をいただきます。こうしたお金を生活費とは別に、将来の教育費など子どものために子ども名義の口座で貯めたい、と思うパパやママは多いと思います。
子どもが生まれたらすぐに子ども名義の口座を作って、「使ってしまう前に子どもの口座に入金!」という先取り貯蓄はお金を貯める王道です。貯める目的が決まった口座として、資産や家計の管理をするうえでも、子ども名義の口座開設はメリットがありますね。
また、お子さんが少し成長してお金についてわかるようになっていれば、一緒に口座を作りに行くことで、お子さんもパパやママと一緒にお金について学べます。お祝いをいただいた時は自分が欲しかったものを買うお金、将来買いたいものを買うために貯めておくお金など、親子でお金の使い道や貯め方について話すきっかけにもなります。
今はかわいらしいキャラクターの通帳を発行してくれる金融機関も多いので、通帳を通じて楽しくお金を貯め、お金を大事にする心もめばえるのではないでしょうか。
メリットが多い子ども名義の口座ですが、実際に口座開設となるとどの金融機関を選んだらいいのか迷います。子ども名義の口座を開設する金融機関を選ぶポイントを3つ考えてみました。
【ポイント1】
1つ目は“0歳時から口座開設ができる”こと。金融機関によって口座開設は15歳以上など年齢の条件を付けているところもあります。せっかくのお祝い金です。使ってしまう前に口座を作っておきたいですね。
【ポイント2】
2つ目は“子どもと一緒にお金を預けに行ける”こと。子どもと歩いていけるところに店舗があるゆうちょ銀行に子ども名義の口座開設が多いのはこんな理由もあるかもしれません。ただし、ネット銀行も店舗の代わりにかわいいキャラクターの画面やカードがあります。工夫次第で自宅にいながら親子でお金について学べる仕組みがたくさんあるので、近隣に店舗がある金融機関とともに検討してみましょう。
【ポイント3】
3つ目は“将来子どもがどこに引っ越しても使い勝手がいい金融機関”です。現在はネットでの取り引きが進化しているので、店舗がなくてもあまり問題にはならない場合もありますが、全国どこに行っても現金を引き出しやすい金融機関を選びましょう。
以下に0歳から口座開設ができる金融機関の手続きについて、整理してみました。ほんの一例ではありますが参考にしてみてください。
【ゆうちょ銀行】
<準備する書類>
1.来店者の顔写真付きの本人確認書類(運転免許証など)
2.母子健康手帳や健康保険証など親権者であることが確認できる書類
3.子どもの本人確認書類(2と兼用でも可、できれば2種類)
4.届出印
<申込者>
小学生が一人で窓口に行っても、しっかりと受け答えができれば一人で口座開設できるとのことでしたが、電話で親権者に口座開設の内容を確認することもあるようです
<申込み方法>
必要事項記入の上窓口に提出
【三菱東京UFJ銀行】
<準備する書類> 1.口座開設者本人の本人確認書類
2.親権者の本人確認書類
3.本人と親権者の関係を証明する書類(住民票・戸籍謄本等)
4.届出印
<申込者>
口座開設者が15歳以上20歳未満の場合は直筆での書類提出が必要
<申込み方法>
本人が窓口に提出、親権者が持参、メールオーダー。口座開設者が15歳未満の場合親権者による申込書記載でも可
【みずほ銀行】
<準備する書類>
1.口座開設者の本人確認書類
2.手続きする人が親権者など法定代理人であることを証明する書類(住民票・健康保険証・母子健康手帳など)
3.届出印
<申込者>
口座開設者が20歳未満であれば、親権者が代理で口座開設可能
<申込み方法>
口座開設者が18歳未満で代理人が親権者(父か母)の場合インターネットでの申し込み可能
子ども口座といえば「ゆうちょ銀行」と思っていた方も、自分の取引銀行やネット銀行も含めて口座開設ができることがわかりましたね。
メガバンクは大きな都市にしか店舗がない、ネット銀行は実店舗がない、という注意点はあります。その分WEBサイトがよくできていて、金銭教育から口座開設、実際の手続きまですべてWEBで完結できる場合もあります。自分にとっての利便性や金利も比較して子どもの口座を選んでみましょう。
メリットや選択肢も広がる子ども名義の口座ですが、気をつけておきたい点もあります。
【注意点1】
1つ目は“必要な時にお金を下ろせないリスク”です。子ども名義で口座を開設しても、貯めるための口座であることからキャッシュカードを作らない方も多いでしょう。将来教育費などで大きな金額を子ども名義の口座から下ろしたい時、窓口では子ども本人しか手続きできない可能性があります。
また、子どもが20歳を過ぎたら、たとえ親でも子ども名義の口座のお金を勝手に下すことはできなくなります。口座を開設するときに、お金を下すときの手続きについても確認しておきましょう。ただし、長い時間がたっていると手続きの方法が変わっていることもありますので、お金が必要な時期が近づいてきたら、早めに問い合わせをしておきましょう。
【注意点2】
2つ目は“子ども名義の口座に年間110万円以上の入金をすると贈与税の対象になる”ことです。たとえばその年の1月1日から12月31日までの間に200万円の入金があると、200万円から110万円を差し引いた90万円に対して贈与税がかかります。200万円以下の贈与税率は10%ですので、翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告をして、9万円を納税することになります。家族間であっても大きなお金を動かすと贈与税の対象になるので注意しましょう。
子ども名義の口座は親子のコミュニケーションツールです。お年玉やお祝い金をいただくたびに、お子さんとそのお金を何に使うか、また何のために貯めるのかを楽しく話しながら活用してください。口座を通して子どもと一緒にパパやママもお金について考え、大切なこと、やりたいことにお金を使える家計を作りたいものです。
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。
50代からの住まい専門FP
参照記事:https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1297/
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