まずは、東京都内でARUHIの【フラット35】を利用して住宅を購入した方の年収をエリアごとに見てみましょう。
最も平均収入が高かったのは「中央区」で、882万円。文化や商業の中心地である銀座や日本橋、近年再開発が進む勝どきや月島も含むエリアです。
2位は、赤坂や六本木、開発著しい田町などを有する「港区」で、799万円。3位は渋谷や原宿、恵比寿などがある渋谷区で732万円でした。
以下、吉祥寺がある「武蔵野市」や、文教エリアとして人気がある「文京区」、「目黒区」「江東区」「世田谷区」と差がなく続き、東京都の中でも人気の高いエリアがランクインする結果となりました。
それでは続いて、平均年収上位3エリアをピックアップして、住宅購入金額と借入金額、頭金の額をチェックしてみましょう。
平均購入金額が最も高かったのは、年収のランキングでも1位だった「中央区」で5,742万円。年収2位の「港区」が5,321万円、3位の「渋谷区」が5,332万円とほぼ同額でした。平均年収が高いエリアの方々が順当に、高額の物件を購入していることが分かります。
最も年収が高かった「中央区」の家族構成は、夫婦2人世帯と単身者が同数でともに31.73%、夫婦と子どもが29.81%。お子様のいない世帯が6割を超えています。
年齢も、東京都のに対して平均40.9歳と少し高め。1割以上の方が役員や代表取締役といった上級管理職で、商社や大手小売業の方が目立ちました。平成26年の東京都統計年鑑によると、中央区の事業所は卸売・小売業が最も多く、3割近くを占めています。このことから、職場の近くに住まいを求めていることが予測できます。
また、20~30代の方はITやマスコミ関連など情報通信業の割合が多いことも分かりました。
物件種別は、新築マンションが57.69%、中古マンションが42.31%。全ての方がマンションを購入しています。都心のマンションであれば資産価値が見込みやすく、ライフステージに合わせて臨機応変に住み替えがしやすいでしょう。先々を見据えて中央区のマンションを選んだ方も、多いのではないでしょうか。
<中央区の特徴まとめ>
・平均年齢がやや高め
・上級管理職の割合が高い
・20~30代は情報通信業の割合が高い
・全員がマンションを購入
続いては、2位の「港区」。住宅購入者の家族構成は、単身者、夫婦と子どもの世帯が同数で各35.29%。夫婦のみの世帯が23.53%でした。平均年齢は37.3歳と若く、働き盛りの世代が利便性を重視して住宅を購入するケースが多いようです。
物件種別は、中古マンションがほとんどで98.04%、新築マンションが1.96%。中古物件は新築と比べて資産価値の大幅な下落リスクが少なく、コストパフォーマンスが高いと言われていますが、購入時にはどこまで老朽化が進んでいるか見極める事が大切ですし、リフォームを必要とするケースも多いでしょう。そうした判断力を求められるため、やや上級者向けの選択と言えます。それでもほとんどの方が中古マンションを選んでいるのは、港区は山手線の新駅誕生にともなう再開発事業で話題の田町など、今後資産価値の向上が予想されるエリアがいくつもあるからでしょう。
また、港区の全購入者のうち、不動産業の割合は13.73%。中央区の8.65%、渋谷区の12.5%と比べて高いことも特徴です。前述の通り少ない頭金で購入した人が多い事実からも、小さな資金で大きな利益を生む“レバレッジ効果”を考慮しつつ、将来性を意識した住宅購入であることがうかがえます。
<港区の特徴まとめ>
・平均年齢が低め
・ほとんどの人が中古マンションを購入
・頭金の額が突出して少ない
・不動産業に従事する人の割合が高い
3位だった「渋谷区」の住宅購入者を見ると、家族構成は単身者が多く38.89%、続いて夫婦と子どもが29.17%、夫婦のみが18.06%という結果に。渋谷区の住宅購入者の約27.78%が女性で、うち半数以上が単身者でした。
渋谷区には代々木公園が間近な「代々木上原」や、住みたい街ランキングで常連の「恵比寿」、流行の発信地として知られる「表参道」など、洗練された雰囲気でおしゃれな店が多く治安も良好なエリアが多く、女性の人気を集めているようです。
職業は、情報通信業の方が約2割を占めており、インターネット関連のベンチャー企業が集中するエリアらしい結果となりました。「2駅ルール」が話題となったサイバーエージェントや、近距離通勤手当を支給しているクックパッドなど、職住近接を推奨する企業が多いことも、渋谷区での住宅購入を後押ししているのかもしれません。
物件種別は、中古マンションが63.89%、新築マンションが22.22%とマンションが人気の中心。物件価格が高額なエリアのため、注文住宅を含めた戸建ての購入者は14%弱と少数派でした。
<渋谷区の特徴まとめ>
・単身者の割合が高い
・約4人に1人が女性の購入者
・情報通信業に従事する人が約2割を占めている
・マンションが中心
今回は、アルヒ株式会社の住宅ローン【フラット35】利用者の中でも高所得層にスポットを当てて、傾向を調査・分析しました。その結果、東京23区の中でも交通アクセスの良さや、商業施設の充実度が抜きんでているエリアばかり上位にランクイン。高所得者は利便性が高い立地を選ぶ傾向が伺えます。
オフィスが集まる都心から至近の立地に住めば、毎日満員電車で通勤するストレスから解放され、出社後の仕事効率が向上。どこかへ出かける際のフットワークも軽くなります。通勤時間が短縮される分だけ、家族と過ごす時間や余暇を楽しむ時間、仕事をする時間も増えるでしょう。高所得者の方々は、時間を有効に使うことを重視して、住宅を購入しているのかもしれませんね。
■調査概要(ARUHI調べ)
調査地域:東京都
調査データ:ARUHIの【フラット35】を利用した方の成約データより
調査期間:2017年1月1日~2017年12月31日
※金額は1万円未満を切り捨てで記載
関連記事:東京都で一番“住宅ローンの平均借入額”が高いエリアはどこ? 新築マンション編
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/00000079/
斎藤若菜 住宅ライター
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。
参照記事 https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1452/
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