ドラマは、韓国最高峰の超高級タワーマンション「ヘラパレス」で、一人の女性が転落死するところから始まります。
ヘラパレスの完成1周年を祝った記念パーティ中に起きた、マンション中層階からの女性の転落死。遺体は、パーティを楽しんでいる最中の住人たちによって発見されますが、女性はとある理由で住人たちから恨まれている人物でした。
遺体を発見した住人たちは、女性の死によってヘラパレスの価値が暴落すること、事件に関与したと疑われることを恐れ、女性の死を別の場所で起きた自殺に偽装することに。
住人たちが協力して女性の死を偽装、隠蔽し、無事に終幕したかと思われたパーティ。しかし、女性の死はとある人物によって目撃されていました…。
このドラマの見どころは、いたるところで生まれる謎と、予想しきれない数々の裏切りにあります。
女性の死には、ヘラパレスの住人以外も関わっており、特にキーマンとなっているのが、オ・ユニとペ・ロナの親子。
この親子は亡くなった女性と深く関わりがあり、さらに母親のユニは、ヘラパレスの住人でロナが通う学校の次期理事長チョン・ソジンと、互いに学生時代から恨み合っている重要人物です。
1話から6話まではこのユニ親子を中心に物語を追いつつ、一体誰が亡くなってしまうのかという考察をし、7話以降からは事件の目撃者とともに住民の秘密と真犯人に迫っていきます。
目撃者が事件の真相に近づくたびに、事件に関わった住人の秘密が暴かれ、不信が生まれ…。さらに階級意識の強いヘラパレスの保護者・子どもたちと一般家庭で暮らすユニとロナ親子の争いも激化していき…。
奪って奪われて、裏切って裏切られて、互いにやってやられてを繰り返していくうちに、いつ誰が誰を裏切っているのかわからない状況になる本作品。物語後半のある人物の闇落ちには特に驚きました。
通常の作品であれば、何度かひどい仕打ちを受けたり、大切なものを奪われたりしたら、ほとんどが逃げ出したり、疲れ果てたりするものですが、ヘラパレスに登場する人物は全員何度奪われても、何度壊されても必ず復讐心で立ち上がるんです。まさに不死身のメンタル。
この不死身のメンタルをもつ者が、非がない人物であれば頑張れと応援したくなるのですが、明らか非がある人物でもやられた復讐心に燃えたぎる。謝ることはないし、自分の言動や行動を顧みることもない、清々しいほどの逆ギレ状態!笑
しかも繰り返すたびに仕返しが限度を超えてくる…。
限られたものだけが入れる超高級タワーマンションと韓国屈指の芸術学校を舞台にしている本作品。登場する人物は、親も子もほぼ全員階級意識やプライドが高く、自分より社会的立場が下に関わらず才能がある者や抵抗する者を徹底的に痛めつけたり、排除する傾向にあります。
正直見ていて胸がもやもやするシーンが多いのですが、ただ理不尽なことが多い分、いつか必ず大きな反撃に合うはずと期待をしてしまう。通常のドラマって必ず大逆転がありますからね!
しかし、先述した通り、この作品に登場する人物はほとんどが不死身メンタルの人々です。
やっと反撃シーンが来たとしても、すぐに復讐心で立ち上がる。もう一度反撃して、これでさすがに反省するだろうと思っても、またすぐに立ち上がる。メンタルがものすごく強く、おそろしいくらいに機転が効くからこそ、超高級タワーマンションに住めているのかもしれませんが…。
モヤッと感が完全には満たされないからこそ、次こそ大きいパンチが来るのではないかと期待してしまう。それを繰り返していたら、いつの間にかシーズン1が終わっていました!
ストーリーはサスペンスでシリアスなのですが、意地悪くてもなんだか憎めないキャラクターが多いのもペントハウスの魅力。
弁護士のイ・ギュジンと元アナウンサーのコ・サンア夫妻やカン・マリとユ・ジェニの親子など、最初は憎たらしくても意外と人情深かったり、隠れて味方してくれたり。
ヘラパレスの住人には、一切の冗談が通じなさそうな最凶キャラが二人もいるので、彼らのようなポップなキャラクターがいると、良い具合に緊張と緩和が生まれます。
いろいろな人物が登場しますが、一番キャラ変化が激しかったのはイ弁護士でしょうか。意外と食えない男のような、危険そうな、でもやっぱりそうでもないような。まさかのダンス披露にも驚きましたね!
地雷を踏む発言も多いですが、実はわざと間抜けなフリをしているのではとすこしだけ疑っています。仕事はできていそうですし、なにより弁護士ですから。もしシーズン2で化けていたら熱い!
ピンポイントですが、個人的にすごくツボだったのが、23話に出てくる、チュ・ダンテVSク・ホドンの衝撃の野球対決。韓国ドラマあるあるだと思うのですが、シリアスなドラマなのに急にクリエイティブをギャグに全振りする瞬間ありがちじゃないですか?
まさかのペントハウスにもそんなファンタジー回が登場。急に少林寺サッカーのような野球対決が始まるんです。本当に唐突に。そしてすぐにシリアスな雰囲気に戻る。もうこういう振り回される展開、全然意味がわからなくて笑っちゃいました!笑
脚本の段階でクリエイティブが爆発していたのか、撮影現場で爆発したのか、すごく気になります。
ペントハウスの一番の見どころは、やっぱり驚きの犯人の正体。昔から映画もドラマもどんでん返し系が大好きで、割と犯人を当てるのが得意な方だと自負していたのですが、ペントハウスの犯人は当てられませんでした。
予想外過ぎるというか、逆に斬新すぎるというか、見たことがない展開で驚愕。
確かに引っかかる言動はありましたが、あまりにもあっさりしていて未だに犯人の正体に納得がいっていません。真犯人はまた別にいるのではないかと疑ってしまっています。もう騙されすぎて私まで疑心暗鬼状態!
ペントハウスは、一見華やかで完璧に見えるヘラパレスの住人の闇を通して、人間が欲望に支配されるといかにして最悪の事態を引き起こすかを鋭く描き出した作品。単なるサスペンスやミステリーにとどまらず、行き過ぎた階級意識や教育、親子関係の重要性など、さまざまな社会的テーマを巧みに織り交ぜているのもポイントです。
シーズン2も予想だにしない展開が待っていそうなので、さっそく今週末に通しで観てみようと思います。怒涛の展開にハマれること間違いなしなので、みなさんもぜひ一度ご覧ください!
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