施主の希望に添ってゼロから家づくりを行っていく「工務店」や「設計事務所」と異なり、「ハウスメーカー」は、工業化住宅(プレハブ)または建築資材の一部を規格化し、その中から選ぶスタイルが主流です。
大規模なマーケティングやデザイン開発、技術革新の末に作り上げられた規格型の住宅は、メーカーによって特徴が異なりますが、使い勝手のよさや見た目の美しさはもちろん、耐震や高断熱・高気密など、性能も非常に優れているものが多いです。
また、使用する構造体や部材を自社工場で生産するので、品質管理が徹底されており、工期も短期間。非常にコストパフォーマンスに優れているといえます。大量生産のためデザインや仕様は基本的に画一的ですが、最近は自由設計プランを設けているハウスメーカーもあり、やや値は張りますが、細部にまでこだわった家づくりも可能です。
●メリット
ハウスメーカーのメリットは、なんといっても「信頼性の高さ」です。全国展開している企業も多く、アフターケアや保証制度もしっかりしています。
また、長年にわたって研究された最善の工法を、最新の技術をもって施工することで最先端の高性能住宅を実現。工場や現場における作業のシステム化・マニュアル化も進んでいるため、職人によって仕上がりにばらつきが生じることもなく、品質が安定しています。
●デメリット
これらは経営規模が大きいからこそのメリットですが、デメリットももちろんあります。それは、大量に生産したものを売りさばかねばならず、広告費や展示場建設費、営業マンの人件費等、営業経費がかさむため販売価格が高くなること。ハウスメーカーの住宅価格は一般的に営業経費が30%程上乗せされているといわれ、工務店と比較した場合、同じスペックの建物であっても費用が高くなる傾向があります。
大量生産できる規格型住宅の販売が主流のためデザインや設計に制約も多く、自由度は低いです。施主の希望によって間取りや仕様を変更するなど規格を外れたり、自由設計を希望する場合は、ますます高額になってしまいます。
規格に沿った家づくりを基本とするハウスメーカーは、間取りや仕様、金額、工期に特徴が現れます。例えば、「開放的なリビングにしたい」という希望を持ちかけた場合、開口を大きくとるのか、柱や仕切りを少なくするのか、天井を吹き抜けにするのかなど、メーカーごとに「開放的」を実現する手段は異なってきます。
これは、営業担当者の提案力というよりも、メーカーごとに構造的な特徴が異なるため生じる違いである場合が多く、家の性能を維持するために、メーカーによっては実現できない造りもあるのです。予算や保証内容ももちろん重視しなければなりませんが、完成した家の満足度を左右するのは、生活に密接にかかわる間取りです。間取りを失敗しないためにも、展示場や完成物件見学会などを巡りながら希望するイメージを固めていき、それがきちんと実現できるハウスメーカーかどうかを見極めなければなりません。
とはいえ、モデルハウスはそのメーカーが設定する標準仕様よりもグレードが高いことがほとんどです。手順としては、モデルハウスでハウスメーカーが得意とする家の全体像を掴み、次にそのメーカーが標準仕様で実際に建てた家の完成物件見学会に参加するのがおすすめです。その際、予算に近い物件であればベスト。外装や設備など、予算内でどれくらい自分の要望に応えてもらえるか、しっかり細部までチェックしましょう。
【チェックポイント】
・モデルハウスを見学して、その会社の得意とする家づくりをチェック
・得意とする間取りや仕様が、自分たちの望む家づくりを叶えてくれるか
・標準仕様で建築された家を見学し、イメージとずれがないか判断
・標準仕様でしかも自分たちの予算と近い物件であれば、外装や設備などどのくらい希望がかなうか細部まで見る
一生に一度の大きな買い物であるマイホームは、安心して任せられる施工会社選びが何より肝心です。ハウスメーカーにより得意とすることや選択肢は変わってくるので、それぞれの特徴をしっかり見極めてハウスメーカーを選びましょう。
【参照記事】https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1284/
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