「思考力」とは、簡単に言うと「考える力」です。頭の中にある情報・知識から、知恵をしぼって関係性を見つけ出し、新たな情報を作り出す力、それを「思考力」と言うそうです。
教科書などから得られる「知識」を習得し、それを自ら「思考」することによって、新たなオリジナルのアイデアへとつながったり、様々な問題や課題を解決に導いたり、つまり新しい価値を創造するための重要な能力の一つとされています。
小学校などの学習指導要領においても、約15年前から以下3つの要素を踏まえたもので展開されています。2020年からは、すべての教科において以下の要素で再整理された新指導要領が全面的に実施されるそう。「思考力」が注目されて久しい状態ですが、さらに高めていくことを重要視されているものなのです。
1,基礎的な知識および技能の習得
2,思考力、判断力、表現力を育む
3,主体的に学習に取り組む態度を養う
この「思考力」は、生まれ持った能力ではなく、育み鍛えることができると言われています。
それでは、「思考力」を身につけて育むにはどうすればよいのでしょうか?
「思考力」は、知識のように教えて記憶して定着させることができません。身につけるためには、その頭の使い方を繰り返してトレーニングし続けることが大切です。
学校での学習だけではなく日常の中で繰り返し、頭の使い方が習慣化できるよう、家庭での働きかけも重要となります。子どもの「思考力」を育むために親ができることをいくつか紹介します。
「どうして?」「なんで?」「これは何?」と、子どもはもともと疑問を抱くとすぐ質問してきます。このチャンスを逃さず、親子で一緒に対話したり、図鑑やネットなどで調べたり考えたりしながら疑問を解決していきましょう。
読書もおすすめです。今まで知らなかったことに触れた知的な充足感は、もっと知りたい・学びたいという探究心を呼び起こすと言われています。「思考力」の土台となる、知識を増やしておくことが最初の第一歩です。
子どもに問いかけることで、考える習慣が身につき、さらにその考えを言葉として表現する機会ができます。この考える習慣は気づく力を高めてくれます。そもそも物事に気づくことができなければ、「思考」のきっかけを掴むことができません。
日常にあるもの、出来事の中で、「変化」「関係性」「共通点」「矛盾」「差」など、多面的な観点で「なぜ?」と問いかけてみましょう。「なぜそう考えるのか?」を親子で会話することで、考えを導き出した思考のプロセスも確認できるので、お互いの意見交換をしながら、よりよい考え方を学ぶきっかけにもなります。
「なぜ?」と質問して対話する際に、価値観、感情、環境、物事の考え方は、多様にあることを認識させてあげましょう。
同じ一つのことでも、親と自分とでも捉え方が違うのかと実感することで、多様性を認め思いやりの心を育む第一歩となります。これが身につくことでコミュニケーション力も向上します。
また、相手の立場を考えつつも、自分の意見も大事であること、そして人と違う意見であることは悪くないことも伝えてあげましょう。みんなが言っている、といった多勢の意見に飲まれるのではなく、まずは自分で考え、自分で決めてよいことを教えてあげたいものです。
日々、親に言われるがまま行動していると、子どもは選択する思考の機会を失います。
お買い物、やりたいこと、行きたいところ、習い事など、日々の選択について、親が選択に必要な情報・目的の確認・メリット・デメリット・リスクなどの選択肢を提示したうえで、子どもに選択させてあげましょう。
選んだ理由、やり遂げる意思、目標や計画まで子どもにしっかり考え意思表示させることで思考力が鍛えられます。
子どもが自分で考えたことを表現できるよう、親子の対話に気をつけてみましょう。子どもの意見を頭ごなしに否定せず、なぜそのように考えたのか、理由を聞いてから修正していきます。これを繰り返すことで、自分の考え方の癖に気づいたり、客観的・多面的な気づきを得られたり、論理性を高めたりすることができます。
「思考力」の基礎は、関係性を整理して順序立てて考え、それを他の人にわかりやすく表現することです。小さい頃からそれを繰り返すことで、自分の意見をしっかりと伝えられ、様々な問題に冷静に対処できるようになり、コミュニケーション力の向上にもつながります。まずは「なぜ?」と問いかけるところから始めてみましょう。
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