一口で無垢材と言っても、無塗装やオイル仕上げのものと、ウレタン仕上げのもので、メンテナンス方法が大きく異なります。
ウレタン塗装の場合は、ウレタン樹脂の塗膜で木部を覆ってしまいますので耐水性があります。
例えば、無垢材のテーブルをウレタン塗装にした場合、水の入ったコップを長時間置いても輪染みができませんし、何かをこぼしてもサッと拭き取れば元通りです。
その代わり、質感もウレタン樹脂に寄ってしまいますので、木そのものよりもツルツルとした手触りになります。若干質感が変わってしまうものの、塗膜の寿命は20~ 30年程度と長く、小さなお子様のいる家やオフィスなど、メンテナンスを重視したい場合にお薦めです。
ただし、一度傷が付いてしまうと自力での補修は少し難しく、家具店など業者に補修を依頼することになるでしょう。
一方、オイル塗装はその名の通り、油を塗って手入れを行います。無垢材本来の質感を大切にしたい方にお薦めの手入れ方法で、無塗装の状態に比べて少ししっとりとした仕上がりになります。
水には強くありませんので、何かこぼしてしまったら急いで拭き取りましょう。傷やシミが若干つきやすい仕上げ方法ですが、そうした跡も「味わい」と考えられる方であれば、意外と気楽に利用できます。
手入れは、表面の汚れを取った跡、布にオイルを含ませて塗り、その上から乾拭きをするだけ。手入れの頻度は床材なのか、家具なのか、普段どの程度水拭きをしているのかなど使用状況によって異なりますが、季節ごとに手入れができればベストです。
冬の感想が苦手なので、寒くなる前にオイルを染みこませるように塗ると良いでしょう。触ってみてカサつきが感じられたらできるだけ早く手入れをすることをお薦めします。
一口に「オイルを塗る」といっても、いろいろな種類が出ていますので「どれを買ったらいいの?」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか?
例えば、木の皿やカトラリー類なら、家に常備しているオリーブオイルを塗るだけで良いので簡単です。少しベタつきが気になる方は、エゴマ油やクルミ油を使ってみると、より自然な仕上がりになります。
無垢フローリングや家具に使用される自然塗料としては、ドイツの「オスモ」「リボス」「アウロ」といったメーカーの商品が人気です。オスモはひまわり油が主成分で、リボスは亜麻仁オイルが中心、アウロは植物由来成分だけで構成されていることが特徴です。
また、蜜蝋と植物油で作られる「蜜蝋ワックス」や、米ぬかを布袋に入れてこする昔ながらの方法も根強い人気があります。
米ぬかの場合は無塗装の無垢材に用いますが、油分が少ないため、何度も磨かないと目に見えた効果が感じられません。こまめに手入れをする時間がある方なら、自然なツヤを出すことができるでしょう。
無垢材に傷が付いてしまった場合は、家にあるもので簡単に補修をすることができます。(ウレタン塗装品を除く)。
使用するのは、目の細かいサンドペーパー(なくても可)と水、タオル、アイロンのみ。仕上げ用のオイルもあれば万全です。
まずは、傷が付いてしまった部分をサンドペーパーで削りましょう。表面が削れたら、水をかけてしばらく放置します。概ね30分程度で効果がありますが、サンドペーパーの工程を省略した方は、水の染みこみに時間が掛かりますのでもう少し長く待ちましょう。
【写真】この程度の傷なら木が持つ自然の力で修復が可能だ
時間が経過したら水を拭き取り、上に濡れタオルを置きます。上から熱したアイロンをのせれば……無垢材の自然治癒力により、凹みが目立たなくなっているはずです。
「もう少ししっかりと修復したい」という方は、もう一度水をかけるところから繰り返せば、少しずつ修復できます。
補修が終わった後、オイルを塗って手入れをすれば、色ムラを軽減することができます。
無垢材をはじめとする自然素材は生きていますので、通常の商品よりもほんの少し手が掛かります。でも、お気に入りの無垢フローリングが張ってあれば、無垢材の家具があれば、家に愛着が湧きますし、経年変化が楽しみになるでしょう。
見て、触れて、私たちの生活に寄り添ってくれる無垢材を、生活の中に取り入れてみませんか?
【写真】水を拭き取り濡れタオルを乗せて、アイロンで温める
斎藤若菜 住宅ライター
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。
参照記事:https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-0720/
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