土鍋といえば冬の鍋料理。家族がそろって好みの具材を入れてお鍋を囲む……
鍋料理でほっこり、
というのが一般的かもしれません。
そもそものお話ですが、陶器である土鍋の特性をご存知ですか?
土鍋の原料は陶土、つまり土です。
土は金属と比べ熱効率が低いので、ゆっくりと温度が上がり、一度熱くなったら冷めにくい。
それが土鍋の特長です。遠赤外線効果で、食材のうまみを逃さずにじわじわあたためて保温性にも優れている。
つまり土鍋は本来、調理の道具として優秀なんです。ただし、問題となるのが耐久性と耐熱性。
洗った後の乾燥不足で鍋肌にヒビが入ってしまった!……なんてことありませんか?
また一般的な土鍋では、鍋内の温度を上げる油を使用することは推奨されません。
そこで、土鍋の耐久性と耐熱性を高めれば、気軽にいろいろな使い方ができて、おいしく仕上がる、
そんな鍋ができるのではないか……と考えたのがこの「まいにち土鍋」誕生のきっかけです。
開発のパートナーになってくれたのは、佐賀県有田町の窯元「安楽窯」さんです。
佐賀県の有田町といえば言わずと知れた焼き物の産地。
江戸時代初期、日本で初めて磁器が作られたのが、ここ有田の地なのです。
白磁の美しさや繊細で華やかな絵付けが特徴の有田焼。有田は海に面していないため、
かつて磁器は近隣の伊万里港から遠くヨーロッパまでも運ばれました。
これにちなんで「伊万里焼」とも言われます。
美しく繊細な磁器の生産地、そんなイメージのある有田で異色の存在が、
まいにち土鍋を作る窯元、安楽窯です。
「強くて丈夫な調理器具」ともいえるこの土鍋。どんな工夫や技術、作り手の思いがあるのでしょうか。
有田でお話をうかがいました。
自信をもってこう話してくださったのは、耐熱陶器づくりに並々ならぬ熱意をかたむける安楽窯の若き社長、
末村安孝さん。
業務用の鍋も多く手がけ、各地で高い評価を得ています。
創業は昭和13年。当初は陶磁器を焼くための耐火性の器「ボシ(匣鉢)」という資材を作ることから窯の歴史は始まりました。
有田焼の透きとおるような白磁は、窯の中で「ボシ」に守られ焼き上がります。
有田焼を縁の下から支える存在としてスタートした安楽窯は、耐熱性・耐火の技術こそが根本的な強みなのです。
こだわりはまず原料から。
一般的には陶器の原料となる生地や釉薬は外注することが多いそうですが、
安楽窯ではすべて自社で生産管理しています。
窯での焼成時間も通常と大きく異なります。一般的な焼き物は約10時間で焼成しますが、まいにち土鍋の焼成時間は21~23時間!
夜間も焼き続けるため、万が一窯に異常があった場合は、末村さんの自宅でアラームが鳴るシステムになっているそうです。
丸一日近くかけてじっくりと焼き上げるから、耐久性に大きな違いが出るのです。
焼き上げてからは徹底的に「試験」を繰り返すといいます。
「試験」とは、外部の試験機関に出すことかと思いきや……
もちろん外部機関の試験も受けた上で、
何度も自社内で使って出来上がりを確かめること、末村さんが自宅に持ち帰って自ら製品をつかって調理すること、
それらすべてが安楽窯の「試験」です。
まいにち土鍋も、末村さんが実際に使って感じた不具合について調整と改良を重ねました。
ようやく耐熱温度差をなんと700℃まで高め、水を入れずに加熱してもヒビや割れが発生しない土鍋が
できあがりました。
「船に乗っていたこともあるんですよ。」
窯元に生まれた末村さんですが、若いころの一時期に有田から飛び出して日本各地でいろいろな仕事を経験されたそうです。窯業以外のたくさんの経験を経て戻った有田の地で、今は焼き物にひたすら情熱をかたむけます。
「いいものをずっと作っていきたい。」「じいちゃんになっても作っていたいね。」
末村さんは焼き物にかける熱い気持ちを、こんな言葉でさらっと表現します。
けっして力んだ言い方ではない、自然な言葉でした。
「料理人さんのおかげで、自分の腕がみがかれていると思います。」
日本料理店などからも支持されている安楽窯。
調理のプロからの「こんな鍋がほしい」という要求はとても厳しいそうです。
厳しい要求をクリアしていくことで培ってきた技術。自信がにじむ一言です。
お肉やお魚に焼き色をつけてから煮込む、そんなお料理が得意です。
もちろん、ご飯もおいしく炊くことができます。
※揚げ物には使用しないでください。
冬の鍋料理はもちろんおまかせください。
炊き込みご飯や煮込み料理をテーブルでシェアするのが楽しくなりそうです。
毎日、テーブルの真ん中へどうぞ。
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