「界 雲仙」は、星野リゾートが運営する温泉旅館。長崎空港から送迎バスに揺られて1時間半ほどの雲仙エリアにあります。
険しいヘアピンカーブをぐんぐん上っていくと、あたり一面もくもくと湯けむり。バスを降りるとすぐ、硫黄の香りを察知。これぞ温泉地!のっけからテンションが上がります。
そう、お宿は雲仙地獄のすぐ隣にあるのです。
雲仙は、古来では「温泉」と書いて「うんぜん」と呼ばれていたそうですよ。
館内に足を踏み入れた瞬間、長崎らしい“和華蘭(わからん)”の世界観にうっとり。
和(日本)の落ち着きに、蘭(オランダ)の華やかさ、そして中国文化の香りがほんのり混ざった絶妙なバランス。
舶来ものの陶器や南蛮の色使いに「かわいい〜!」が止まりません。
ここはロビーに隣接したトラベルライブラリー。コーヒーやハーブティー、さまざまな本が用意されていて、宿泊者が自由にくつろげる場所です。
素敵すぎて、チェックイン前から撮影大会がスタート(笑)。
客室へ向かう廊下にも、素敵なランプが。期待感がどんどん高まります。
今回泊まる客室は、客室付き露天風呂(定員2名)。
コンパクトなスペースにベッド、お休み処、窓の外には半露天風呂。
温泉好きによる、温泉好きのための、温泉に浸かるためだけにしつらえられた空間です。思う存分温泉を楽しんでもらうために、露天風呂付き客室ではなく、あえてこの名称にしたのだそうですよ。
湯上がりスペースは、床もチェアも防水仕様。浸かって休んで、また浸かって。雲仙地獄と森を眺めながら、いつでも好きなタイミングで温泉に浸かれるなんて、これ以上のご褒美、他にある!?
気心の知れた大切な人と過ごす、おしゃべりと笑いが止まらない湯ごもり時間です。
夕食までの時間は、ご当地楽「活版印刷~凹凸の魅力~」というアクティビティに参加。長崎は活版印刷が生まれた場所で、その楽しさをプチ体験できます。
自分で文字を選んで、ピンセットでひとつずつはめていきます。昔はこうやって本や新聞をつくっていたのですね。細かい作業ですが、意外とハマります!
機械に紙をはさみ、インクをつけてガシャンと印刷。こんなに素敵な仕上がり!
イラストは数種類から選べます。無料で体験できるので、チェックイン後にすぐ空き状況を確認したいところ。
夜のお楽しみは、長崎の味覚をたっぷり詰め込んだあご出汁しゃぶしゃぶ会席。
まず登場するのは、豚角煮をリエットに仕立てた先付けです。豚の角煮は長崎の伝統料理。鎖国時代に中国からトンポーローという煮込み料理が日本に伝わったのだそうです。
リエットはどこ?と食いしん坊さん。ちゃんと湯せんぺいの下に隠れていますよ。木槌で鬼を退治しながらせんぺいを割って、景気づけ。粋な計らいです。
この湯せんぺいは雲仙名物で、小麦粉などに温泉水を練り込んで焼き上げたウエハースのようなお菓子。リエットをつけていただきます。お好みでからしも一緒に。濃厚な旨みとからしのピリッと感がたまりません。これは絶対、お酒が進むやつ!
この会席は長崎の卓袱料理(朱塗りの円卓に人数分を盛って食べる形式の宴会料理)をイメージしていて、宝楽盛り(八寸、お造り、酢の物を一緒に盛りつけたもの)は人数分一緒に盛られて運ばれてきます(写真は2名分)。
円卓からわいわい取り分ければ、絆も親近感もさらに高まりそう。台のもの、あご出汁のしゃぶしゃぶも人数分で。
ペースや食べる量を気にせず箸を進められる鍋はやっぱりいい…。
もともと界のお食事処は半個室ですが、雲仙は〆の五島うどんまで一気に運んできてくれるため、プライベート感はさらに強め。食事と会話にさらに集中できた気がします。
しゃべりすぎ、そして食べすぎ飲みすぎ警報が鳴りっぱなし。
甘味の枇杷のかんざらし(白玉団子に透明な蜜をかけた長崎の伝統和菓子)までいただき、お腹はいっぱい。でも、21時には和華蘭ラウンジへダッシュ!
チェックイン時に訪れていたこのトラベルライブラリーは、夜だけガラスの端材を活用した光を天井や足元に投影し、特別な空間に変化。このガラスは世界文化遺産、大浦天主堂のステンドグラス修復で実際に使用されたものだそうです。
ラウンジ限定のステンドグラスカクテル(900円)を堪能しました。デザートは別腹です。
中身はジントニック。ステンドグラスみたいなゼリーが美しすぎる…。甘党には長崎名物のスイーツ、ミルクセーキ(800円)を。しゃりしゃりとした食感がクセになります。温泉でほてった体にちょうどいいかも。
翌朝は早起きして、朝食前に「雲仙地獄パワーウォーク」というアクティビティに参加しました。
白煙がもくもくと立ちのぼる遊歩道を、スタッフさんと一緒にぐるりとほぼ1周するという内容。
湯けむりスチームを浴び、時々ストレッチして全身をほぐしながらウォーキングしていきます。所要時間は1時間30分ほど。なんと宿泊者は無料で参加できます。
スタート地点で渡された木の杖を持ち、吸って吸って吐いて、のリズムで早足ウォーキング、そして時々エクササイズ。地面のあちこちから湯気や湯が湧き出していて、地球のパワーを間近で実感します。
「エイ、エイ」と大声を出しながら行うエクササイズは、正直なところ結構ハードです。普段いかに運動していないかを思い知らされますが、心地のいい疲れです。
終盤には体の奥から温かくなり、じんわりと汗ばんできました。基礎代謝が底上げされたような感覚。
体が目覚めた後の朝ごはん、それはそれはおいしかったです!
島原の乱で天草四郎が仲間に振舞ったと言われている雑多煮。地元の名産と逸話にちなんだ料理をいただけるのは、旅の醍醐味ですね。
帰る前にチェックしたいのが、界 雲仙のお土産コーナー。
ありきたりな温泉みやげとは異なる、こだわりパッケージのアイテムも多くて目移りします。今回は暮らしニスタ編集部目線で選んだトップ3をご紹介。映えとおいしさ、どちらも妥協しません。
長崎といえば出島。ハーブもここから伝わったそうで、老舗洋菓子店がつくった甘くないチーズクッキーです。ポリポリ、お酒と一緒につまみたい!南蛮ムード全開のパッケージにテンションが上がります。
南蛮ポキータ(ローズマリー、クミン、タイム) 6本入×2袋 各490円/梅月堂
長崎に来たなら、カステラを買って帰らない選択肢はありません。福砂屋のカステラは長崎市内や空港でも購入できるのですが、界 雲仙コラボのオリジナルパッケージはここでしか手に入りません。味はもちろんお墨付き!5個入と、ばらまきお土産に便利な単品で展開。
フクサヤキューブ 5個入 1,800円、1個 各400円/ともに福砂屋
会席の先付で使われている雲仙名物の湯せんぺい、じつはショップで購入可能。生地に温泉を練り込んでいて、温泉好きのお殿様に献上するためにつくられたそうです。ほんのり甘くて、ふわっと軽い。万人受けするお菓子です。雲仙らしいお土産は空港ではあまり手に入らないため、お宿で購入しておきたい!
温せんぺい(14枚入り) 680円/遠江屋
硫黄の香り、南蛮の彩り、そして笑い合うひととき…。
温泉宿は、「静かにしっとり心を整える系」と「元気とエネルギーをチャージする系」がありますよね。言うなれば、“静”と“動”。界 雲仙は明らかに後者です。館内は宿泊客の笑顔と笑い声に包まれ、それを見てまた笑顔になる…。そんな陽スパイラルに、いつの間にか取り込まれていました。
雲仙地獄、そして界 雲仙では、白煙の向こうに思わず笑顔があふれる“極楽時間”が待っています。
次来るときは友だちと、もしくは母親と湯上がり乾杯、決まりです!
住所/長崎県雲仙市小浜町雲仙321
TEL/予約050-3134-8092(界予約センター 9:30AM〜6:00PM)
▶https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiunzen/
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