
秋保温泉は、仙台市郊外で1500年以上の歴史を誇る名湯。数ある温泉旅館がある中で、「界 秋保」は2024年4月に開業したばかり。全国で23箇所展開している、星野リゾートが運営する温泉旅館ブランド「界」の一施設です。
東京から遠く離れたイメージのある秋保温泉ですが、仙台駅までは東北新幹線で約1時間半。秋保温泉はそこからローカルバスに揺られて約40分で到着します。じつはとてもアクセスのいい温泉地なのです。
しかも、バス停はホテルの目の前。重たい荷物を抱えての移動もラクラクです。新幹線やバスから田園風景を眺めているうちに、あっという間に到着しました。
エントランスの自動扉をくぐった瞬間、目の前に広がるのはガラス越しに見える緑いっぱいの景色。森と名取川の借景に、忙しない日常で縮こまっていた心が一気にほどけていくようです。
癒してくれるのは秋保の自然だけではありません。界 秋保には宮城県の伝統工芸を取り入れたしつらえがあちこちに。ロビーには仙台ガラスのこけしやだるまがアートのように飾られています。
客室はすべて伝統工芸を取り入れたご当地部屋。宿泊した「紺碧の間」では、目の前に再び、森の借景が。界 秋保はどの客室も森が見えるつくりになっているそうです。
森ビューのくつろぎコーナーでさっそくお茶タイム。眼下には名取川が見える、私だけの特等席です。窓を少し開けても、驚くほど静か!
客室内にも仙台ガラスの装飾品が飾られているほか、こけし柄の和紙の障子も素敵です。
客室では、秋保石のキーホルダーづくり(2,400円)に挑戦。仙台といえば、仙台七夕まつり。その七夕飾りに使われた和紙と、秋保温泉の秋保石を使って自分だけのオリジナルキーホルダーをつくります。
これは客室やロビーなど好きな場所、好きな時間に体験できるアクティビティ。チェックイン後にフロントで申し込めば誰でも参加できます。
スタッフさんからのレクチャーは特にありませんが、キットに詳しい手順を記した紙が入っているので一安心。
15分ほど作業して完成したのがこちら。想像以上にかわいい仕上がりです!
キーホルダーをつくったら、あとはのんびり過ごすだけ。
館内にはせせらきラウンジという宿泊者専用のラウンジがあり、季節の生菓子や仙台駄菓子がふるまわれています。コーヒーやハーブティーだけでなく、地元ワイナリーのワインやウイスキーまで…!
ラウンジには本や雑誌も置かれていて、ぼんやりページをめくるだけで癒やしの時間。奥に広がるテラスには足湯もあります。森から聞こえる自然の音がBGMに。
客室からの景色に見とれ、大浴場で温泉に浸かり、せせらきラウンジでお茶を飲む…。
このシンプルなサイクルが、心のエネルギーチャージに効果的なのです!
半個室でいただく夕食は、大名御膳をイメージした新伊達会席。ひと皿ひと皿がとにかく華やかです。
先付は牛テールのディップ 仙台麩添え。薄く切ってクラッカー風に仕上げた仙台麩に、ディップをつけいただきます。
仙台といえば牛タンやずんだ。今回の会席でももちろん登場し、目を楽しませてくれました。仙台名物が次から次へ…。写真を撮るのに忙しい(笑)。
とくに牛タンの柔らかさには感動したのですが、山の幸だけでなく海の幸もふんだんに盛り込まれていて、驚きました。
仙台は世界3大漁場のひとつ、三陸沖が近いからなのですね。
界ブランド名物の宝楽盛り(八寸とお造り、酢の物を一度に盛り合わせたもの)では新鮮なお刺身、メインのお鍋ではふかひれ利休鍋と、どちらもバランスよく味わえて食後の満足感はかなり高め。
その土地ならではの文化を体験できるご当地楽は、界でしか味わえないアクティビティ。各施設で趣向を凝らした体験が提供されていますが、ここ界 秋保では、伊達政宗公ゆかりの文化をテーマにした特別な時間が用意されています。
その名も「伊達な宴」。
仙台藩は名将・伊達政宗が治めていたエリア。政宗時代に思いを馳せながら一杯(日本酒または甘酒)いただく宴の席です。
このアクティビティのためにしつらえたという特別な部屋。勝色(かちいろ)に金の日の丸という、伊達政宗公の軍旗をイメージしたデザインを取り入れています。
勝色は、黒色に見えるほどの暗い藍色。現代の感覚からしても、この配色は本当に素敵です。伊達政宗公の粋な振る舞いや奇抜なファッションが「伊達男」の語源になったと言われているのも、妙に納得。相当なおしゃれさんだったのですね!
宴では、「今日は何藩からお越しなのですか?」というスタッフさんからの質問で参加者一同、大盛り上がり!「武蔵藩です」「駿河藩です」などと、江戸時代にタイムスリップした気分で会話が進んでいきます。
これから界 秋保を訪れる方は、自分が何藩出身なのか、何藩に住んでいるのか事前に調べておくことを全力でおすすめします!
また、当時の方法にならって酌や乾杯をします。“ある方法”で乾杯奉行を選定し、指名された人が乾杯の音頭をとることになっているのでぜひお楽しみに…。
この宴、「歴史に詳しくないから不安…」と思う方も大丈夫。界 秋保は、伊達政宗公のセンスを宿全体で“遊び心”として表現しているので、むしろ知識ゼロでも楽しめるのが魅力です。
知らなくても親近感が湧き、歴史の授業では味わえなかった政宗のカッコよさに惚れてしまうはず。
一日の終わりに待っているのは、生演奏タイム。仙台ゆかりの演奏家による、しっとりとした音色に耳を傾けながら過ごす夜は、なんとも言えない至福の時間。
楽器は日替わりだそうで、編集部が訪れた夜は篠笛。派手なエンタメではなく、心に静かに染み入る旅をそっと締めくくってくれました。
特別な観光やアクティビティをしなくてもいい。界 秋保で過ごした1泊2日は、ただ「何もしないこと」が最高のご褒美になる滞在でした。
仕事や家事、育児、介護などで余裕のない日常から少し距離を置いて、たまには自分自身に「休んでいいよ」とGOサインを。「もう年末!?」なんてセリフが飛び出す前に、界 秋保でリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?
住所/宮城県仙台市太白区秋保町湯元平倉1番地
TEL/予約050-3134-8092(界予約センター 9:30AM〜6:00PM)
▶https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiakiu/
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