ポリフェノールは植物成分の総称。このうち紅茶に含まれるのが「紅茶ポリフェノール」です。
簡単に言うと、緑茶のカテキンより分子が大きいのが特徴で、その分、口臭の原因の一つである歯周病菌をつかまえやすいのではと考えられています。
この成分を研究している、キリンビバレッジ「紅茶と暮らし研究所」研究員の工藤あずささんに話を聞きました。
「代表的な歯周病菌、ジンジバリスについて培養調査したところ、普段飲む1/10くらいの濃度のポリフェノールでも、緑茶と紅茶は同じくらいにその生育を抑制しました」(工藤さん)。
この菌は、歯槽膿漏や口臭の原因になるだけでなく、最近では糖尿病や脳卒中といった病気との関係も明るみに出ています。抑制できればできるほど、口臭を含めた健康の管理に役立つというわけです。
「また、これら歯周病菌から生まれ、口の中のタンパク質を分解して口臭の原因を作り出す酵素、Rgpへの影響を調べたところ、紅茶ポリフェノールのほうが緑茶より強く活動を阻害しました」。
つまり、紅茶ポリフェノールは、より効果的に臭いが出る原因に働きかけてくれるのです。また、この酵素はインフルエンザ感染を促進するとも報告されています。緑茶カテキンは風邪対策にいい印象がありますが、紅茶ポリフェノールの働きにも期待がかかります。
「もう一つが、食事後の口の臭いを再現した実験です。牛乳を飲んだあと、水か紅茶を飲み、息の成分を機械で測定したところ、紅茶は口臭成分メチルメルカプタンの上昇を優位に抑えました」。
この成分はニンニクにも含まれます。飲む前を1とした場合、お湯では平均2.6に上昇していたこの成分の濃度が、紅茶では平均0.4に抑えられたそう。この実験とは別に、メチルメルカプタンを直接水・緑茶・紅茶に溶かし人間が直接かいで臭いの強さを判断する方式では、水での臭いの強さを5点満点として緑茶で3.3、紅茶で1.0になったとのこと。メチルメルカプタンの臭いを紅茶が強く抑えることがわかります。
3つめの口臭成分に関する実験では、紅茶かお湯500mlを1時間45分かけて少しずつ飲みました。コンビニで売られているペットボトルの紅茶を少しずつ飲むというイメージです。
では、普段の生活で紅茶のパワーを活用するには、どのように飲むのがおすすめなのでしょう? 日本紅茶協会認定ティーアドバイザーでもある工藤さんに聞きました。
「食事やおやつの後だけでなく、食事と食事の間に無糖の紅茶を少しずつ飲んで口を潤すのがおススメです。最近はフレーバー入りの紅茶も多く販売されていますので、お気に入りを見つけて飲むのも、好きな香りがプラスされてより楽しめると思います」。
ちなみに、11月1日は紅茶の日なのだそう。私たちにとってこんなに身近な存在なのに、そのパワーが意外に知られていない紅茶。今後とも、じょうずに楽しみたいですね!
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