りんごは、アダムとイヴの神話にも登場しますが、起源は8000年前ともいわれ、実は人が食べた最古の果物。欧米でも「りんご一個で医者いらず」(一日一個のリンゴを食べると、健康で、医者を遠ざける)とも言われており、カリウム、カルシウム、鉄、食物繊維、ビタミンC、ミネラルなどを含む栄養食なので、健康効果の高い果物です。
現在、日本のりんご市場の生産量トップの品種は「ふじ」。魅力は大ぶりな実に甘味とシャリシャリした食感。生食に適したりんごです。
しかし、例えば「ふじ」でりんごの甘煮を作る際には、甘さとバランスの取れた酸味を出すために、鍋で煮る際には、砂糖と一緒にレモン汁も加え、酸味を追加します。ただ、あとから加えたレモン汁の酸味は熱によって飛びやすく、出来上がったそのりんごの甘煮には残りづらいとう欠点があるのです。
一方「紅玉」の特徴はその「酸味」。生食で食べると「ふじ」より固めで、ややすっぱいりんごです。(明治・大正・昭和の前半には「国光」とともに「紅玉」が日本の市場では主流となっていましたが、「甘さ」や生食で食べやすい食感を求められ品種改良も進歩し、今や主流ではなくなって経緯もあります。)ですが、加熱調理のりんごの甘煮やコンポート、ジャムなどを作る場合は、「紅玉」の場合、その「酸味」や「固さ」が最大の魅力に転じるのです。
実は「紅玉」りんごで甘煮を作るのはレモン汁を入れる必要ないので、手軽です。「紅玉」の持つ酸味は加熱されても飛ぶことがなく、砂糖と「紅玉」を煮るだけで、極上の甘煮と爽やかな酸味を合わせ持つ味となってくれます。
しかも実が「ふじ」より固めなので煮崩れしづらく、アップルパイの中身としても形良く仕上がります。紅玉が「焼く宝石」いわれる由縁は、こうして加熱調理に適しているからです
「紅玉」りんごの甘煮やジャムなど、家庭で作っても日持ちがするので、ある程度ボリューム作って日々楽しみたいもの。となると、できるだけ安く入手したいですよね。
他の果物同様に「紅玉」りんごも季節や時期により、値段の上下があります。
毎年9月から翌年の4月までがシーズンとされますが、秋から年末に向けて11月がピークで出荷されます。出荷量が多いほど値段も安くなりますから、この期間がもっとも狙い目といえるでしょう。反対に年が明けると値段が徐々にあがり始め、春にむけて次第に出回らなくなります。
加熱調理で煮るとかさも減りますので安く購入できると嬉しいですね。
材料 紅玉りんご 4個、砂糖 大さじ2、はちみつ 大さじ2
1.紅玉りんごの皮を剥き、芯を外し、2㎝程度に切ります。
2.鍋※aりんごを入れ、砂糖やはちみつをふり掛けてから、2.3回軽く鍋を振って、
砂糖をりんご全体まぶせ※b、蓋をして、しばらく時間を置きます。※c
3.2の鍋を弱火から中火にかけ、しばらくしてりんごから果汁が出きたら、鍋を振って鍋のりんごの上下を入れ替え、りんご全体を弱火で煮ます。
焦げないように注意しながら1.2分煮てりんごがしんなりしたら火を止め、蓋を
したまま予熱で火を通します。
(お好みでジャムのようにしたい場合は更に形が無くなるまで煮ます。)
4.3の荒熱が取れてから、清潔な保存容器にいれて冷蔵保存。保存容器の消毒の仕方によっては一月以上の保管も可能ですが、大量に作った場合は、一週間以内で食べきれない分は冷凍保存も活用し、朝食の度に少しずつ食べたりする場合には、空気中の雑菌も入りやすいので、数日で早めに食べきりましょう。
※a.鍋は(ケーキ屋などでは電熱率の良い銅鍋を使いますが銅鍋が無ければ)家庭ではピッタリと蓋のできる厚手の蓋のできる鍋が適しています。
※b砂糖の浸透圧でりんごの中から果汁が出て馴染み調理しやすくなります。
※c30分以上が目安。前の晩に置いておいておいてもOK
※材料の砂糖は甘さを強くしたい場合はグラニュー糖がベスト。三温糖などで作る場合は甘味が少し和らぎますので、量を調節してください。砂糖の量は控え過ぎると傷みやすくなるので、保存に向かなくなりますのでご注意ください。
デパ地下や、ケーキの名店でも、アップルパイに、わざわざ「紅玉りんごのアップルパイ」と名をアピールするのには、その紅玉でなければ食べられない味を求めるファンが多いことを意識しているからともいえますね。
皮を剥いて生のまま酵素もたっぷりに食べたり、加熱調理で保存食にしたり、これから寒くなる季節に、余すところなく上手に楽しみたいですね。
ライター:ふたば
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