当たり前のことですが言葉を話すことができない赤ちゃんは、泣くことで自分の意思表示をします。お腹がすいた、眠いなどの生理的欲求から、寂しい、不安などの精神的欲求まですべてを泣くことで表現するのです。とくに新生児のうちは、約10か月もママのおなかの中にいて外の世界にでてきたばかりで不安がいっぱい。ママの心音や体温が感じられる温かで安心できる世界から放り出された状態ですから、たくさん泣いてしまうのも仕方がないことなのです。
例えば年配の方から「赤ちゃんが泣くたびにすぐに抱っこをしていたら抱き癖がつくよ」と言われたことはありませんか?
いわゆる「抱き癖」は、赤ちゃんが常にお母さんに抱っこされていないと機嫌が悪く泣きだしてしまうために、お母さんは一日中抱っこしていなければならない状態になること。泣くたびに抱っこすれば赤ちゃんは味をしめてさらに抱っこを求めてくるので、癖がついてよくないと昔は考えられていたようです。
しかしながら、抱っこは「今しかできない」大事なスキンシップ。いずれ大きくなったら「恥ずかしい!いやだ!」と、抱っこしたくても出来なくなる時期が来ます。
赤ちゃんが泣くということは、何かしてほしいと訴えているわけで、きちんと欲求に答えるということは、赤ちゃんに必要な事を満たしてあげることなのです。
赤ちゃんが抱っこしてもらいたい時にママが抱っこをしてあげると、赤ちゃんの情緒が安定し穏やかな子に育つともいわれています。反対に、抱っこしてもらいたいのにいつまでも放ったままにされると、赤ちゃんはストレスを感じ続けることになります。また、ママが泣き声にピリピリしていることを察知するようになり、空気に敏感に反応するようになることも。赤ちゃんも放置され続けると「泣いても無駄なんだ」と学習し、泣いて訴えることを諦めてしまいます。このことによって感情表現が乏しく、嬉しくても笑わない、悲しくても泣かない「サイレントベビー」と呼ばれる自己主張をしない赤ちゃんになってしまうというリスクも生まれてしまうようです。
抱っこすることで赤ちゃんの安心感や信頼感を得られるホルモンが分泌されると言われています。パパやママに愛されていると実感し、人を信頼する気持ちが育くまれていくのかもしれませんね。安心感を持つことから自立心が芽生え、一人遊びも早くできるようになるとも言われています。もちろん一人遊びの時期は子どもの個性にもよりますが、たくさん抱っこしてあげることが赤ちゃんの成長の手助けになるのです。
赤ちゃんは泣くのが仕事だから、なるべく付き合って抱っこしてあげようと思ってはみても、泣くたびに抱っこしていられないのも事実。要求にすべて応えていたら、家事も食事もろくに取れない状態になってしまいます。手が離せないときはしばらく泣かせてから抱っこしたり、抱っこ紐やおんぶ紐などを使ったり、無理をせず家族に頼るなどして上手に乗り切りましょう。毎日抱っこをしていると腰や肩、手首にかなり負担になって関節が炎症を起こす事もあるので、椅子やソファーに座ってひじ掛けやクッションを利用したり、バウンサーを上手く活用したりするなどなるべく体の負担にならない抱っこの仕方を実践しておきましょう。
赤ちゃんが大きくなり抱っこが辛くなってきたら、布団の上で赤ちゃんを横に向かせ背中をトントンしてあげたり、胸のあたりをトントンと優しくたたいたりして寝かせてみてください。しばらくは泣き止まないとは思いますが、何度か繰り返すうちに布団で寝られるようになります。
イライラしてしまったときは、一度赤ちゃんから離れて深呼吸をしてみたり、歌を歌ったりするのも効果的かもしれません。なぜか赤ちゃんはママの気持ちを敏感に感じ取ります。イライラしているとなかなか寝てくれないことがあるので、なるべく心穏やかに保つテクニックを身に着けておきたいものです。赤ちゃんの泣き顔をじっくり見ながら「泣き顔もかわいいね~」「眠たいのに眠れないね~」など、口に出してみるのもいいでしょう。
育児は本当に大変で、思い通りにはならないもの。どんなママでもみんな経験する道だと思って、人と比べて思い悩むことがないように「今だけ」「こんなものなんだ」と気持ちを切り替えてどんと構えていきましょう。
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