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個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)の年代別活用方法をFPが解説!

個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)の年代別活用方法をFPが解説!
投稿日: 2018年9月18日 更新日: 2018年9月18日
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個人型確定拠出年金 iDeCo(イデコ)は、毎月の掛け金が全額「所得控除」の対象となったり、運用益が非課税になったりするなど、大きな節税メリットを得られる、老後資金づくりに有用な制度です。そこで今回は、「世代別のiDeCoとNISA(ニーサ)やつみたてNISAなどの活用法」を考えていきたいと思います。

iDeCoとNISA、つみたてNISAの違いは?

iDeCoとNISA、つみたてNISAの違いは?

すでにある「NISA」、2017年から改正された「iDeCo」、そして今年から始まった「つみたてNISA」、いったいどれを活用すれば良いの?と迷う人もいるでしょう。これらの仕組みは「何のために」「いくら」「どれくらいの期間」を考えて上手に使い分ける、というのがおすすめです。

まず、大きな違いは「お金を使える時期」の違いです。「NISA」や「つみたてNISA」はいつでも引き出せて、教育資金や住宅の頭金、結婚資金など中期的な資金準備にも使えますが、「iDeCo」は60歳まで原則引き出すことができず、老後の資金準備に目的が限定されるため、お金を使うタイミングと引き出せる時期のミスマッチが起きないようにしておくことが大切です。

次に「金額」部分です。「NISA」は年間120万円と比較的まとまったお金を運用するのに適していますが、「つみたてNISA」と「iDeCo」はあくまでも「積み立て方式」で長期間じっくりお金を育てるのに適した仕組みです。

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの特徴を比較

一般NISA、つみたてNISA、iDeCoの特徴を比較

「NISA」と「つみたてNISA」は選択制です。もちろん、年単位で「つみたてNISA」と「NISA」を変更することも可能ですが、原則として、変更しようとする年の前年の10月から12月の間に、金融機関で変更の手続きを完了する必要があるので、注意したいところです。

また、「NISA」と「つみたてNISA」とでは活用できる商品も異なります。「つみたてNISA」は、長期積立投資に適した商品として、「公募等株式投資信託」に投資することとされており、「NISA」や「ジュニアNISA」で投資対象となっている「上場株式や上場REIT」などは、「つみたてNISA」では活用することができません。しっかり違いを理解してうまく使い分けをしましょう。

20代~30代の積立プラン

20代~30代の若年層で独身の場合は一般的に(1)結婚(2)住宅取得(3)教育資金(4)老後資金、の順番で資金が必要となります。先に必要な資金準備ばかりを優先していると、途中で予定しているイベントに必要な資金が足りなくなってしまう可能性もあるので、短期資金と中長期資金をバランスよく積み立てることが重要です。

具体的には、結婚資金や住宅資金といった比較的近い時期に必要な資金は定期積立や財形を使って確実に準備。教育資金のうち大学資金は出産~18年程度の準備期間があるので「つみたてNISA」を活用する方法も考えられます。子どもの教育資金は学資保険を活用しても良いですね。

老後のための資金は「iDeCo」を活用します。 20代であれば月5,000円程度、30代では月5,000円~1万円程度で積み立てを開始し、独身、結婚後子どもがいない時期、子どもの教育費がかかる時期など家計の事情に合わせて掛け金額を変更しながら積み立てていくと良いでしょう。

積立金額が少ない場合には、税制メリットに対するコストの割合が高くなるので、「商品の品ぞろえ」よりも「運営管理機関に支払う手数料や商品にかかる信託報酬の安さ」に重きをおいて運営管理機関を選択することをおすすめします。

なお、夫婦共働きでそろって制度を活用する場合には、世帯の中で投資する資産がかぶらないように商品を選択することも大切です。

40代のパート勤務の場合

この時期は子どもに手がかからなくなって家計の収入を増やすためにパート勤務に出るというケースも多いでしょう。

第3号被保険者に該当するパート勤務主婦の場合には、年間27万6,000円まで「iDeCo」に加入することができます。これまでは配偶者控除を受けるために収入を103万円以下に調整して働く、という人も多かったと思いますが、2018年からは配偶者控除・配偶者特別控除の制度が変更されて、103万円+27.6万円=130万6,000円まで働いたとしても38万円の配偶者控除を受けられます(夫の合計所得金額が一定金額以下の場合)。

さらに、「iDeCo」の掛け金は全額所得控除が受けられるので本人にも所得税がかかりません。「iDeCo」を活用することで、目先の家計を変えずに、老後資金を増やすことができますね。

なお、将来、「iDeCo」の資金を受け取る際には一時金で受け取れば退職所得控除内であれば、税金がかかりませんので、退職所得控除内に抑える範囲での金額を活用する、という考え方もあります。

例えば、40歳~60歳まで加入期間20年と仮定すると退職所得控除は800万円、この金額の範囲内に収まるような運用を考えれば、積立時には所得控除、運用時にも非課税、受給時にも税金をかけずに老後資金の準備をすることも可能です。

50代からの積み立て

50代からの積み立て

50代から「iDeCo」に加入をする際には加入時年齢によって受取開始が60歳から遅れるため、注意が必要です。具体的には、「iDeCo」を含めた確定拠出年金の加入期間が10年に満たない場合には60歳から資金を受け取ることができません。

積み立てができず運用だけ行う「運用指図者」の期間は所得控除のメリットが受けられずに口座管理手数料などのコストは支払い続ける必要があります。積立金額が少ない場合や、定期や保険商品、国内債券など利回りの低い商品で運用する場合には、節税メリットや運用収益よりもコストの方が高くなる場合もあるため注意しましょう。

まず、自分が何歳から受給資格があるのかをチェックし、受けられる所得控除メリットと口座管理手数料などのコストが見合っているかどうかを確認しておき、掛け金額を多く設定する、収益が期待できるような積極的な運用するなど工夫を考えることも大切ですね。

iDeCoをうまく活用して公的年金を増やすこともできる

将来的に公的年金が減ることが予想されるなか、少しでも老後の収入を増やしたいと考える人も多いでしょう。「iDeCo」を活用したセカンドライフの収支改善策のひとつに、終身年金の公的年金の受給開始年齢を繰り下げてその分毎年の年金額を増やし、定年以降公的年金が支給されない期間には「iDeCo」の資産を受け取る方法があります。

例えば、本来65歳から受給できる公的年金を70歳からの受け取りに繰り下げると、年金額は40%超に増え、その額を一生涯受け取ることができます。

一方で、60歳の定年退職後、公的年金を受け取り始める70歳までの10年間は、それまで「iDeCo」で運用していた資産を受け取って公的年金の空白期間をカバーするという考え方です。もちろん、予想外に早く亡くなってしまった場合には、逆に損をすることになるので、繰り下げるリスクはありますが、特に女性が長生きリスクに備え、老後の収入を増やすためには効果的な手段のひとつといえますね。

iDeCoに関する記事はこちら https://magazine.aruhi-corp.co.jp/genre/ideco/

まとめ

積立制度を活用する際には、単に節税などのメリットだけを考えるのではなく、目的、金額、運用期間を考えて上手に使い分けることが大切です。

なお、「iDeCo」と「つみたてNISA」や「NISA」を併用する場合には、活用できる商品の種類も制度ごとに異なるので、資金ニーズのタイミングを踏まえてバランスよく商品を選択しましょう。

また、最近では福利厚生制度のひとつとして企業が賞与や給与を原資として掛け金を拠出する賞与(給与)DCを導入するケースも増えています。一般的には、税制削減効果に加えて社会保険料の削減効果も期待でき、コストも企業が負担する賞与(給与)DCのほうが有利ですが、社会保険料が削減できる代わりに傷病手当や出産手当、育児休業手当金、失業手当なども減るため、近い将来、退職する予定や育児休業をとるなどの予定がある場合には、賞与(給与)DCを活用しない方が良いケースもあるので、会社の制度やライフプラン変化も踏まえた活用を考えることも忘れずに!

執筆者プロフィール

金子千春 ファイナンシャル・プランナー
千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー

新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。

参照記事 https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1482/


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