――作り置き用のおかずを準備するコツをうかがいます。週末にまとめて作る方も多いと思うのですが、ある程度の期間保存ができるように、気を付けることはありますか?
例えば、酢や梅干しといった酸味がある食材にはクエン酸が含まれているため、細菌の増殖を抑えることができます。夏野菜のビネガーマリネや、たんぱく質も摂取したければ、「鶏ささみの梅和え」などお薦めです。
また、ワサビなどの辛味成分にも、殺菌効果があります。ほんのりとワサビを利かせた「ポテトサラダ」や、「鶏のスパイシー炒め」を作ってみてはいかがでしょうか?
「鶏ささみの梅和え」レシピ
●鶏ささみの梅和え 2人分
<材料>
・鶏ささみ肉 4本
・梅干し 2個
・胡麻油 小さじ1
・白胡麻 適量
<作り方>
1. 鍋で湯を沸かし、沸騰したら弱〜中火で加熱する(5分程度)。火が入ったら鍋から取り出して粗熱を取る。
2. 梅干しは種を除き、細かく刻む。
3. 粗熱が取れた鶏ささみを食べやすい大きさに割いてボールに入れ、2の梅干しと胡麻油を加えて良く和える。
4. 食べる直前に白胡麻をふりかけたらできあがり。
――作りやすいおかずを思い付きで作っていると、食材が偏ってしまいがちです。どんなおかずを作るか決めるポイントはありますか?
栄養バランスを考えながらおかずを作ることが大切です。例えば、良質なたんぱく質やビタミン、ミネラル、アミノ酸などを含み、完全栄養食品と呼ばれるほど栄養豊富なたまごは、「味付き煮たまご」にすると便利。
食物繊維がたっぷりの切り干し大根を、乳酸菌やカルシウム、たんぱく質など様々な栄養素が含まれたヨーグルトに漬けて冷蔵庫で一晩置けば、ちょっとしたおつまみができあがり! 切り干し大根は戻さずそのまま入れるだけで簡単ですし、ヨーグルトに含まれる水分、ホエーの効果で旨みが増します。
鶏肉のそぼろも、作っておくと重宝します。脂身が少ない胸肉を使えば冷蔵庫で保存しても油浮きしません。ご飯などにそのままかけても、アレンジしておかずを作っても良いでしょう。
「切り干し大根ヨーグルト」レシピ 2人分
<材料>
・切り干し大根 50g
・きゅうり 40g
・ヨーグルト 1カップ
・醤油 適量
<作り方>
1.保存容器にヨーグルトを入れ、切り干し大根(洗わない状態で)をほぐしながら加えて全体にヨーグルトを馴染ませたら冷蔵庫で1晩置く。
2. きゅうりを細切りにしたら1の切り干し大根に加えて醤油を数滴垂らして全体によく和えたらできあがり。
――サイドメニューを作り置きしている方は多いと思うのですが、主菜は当日作った方が良いのでしょうか?
主役級のおかずも当日の朝に作り置きをしておけば、気分的にラクですよね? 事前に作る場合は、少し時間を置くことで味が染みこむ煮込み料理がお薦めです。煮込みハンバーグやチキンのトマトソース煮、牛肉とキャベツの甘辛煮などが作りやすいでしょう。ハンバーグは通常、焼くと縮んでしまいますが、煮込み料理なら液体に漬かっているおかげで加熱してもそうした心配がありません。
「煮込みハンバーグ」レシピ 2人分
<材料>
・豚ひき肉 250g
・白ネギ 半分
・A味噌 大さじ1
・A醤油 小さじ1/2
・A酒 大さじ1
・A片栗粉 大さじ1
・油 大さじ1
きのこ餡
・だし汁 200ml
・醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・葛粉 小さじ2
・しめじ 40g
<作り方>
1.白ねぎはみじん切りにする。
2.ボールに豚ひき肉と調味料Aを加えたら粘りが出るまでしっかり混ぜ、4等分にして丸める。
3.フライパンに油を敷いて加熱したら2の生地をのせて両面に焼き色をつけて1度バットに取り出す。
4.ハンバーグを取り出したフライパンにだし汁、醤油、みりん、葛粉を入れて粉が溶けたら軸を切ったしめじを加えて加熱する。
5.とろみが出てきたらハンバーグを戻し入れ、中まで火が通ったらできあがり。
――西岡さんは、中医学の知識をベースに考えて美容と健康をサポートする「常美菜」も提案されています。女性にお薦めの常備菜、いや、常美菜はありますか?
薬膳について学んだことを活かし、血の巡りが悪くて“生理痛に悩んでいる方”や、“美肌を目指している方”など、日頃から「女性が喜ぶ料理」を考えています。
例えば、「ひじきの煮物」は普段食べている身近なお惣菜の中でも優秀です。同じく利尿作用がある「とうもろこし」などをプラスすると、より効果的ですね。食物繊維がたっぷりの「ごぼう」と、腸を潤す作用のある「白胡麻」を使った「きんぴらごぼう」は、便秘にお悩みの方にお勧めです。
――単身者やご夫婦のみの世帯では、食材を使いきれなかったり、使いそびれてしまったりすることも多いと思います。
野菜や肉を購入したら、冷蔵庫や冷凍庫にしまう前に用途を決めて、カットを済ませておきましょう。下処理が終わっていれば「隙間時間に1品だけ作ろうかな」という気持ちになりやすいでしょう。
例えば、キャベツを丸々1個買うと余らせてしまう方も多いと思いますが、外側の堅い葉はロールキャベツ用にとっておき、残りの半分はザクザク切ってその場でコールスローを作成。小さくなったキャベツはラップをして「牛肉とキャベツの甘辛煮用」などと書いておけば、料理を作るモチベーションに繋がります。
――最後に、作り置きおかずをおいしく食べるためのポイントを教えてください。
作り置きおかずは4日程度で食べきるのが理想ですが、上記のメニューでしたら最大1週間程度(保存状況により日持ちの期間は多少変化します)の保存が可能です。
調理中の注意点としては、野菜を少しかために仕上げておくこと。最終的に電子レンジで加熱して食べる方が多いと思うので、その時にベストな硬さになるように意識しましょう。
西岡 麻央(にしおか まお)
大手航空会社客室乗務員として国内線・国際線を乗務。不規則な生活が続く中で、身体に極力負担をかけない生活を意識するようになる。特に直接身体に影響を与える”食”に対して強く興味を持つようになり、退社後は、食のプロを育てる学校エコールエミーズにて料理の基礎からおもてなしの演出まで、様々な観点で食について学び、料理家デビューする。パワーサラダ専門店「HIGH FIVE SALAD」メニュー監修の他、大手食品メーカーのレシピ開発、メディアでの料理タイアップ企画など精力的に活動中。
インスタグラム https://www.instagram.com/maotomat/
ブログ https://ameblo.jp/bliss-in-the-kitchen/
斎藤若菜 住宅ライター
ラジオパーソナリティを経てフリーライターに。住宅・インテリア・不動産分野を中心として、介護・グルメ・トラベルなどのジャンルでも執筆。リフォームや注文住宅関連の住宅情報誌をはじめ、雑誌、書籍、新聞、インターネットなどのさまざまな媒体で取材・執筆を手掛けている。ARUHIマガジンでは、「住宅購入者ストーリー」などを担当中。
【参照記事】https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1171/
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