むかし母が使っていた缶スプレー方式の衣料用の糊剤を、わたしも長く使っていました。
しかしこれ、お手軽なのはよいけれど、アイロンで加熱しているうちに糊が焦げやすいのが残念。
せっかくきれいに洗った洗濯物が、糊の成分が焦げて黄ばみがちなんですよね…
この商品は糊成分がコーンスターチ(トウモロコシ由来の澱粉)でしたが、澱粉系糊剤の多くが同じように焦げやすいのでした。
食品に使われる成分なので、安全性が高そうなのはよかったのですが、、、
※2018年6月追記
画像の衣料用のり剤「カンターチ」は、2015年に製造終了したようです
そこで試したのが、花王さんの「アイロン用キーピング」。
こちらは加熱で焦げたり黄変することはないけれど…とにかくまあ、減りやすいこと!
パリパリの固め仕上げの場合、ボトル1本ならシャツ10枚程度、期間にして2週間で1本を使い切ってしまうのです。
おまけに酢酸化合物の糊成分の匂いが強いため、調子に乗って吹いていると…
近くに寄ればわかるほど、酸っぱい匂いが気になります。
さらに、アイロン用の糊剤に共通するのが
【スプレーした糊の飛沫が広がり、床がベタベタに】
という大問題。
飛散防止のため床に新聞紙などを敷くのって、とんでもなく面倒ですよね…
では、同じく花王さんの「洗たく機用キーピング」はどうでしょう?
洗濯中に糊づけできるので、時短になりそうです。
ところが、最近の洗濯機のトレンドとは相容れない様子。
近ごろの洗濯機は、すっかり節水型が主流になりました。
あまり水を使わないぶん、洗濯のりはドラムにこびりつきやすいのだとか。
その結果、この商品は多くの機種で「使用NG」となっているのです。
たとえ使用OKの洗濯機であっても、使っているうち洗濯槽に糊剤がこびりついてきます。
糊のためだけで掃除することはないにせよ、洗濯槽のお手入れは半日仕事で、超たいへん。
しかも糊づけしない洗濯物とは分けて洗濯しなければならず、その点もめんどうです。
結局、時短になるかというと、大きな疑問符がつくことに。
「アイロン用の糊剤も洗濯機用のも役立たずだなあ」
と諦めかけていたら…突如ひらめきました。
【洗濯機用の原液を薄めて、スプレーしてみては?】と。
空いたスプレー容器にキャップ1杯の原液を入れ、水道水を満たしてから混ぜます。
そして恐る恐る、シュッシュッ。
……するとどうでしょう。ほぼ完璧です!
液剤を濃いめにすると固め仕上げにできますが、濃すぎるとノズルが詰まります。
なので濃度は上で書いた程度かやや薄めにし、スプレー回数で調整するのがよさそうです。
というわけで、洗濯機用キーピングの原液を薄め、スプレーボトルに詰めてみました。
写真には「アイロン用」キーピングのスプレーボトルが写っていますが、中身は薄めた「洗濯機用」キーピングです。
ここでご注意。
糊づけするのは、【必ず洗濯物を干すときに】。
こうすると、干している間に脱水時のシワも自然に伸びます。
襟や袖口などの固めに仕上げたい部分には、重点的にスプレーしておきましょう。
屋外で洗濯物を干すときにスプレー散布しているため、【アイロン時に糊が床に飛び散ってベタベタに】という大問題は完全解決です。
まさに一石二鳥ではないでしょうか。
※もうひとつ注意!※
スプレーした洗濯物を、回転式乾燥機で乾かすのはNGです!
糊によって、ドラム内のフィルターが詰まりやすいそうです。
日光で自然乾燥させるか、【浴室乾燥機】があれば、そちらを使いましょう。
浴室乾燥は夜間も干せるほか、床のベタベタも洗い流せるのでおすすめです。
ところで、糊づけするタイミングについてです。
ここまでお読みになって、
「干すときではなく、アイロンを掛けながらスプレーすれば簡単じゃね?」
と思われたかもしれませんよね。
実は私自身、そう思っていました(笑)
でもアイロンをかけながらスプレーすると、熱で乾いた糊がアイロン底にこびりつきます。
テフロン加工でスベスベのアイロン底が、糊でベタベタ・ゴワゴワに。
それはもう、極端に滑りが悪くなるのです。
のりが固まってこびりつくのは、スプレー型の衣料用糊剤すべてに共通する課題の様子。
もちろんメーカー側もこびりつきによる引っかかり現象は把握しています。
解消のため、糊剤とは別に「アイロンスムーザー」というスプレー剤も併売しているほど。
…なんのことはない、二重に出費を強いられるわけです。
でも、干すときにスプレーしておけば、シャツはパリッと乾燥ずみ。
アイロンのスチーム機能だけで、きれいにシワが伸びてくれます。
スムーザーは不要だし、アイロンのすべりも上々。
コストの節約だけでなく、時短策としても有効なのです。
残念ながら、アイロン掛けそのものは省けません(笑)
でも、洗濯機の洗濯槽を掃除したり、糊づけする洗濯物だけを分けて洗ったり、床がベタつく問題とは無縁です。
ちなみにこの使い方だと、スプレー1本あたり「洗たく機用キーピング」を20~30ml使います。
もともと洗濯機用キーピングの容量は600ml。
割り算すると、なんと!
【たった1本でスプレー20~30本分の充填が可能】なのです!
しかも乾いてアイロンの滑りがよく、「アイロンスムーザー」は不要。
とってもおトク、そして時短にもなり、お手軽。
なお、水で希釈したままの長期保存はおすすめしません。
ボトル内で成分が分離してこびりつくほか、防腐成分が薄まり溶液が腐敗しやすくなるためです。
ともに、わたしの経験談です。
…もう、メリットしかないように思えるこの方法。
でも、ひとつ、ものすごく大きな欠点があります。
それは…??
メリットしかないように思えるこの方法。
でも、ひとつ大きな欠点があります。
それは、「匂い」。
冒頭でおはなしした「アイロン用」のキーピングは、酢酸化合物特有の酸っぱい匂いがしました。
そして「洗たく用」は、酸っぱい匂いはしませんが、それとは別の、独特の匂いがするのです。
どんな匂いかというと…
「何日か髪を洗っていないおじいちゃんのポマード」的な、甘ったるくて脂っこい匂い。
はっきり申しましょう。
【加齢臭を連想させる匂い】なのです (>_<)
本来のように薄めて洗濯用に使うなら、ほとんど気にならないことでしょう。
でも、スプレー方式でガッチリ糊づけすると…
率直に申し上げて、かなり匂ってしまいます。
清潔感を出したくて糊づけしているのに、擬似加齢臭とは…
もう、完全に逆効果です。
花王さま、香料の添加をやめて、なんとか無臭にできないものでしょうか?
裏技的な使い方による問題ですから、対応は期待できませんが…
最近になり、匂いと無縁なキーピング以外の代替策を見つけました。
昔ながらの商品なので、なにを今さら、という感じですが…
高分子化合物の一種、ポリビニールアルコール(PVA)の洗濯のりを使うのです。
▶一例:カネヨ石鹸 カネヨノール
水に溶けやすい親水性なので、今回の「スプレー方式」も問題なく使えます。
そしてなにより無臭です。
干したての、お日さまの匂いとケンカしないのはうれしいもの。
上のはわたしが常用している一例で、中国製などなら100均でも買えます。
余ってしまった場合、お子さんのいるご家庭なら「硼砂(ホウシャ)」と混ぜてスライムを作ったり、割れにくい巨大シャボン玉を作るなど、活躍シーンも豊富です。
▶ホウ砂
なぜいままで、PVA糊の利用に思い至らなかったのか。
おはずかしい限りです。
なお、スプレー濃度は説明文を参考に、浸け洗いと同じ濃さにしています。
使用量は当然、浸け洗いなど比較にならないほどわずか。
洗濯物の量にもよりますが、1回あたりのコストは2円前後に収まるでしょうか。
さらにもう1つメリットを挙げるなら、浸け洗いよりも生活排水を減らせます。
多少は環境へのインパクトも和らぐでしょう。
…最終的に、PVA糊を使うのがベストかな、と思います。
「洗濯のり剤の、お得でベタベタしない使い方」。いかがでしたか?
まとめますと、
【「洗濯のり」の原液を薄めてスプレーボトルに入れる。洗濯物を干す時点でスプレーしておくと、乾いてからのアイロン掛けが楽だしお得】
というアイディアでした。
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