「界 奥飛騨」は、北アルプスの雄大な自然に佇む温泉旅館。星野リゾートが手がける「界」の一施設です。岐阜県高山市にあり、位置的には飛騨高山と長野県松本のちょうど真ん中あたり。
名古屋や松本方面から車で向かう人は多いものの、実は東京からも直行の高速バスが運行しているのでアクセスしやすいんです。新宿バスタから、お宿がある平湯温泉までは約4時間半。途中、サービスエリアで休憩もしながら、のんびり向かうことができます。乗り継ぎなしで行けるのはかなりラク!
岐阜県奥飛騨温泉郷に位置する界 奥飛騨はアルプス山脈に囲まれ、いつ訪れても自然の雄大さを感じられるロケーション。でもやっぱり冬は格別です。360度、雪景色。とても静かで、車もほとんど通りません。聞けば、雪は例年12月から3月初旬ごろまで積もっているとのこと。
屋根に積もった雪の厚さにただただ驚きます。「雪国に来たんだ」とテンションが上がる、上がる!
ちなみに平湯温泉バスターミナルからお宿までは徒歩3分。観光にあちこち出歩くことなく、心ゆくまで温泉を楽しみたい人にうってつけです。
その地域の文化や伝統技術に触れることができるのが、界の大きな特徴。飛騨といえば、木工家具を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。館内も客室も、飛騨の伝統的な技術や工芸が贅沢に使われています。宿泊したのはご当地部屋「飛騨MOKUの間」です。
曲木の技術を用いたヘッドボード、飛騨春慶という漆塗りでつくられたウォールアート、飛騨染のクッションなど、飛騨のいいものがギュッと散りばめられています。純和風の客室でなくても、こんなにすんなり馴染んでいるのはさすが。
そして今回は、客室露天風呂つき。
そう、お風呂からの雪景色を見るために私はここに来たのです…!
界 奥飛騨は東と西の客室棟、湯小屋棟、離れの4つの棟に分かれていて、客室露天風呂があるのは西の客室棟。ほかにもさまざまなタイプが用意されていて、泊まるメンバーや目的に合わせて選べるようになっています。
例えばおひとり様専用部屋。コンパクトにまとまった客室には、快適なダブルベッド、デスクワークができるカウンター&チェアが。本当ならこんな贅沢な環境で仕事したくはないですが、むしろサクサクはかどりそう…。
チェックインして一息ついたら、お宿オリジナルのアクティビティに参加。
「飛騨の匠体験」という、木を曲げて風呂敷バッグのハンドルをつくる内容です。
会場は離れにあるトラベルライブラリー。
規定の長さにカットされた木材が用意されていて、それを自分で曲げていきます。飛騨の曲木、というキーワードは耳にしたことがあったけれど、こんなふうに人の手で本当に曲げられているとは知らなかった!(厚みのある木材は機械で曲げられているそう)
曲線でカットされた木材の上にハンドルを乗せ、ゆっくりと押して曲げていく作業。割れないかドキドキしながら、なんとか完成しました。でも所要時間はほんの20、30分ほど。あっという間にできてしまいました。
客室のアメニティであるオリジナル風呂敷を結んだら、バッグの完成。大浴場や食事で移動するときに便利です。界はどの施設でも風呂敷が用意されているので(しかも全施設、異なる配色です)、他のお宿にも持っていきたい!
ただ訪れて泊まるだけでは分からない、伝統文化の技術を実際に体験できるというのは本当にありがたい。しかもこれ、宿泊者は無料で参加できるんです。有料でもいいから、親しい人へのプレゼントにもうひとつ欲しい…。実際にそういうリクエストが多いと聞き、深く納得です。
アクティビティが終わった後は、離れにある中庭でそのまま足湯を満喫。
雪見酒ならぬ、雪見ハーブティーで一服です。トラベルライブラリーにはコーヒーやハーブティーが置いてあり、24時間いつでも飲めるようになっていてありがたい。
普段の時間軸とは全然違う、のんびりとした時間が過ぎていきます。
夕食は特別会席。山の恵みをこれでもか!というほどいただけるコース料理です。
宝楽盛りという界オリジナルの一品は、八寸とお造りと酢の物が一緒に盛られたもの。味わう、というのは視覚情報も大事なんだなぁと実感させられる美しい盛りつけです。
メインディッシュは飛騨牛の朴葉つと焼き!
朴葉に包まれた飛騨牛はヒレとロースの2種類。好きなタイミングでジューッと焼いていただきます。塩、わさび、たまり醤油…。何をつけてもほっぺたが落ちるウマさ。
もっと食べたい…と願いつつ、アラフォーにはこれくらいの量がちょうどいいんだろうなぁと言い聞かせて。
温泉宿のごはんは得てして量が多めですが、界 奥飛騨は適度なバランスだったと感じています。牛肉を使った一品も多かったけれど、決して胃もたれせず、お腹がはち切れそうになる感覚もなし。
いいものを少しずつ。この贅沢さが身に沁みて感じられるひとときです。
客室のある西棟から、食事処のある東棟へ。そして大浴場のある湯小屋へ。界 奥飛騨は敷地内でそれぞれの建物が独立している回遊空間になっています。
ちょっと面倒に感じるかもしれませんが、移動するたび外に出て雪景色を鑑賞できるのが意外とよかった!
客室にこもってしまうと、雪はきっと窓から眺めるだけになっていたはず。少しの移動でも、屋内の温かさにありがたみを感じ、外に出ればヒヤッとした外気と雪を感じ。そのギャップがとても心地よくて、心が洗われるようでした。
3月23日まではライトアップイベント「飛騨玉の雪明かり」が開催されていて、このイベントのためにオリジナルで製作された和照明、飛騨玉がそこかしこに吊るされています。
行燈をはじめとする和照明は、洋風のそれと比べて低めの位置にディスプレイされるもの。雪を優しく照らしてくれる姿は癒やし度満点。まるで絵画のようです。
ちなみに大浴場の露天風呂も、雪の回廊をモチーフにしたデザイン。雪と空しか見えないので、瞑想しているような気分に浸ることができました。
心ゆくまで温泉に浸かって就寝し、お待ちかねの朝食は山の幸がたっぷり。
定番の焼き魚やだし巻き玉子、豆腐ほか、きびを朴葉に巻いて蒸した一品やぼっか煮(川魚の甘露煮)、牛しぐれ…。ご飯に合いそうなおかずばかりです。
中でも、干し野菜と豚肉の味噌鍋はとてもよかった!
「干し野菜って、味は凝縮されているかもしれないけれどペラペラでふっくら感に欠けるんじゃ?」と勝手に先入観を抱いていたのですが、大きな間違いでした。
干し野菜だと言われなければ気づかないほどしっかり戻っていて、本当においしい!
雪に覆われる飛騨地方。冬の間の保存食として干し野菜を多く仕込んでおくのだそうで、まさに雪国の知恵ですね。
特に寒干し大根(凍結と乾燥を繰り返してつくる干し大根)には感動。気になる!という方はぜひ現地で味わってみて。
旅の記念に持ち帰りたいおみやげを、界 奥飛騨のショップでチェック。暮らしニスタ編集部が選んだのはまず、こちらです。
飛騨山椒入り味噌煎餅(5枚入り1,080円)です。地元の老舗、井之廣製菓舗のもので、客室のお茶請けにもなっています。パリッと香ばしい薄焼き煎餅に、山椒の香りでピリッと香る。季節によりフレーバーやトッピング材料が変えて提供されているようです。
北アルプスの山々と温泉が組み合わさった、界 奥飛騨限定のパッケージも素敵。
続いて、ハーブティー(各1,480円)をご紹介。岐阜県多治見を拠点にしているハーブ専門店、シュクレ メディシナルハーブです。トラベルライブラリーで提供されているハーブティーはこちらのもの。
ブレンドされているハーブが見える、華やかなパッケージは、手渡すときに喜ばれそう。
最後は、飛騨木工のオブジェ!Tonenrico worksのごきげんドリ ミアゲ(カラー各6,720円、ナチュラル6,820円)です。飛騨高山でオブジェやウッドジュエリーをつくっているブランド。
飛騨木工といえばチェアなど大型家具を思い浮かべますが、小さなオブジェなら気軽に連れて帰れそうです。
住所/岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ケ根506-1
TEL/予約050-3134-8092(9:30AM〜6:00PM)
▶https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiokuhida/
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