この手の話になると必ずと言っていいほど言われるのが「賃貸と購入、どちらが得なのか」ということ。毎月同程度の出費で「家賃を支払う場合」と、「35年で住宅ローンを返済する場合」で比較した記事をよく見かけます。ここでは詳細を省きますが、購入する場合のメリット・デメリットとしては、
<メリット>
・賃貸の家賃と購入の返済額が同額の場合、持ち家の方が広く、スペックも高い傾向にある。
・住宅ローン減税やすまい給付金制度などを利用できる(条件あり)。
・老後に住む場所の心配をする必要が軽減し、資産が残るので売却もできる。
<デメリット>
・多額の住宅ローンという“借金”を背負う。
・購入する場合は諸費用や固定資産税、保険料、メンテナンス費用などの出費が嵩む。
・賃貸物件に住み続ける方が、初期コストは少なくて済む。
といった内容が書かれていると思います。
また、住宅購入~売却までに掛かる累計コストを居住期間で割り、“実質家賃”を算出することで、購入が得か損か判断する方も少なくありません。
一般的に、「賃貸に出しても住宅ローンを返済できる」もしくは「売却して住宅ローンを完済できる」物件は、新築で5 %以上、中古で 6 %以上の利回りが必要だと言われており、ひとつの目安にはなるでしょう。
(関連記事1:我が家の住まい 購入or賃貸どっちがお得?https://magazine.aruhi-corp.co.jp/015-00052/)
(関連記事2:住宅購入しようか、賃貸に住み続けようか迷っています・・・。https://magazine.aruhi-corp.co.jp/00000342/)
正直な話、「賃貸と購入、どちらが得か」という問いには「分からない」と答えるしかありません。
「景気が上向くか、下降するか」「購入した物件の資産価値が上がるか、下がるか」「災害が起きるか、起きないか」「住む方がどんな人生を送ることになるのか」など、全てを正しく予測できない限り、累計コストをいくら計算してもそれは想像にすぎないからです。
本当にどちらがお得なのか、人生が幕を閉じるまで、正確に判断を下すことはできません。
もちろん、その前に「借りるか、買うか」の判断は必要です。そこで、「損か得か」で判断するのではなく、「どちらが豊かな生活を送れるか」に着目して考えてみてはいかがでしょうか?
条件の良い社宅で暮らせる場合や、勤務先から何らかの家賃補助が得られて住宅に対する費用負担が少ない場合、その恩恵をフルに受けたいと考えるのは当然でしょう。
大抵の場合、引っ越したり、マイホームを建てたりすると補助が打ち切られてしまうため、「マイホームは欲しいけれども家賃補助を受けた方が得だと感じる」という方も少なくありません。
ただし、「家賃補助がなくなった時点でマイホームを購入しよう」と考えている方は要注意。35年の住宅ローンを組む場合、計画的に貯蓄をしていなければ、リタイア後も返済が続くことになり、生活が苦しくなってしまうかもしれません。
part2へつづく
斎藤若菜 フリーライター
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。
【引用元記事】
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-0723/
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