今回宿泊したのは、2026年4月にできたばかりの「茶ごもり特別室」。露天風呂と茶処カウンター、リビングを備えた、まさに「こもれる部屋」です。
誰かに合わせて行動する必要もなく、自分の好きなタイミングでお茶を淹れたり、温泉に浸かったり。そんな自由な時間の使い方こそが、大人旅ならではの魅力。
さらに、この特別室に宿泊する人だけが体験できる煎茶チャートがあり、その日の気分や体調に合わせた茶葉が用意されています。
今の私にぴったりのお茶は、心地よい渋みが楽しめる「かなやみどり」。
茶器もこの客室専用で、お好みの急須と湯呑みが選べます。茶葉との組み合わせはなんと50パターン!
渋めのカラーの平急須と湯呑みを合わせてみました。ちなみに、急須は常滑焼。常滑焼の急須はお茶の味わいをまろやかにするといわれていて、さらにうれしくなります。
ちなみに、茶処カウンターはどの客室にもついているそうで、アパートメントホテル以外で自由にお湯を沸かせるスペースがあるなんて新鮮です。
一服したあとは、露天風呂で早速リラックス。浴室には、遠州綿紬扇子、水出しのお茶、バスピロー、お茶成分が配合されたセラムなど、思う存分茶ごもりできるアイテムが備えつけられていました。これらも特別室専用です。
界 遠州の温泉は、塩分濃度が高い塩化物強塩温泉。湯上がりも温かさが続きやすく、肌の乾燥を防ぐ保湿効果も期待できる泉質です。
もちろん大浴場も堪能!露天風呂もありました。
さらにうれしいのが、大浴場にもお茶のおもてなしがあること。
入浴前、入浴の合間、入浴後と、それぞれのタイミングで楽しめる3種類のお茶が用意されています。
館内のあちこちで異なるお茶を味わえるので、まるでミニお茶巡りをしているよう。
温泉では汗をかくため、水分補給も忘れずに。お茶を楽しみながら、ゆったりとした湯浴みの時間を満喫しました。
館内のトラベルライブラリーは、客室の次に長く滞在した場所。ティーセラーにはさまざまな茶葉がずらりと並んでいます。
おなじみの玄米茶から人気の掛川茶、さらに界 遠州でしか味わえないオリジナルのお茶「爽華」まで…。好みのお茶を選び、自由に飲み比べられるんです。客室に持ち帰って淹れるのもOK!
冷たいお茶もスタンバイ。常に2種類の煎茶が並んでいて、こちらも飲み放題です。
館内あちこちでお茶を飲める、あまりに恵まれたお茶環境。移動しがてら、ついつい何杯もいただいてしまいます。カフェインの摂りすぎにはくれぐれもご注意!
界は、それぞれの施設で「ご当地楽」というその地域の伝統文化や工芸を体験できるアクティビティが実施されています。界 遠州はもちろん、お茶にちなんだ「美茶楽(びちゃらく)のおもてなし」という内容。季節や新茶の時期に合わせ、5つのシーズンで異なるお茶を楽しみます。
今回いただいたのは、夏の間に低温で寝かせた熟成本山茶(徳川家康公が愛飲していたそう)と、自分で玄米を炒ってつくる玄米茶。
スタッフさんが丁寧に淹れ方を教えてくれましたが、特に感動したのが、お湯の温度による味の違い。
熟成茶は70度、そこに玄米を加えたお茶は80度のお湯で淹れて飲み比べてみると、80度のほうが苦味や渋みが際立ち、キリッとした味わいに!
今まで「緑茶は沸騰させない温度で」というざっくりした知識だけでお茶を淹れていたので、目から鱗の体験でした。ほんの少し温度にこだわるだけで、いつものお茶がぐっと奥深いものになるんですね。
静岡・遠州エリアを訪れたなら、鰻は外せません。界 遠州の夕食では、定番の蒲焼とはひと味違う「ふぐうな会席」を楽しめます。
先付は白焼き鰻の柑香和え。きゅうり、梅、だいだいとみかんのポン酢でさっぱりと。
さらに、遠州エリアはとらふぐの漁獲でも知られる地域。夕食には、しっかりと味が染み込んだふぐの唐揚げも登場しました。
外はサクッ、中はふっくら。噛むたびにうまみが広がります。
うなすきは、割下のうまみが染み込んだうなぎに、とろりとした温泉卵を絡めて。これ以上のご飯のお供があるでしょうか。飯碗に盛りつけて、丼風にいただくのもおすすめです。
そして甘味は抹茶のアフォガート。
濃厚でほろ苦い抹茶に、ポリポリとした玄米の食感、ミルクアイスの甘みが重なります。
甘すぎず、最後までお茶の魅力を堪能できる、大人にぴったりのデザートでした。
料理全体を通して、食感のバリエーションも豊か。サクッ、シャキッ、トロッと、ひと皿ごとに違ったおいしさが待っています。
夕食後もお楽しみは続きます。ここではお茶とお酒を掛け合わせた「おちゃけ」が毎晩、宿泊者に無料で振舞われているんです。
今回いただいたのは、森町の和紅茶とジンを合わせたカクテル。お茶の香りとジンのさわやかさが重なり、すっきりと飲みやすい味わいでした。
おつまみには、ほうじ茶大豆を。お茶の風味を生かした組み合わせ。とことんお茶に振り切っています!
お酒が苦手な人のために、みかんほうじ茶の炭酸割り(ノンアルコール)の選択肢もあるのがうれしいところ。
界 遠州でのお茶体験をさらに深めたいなら、「手業のひととき」として行われる製茶体験も見逃せません。
自分で茶葉を手揉みし、お茶づくりを体験できるアクティビティで、新茶の時期や秋シーズンに限定開催されています。今回は「和紅茶手揉み体験」を体験してきました(12月15日まで。月火水のみ実施、1日1組限定。宿泊料金+税込12,000円)。
教えてくれるのは、「まるたま製茶」の鈴木さん。手揉み製茶保存会の師範でもある方です。
まるたま製茶のお茶は界 遠州のトラベルライブラリーや夕食などでも提供されていて、敷地内の茶畑も鈴木さんのサポートを得ながら管理しているそう。
体験では自分の手で茶葉を揉み、和紅茶づくりに挑戦します。
茶葉を揉んで紅茶にするなんて、普段の暮らしではなかなか経験できないこと。実際に手を動かしてみると、想像以上に大変な作業だと分かります。
茶葉の水分を抜く萎凋(いちょう)から手揉み、乾燥まで、本来は数日かかる工程。手揉みだけで5時間以上かかる場合もあるそうです。
もちろん体験では、事前に準備された茶葉を使って工程を学べるので、数時間で楽しめます。それでも、茶葉を丁寧に揉み続ける作業には、手仕事の奥深さが詰まっていました。
普段は当たり前のように飲んでいるお茶も、茶葉を育てる人、加工する人、淹れてくれる人がいて、ようやく1杯になります。
体験を終える頃には、「茶葉を育ててくれてありがとう」「仕上げてくれてありがとう」という感謝の気持ちが自然と湧いてきました。
体験中にはお茶の歴史や分類について教えてもらえるので、知識が深まるのも大きな魅力です。
最後は、まるたま製茶特製の緑茶あんのおしること、自分で揉んだ和紅茶をいただく時間。
和紅茶は渋みが少なく、まろやかで飲みやすい味わい。食事にもスイーツにも合わせやすく、普段使いのお茶としてかなり活躍しそうです。手づくり茶葉はまだまだたっぷり残っているので、自宅にお持ち帰りです。
まるたま製茶のすぐ横には茶畑が。ここの茶葉はなんと除草剤・農薬無散布。自社で摘採、製造していて、直売所と茶屋まで備えています。
おみやげのお茶をたくさん購入し、帰路に着いたのは言うまでもありません。
界 遠州で過ごして感じたのは、身近なものほど、じっくり向き合う機会が少ないということ。
毎日のように飲んでいるお茶も、温度を変えたり、茶器にこだわったりするだけで、新しい発見が次々と生まれます。いつもの暮らしまで少し豊かに感じられるようになるから不思議。
そんな小さな贅沢のきっかけになる時間を、界 遠州で見つけてみてはいかがでしょうか。
住所/静岡県浜松市中央区舘山寺町399-1
電話/050-3134-8092(界予約センター)
公式サイト/https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaienshu/
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