生まれたばかりの子は、まず母親に、次に父親に対して深い愛着関係を築きます。この愛着関係によって子どもは「親はどんな時でも自分を愛してくれる」という信頼感をもつようになり、これが土台にあるからこそ先生や友人、恋人などとの信頼関係も築いていけるのです。ところが、叱られてばかりいると、この基本的な信頼感がもてなくなり、成長してから恋愛や対人関係でつまずきやすくなります。また、親への信頼感がないと、いくら叱られても言葉は心にしみ込みにくくなります。
人の心には①子どもの心(楽しいことをしたい気持ち)、②大人の心(自分からルールを守ろうとする心)、③親の心(親の価値観で判断する心)の3つがあります。この3つはちょうど3分の1であるのが理想なのですが、親が叱りすぎてしまうと「親の心」が占める割合が大きくなりすぎて、心のバランスがくずれてしまうのです。楽しむ力、自分で切り開く力が育たず、親の価値観に支配されて萎縮して成長します。不登校になりやすいのはこのタイプの子だと言われています。
叱られすぎている子は「やってみよう」という自主的な気持ちや、「自分にはできる」という自信を失うことが多いものです。「おもちゃで遊んでいいよ」と言っても、「出したら片づけなくちゃいけない。めんどくさい」などと言うように。片づけないことを厳しく叱られすぎて、遊ぶ意欲を失ってしまうんですね。外で叱ったら、家の中では叱らないなど、バランスをとって叱ることが大事です。
「自分にはこんないいところがある」という気持ちを自己肯定感(自尊感情)と言いますが、これは親の言葉かけによって高くも低くもなるものです。日本の親は厳しく叱りはするけれど、ほめることがとても下手です。行為のみを叱るならいいのですが、何度も叱っているうちに「あなたはいつもそうだ」「バカじゃないの」といった、人格を否定するような叱り方になってしまいがちなので、注意が必要です。
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