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私立高校の授業料が無償化になったら、家計はどう変わる?

私立高校の授業料が無償化になったら、家計はどう変わる?
投稿日: 2017年9月5日 更新日: 2017年9月5日
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ARUHIマガジンは“あなたの「住生活」を応援する”をコンセプトに、家探し...
Q.中学3年生の子どもを持つ東京都在住の女性です。夫はサラリーマンで私はパートで働いています。小学生の妹もいるため公立高校を希望していますが、もし私立高校に入学したらフルタイムの仕事をと考えていました。しかし2017年度から私立高校の授業料が無償化されると聞きました。所得制限もあると聞きましたがパートのままで働いたほうが得でしょうか?(40代/女性/パート)


2017年度から東京都は国の就学支援金とあわせて所得により44万2,000円まで私立高校の授業料が軽減される制度を導入しました。高額な学費が少しでも軽減されるのは家計にとっては非常にうれしい動きです。しかし、助成金は世帯の所得が一定金額以上になると受けられなくなります。

助成金が家計に与える影響と妻の働き方について考えてみましょう。

世帯年収により受けられる助成金の内容は異なる

世帯年収により受けられる助成金の内容は異なる

東京都内在住の私立高校に通うお子さんを持つ保護者に対し、授業料の負担を軽減する制度は大きく2つあります。1つは国の制度である「就学支援金」、もう1つは2017年度より導入された「私立高等学校等授業料軽減助成金事業」です。

年収目安である約760万円未満の世帯に対し、国の「就学支援金」と「授業料軽減助成金」の2つの制度をあわせて44万2,000円の授業料が軽減されます。44万2,000円は都内私立高校の平均授業料相当の額となっています。

実際の手続きは東京都私学財団に申請書と所定の書類を送り、審査は住民税の課税額等により軽減の額が決まります。ここでは給与収入のみの世帯で4人家族(夫婦と子ども2人)をモデルとした年収と助成金等の目安について確認しておきましょう。また、低所得者に向けた授業料以外の負担軽減のための奨学給付金、学費全般の支援制度である育英資金(貸付)についても参考にしてみてください。

参照:http://www.shigaku-tokyo.or.jp/parents_index.html

助成金と働き方を比較する

会社員など給与所得者で子どもが2人の場合、世帯年収約760万円で授業料負担軽減助成金がなくなり、約910万円以上で就学支援金がなくなります。

たとえば、会社員の夫の年収が600万円の場合、妻が年収100万円程度のパートなら44万2,000円の軽減が受けられます。しかし、お金がかかるからと頑張ってフルタイムで年収200万円程度で働くと世帯年収は800万円程度になり、就学支援金の11万8,800円しか受け取ることができません。また、妻の年収が100万円から200万円になることで配偶者控除がなくなり、健康保険や年金といった社会保険料も自身で支払うことになります。

また、夫の年収が700万円程度かつパートで働いている妻がフルタイムで働くと世帯年収が910万円を超えて就学支援金も受け取れなくなる場合があります。世帯年収760万円程度未満で働く場合と44万2,000円の差がついてしまいます。

妻が働く時間を増やしたほうがいいのか、夫の年収600万円の場合で考えてみましょう。

<夫の給与年収が600万円の場合の妻の働き方によるイメージ>
妻の年収100万円の場合
手取り額:所得税・社会保険料なし。住民税は数千円程度
就学支援金・助成金: 44万2,000円

妻の年収200万円の場合
手取り額: 所得税・住民税・社会保険料・夫の所得税・住民税が増える。会社により配偶者手当がなくなる場合もある
就業支援金・助成金: 11万8,800円

妻の年収が100万円の場合、授業料の負担軽減額とあわせて144万2,000円となります。200万円で働くと軽減額をあわせて211万8,800円となり、差額は67万6,800円です。収入がアップしたことで増える自分自身の税金や社会保険料、夫の税金の増額分や減る会社の手当などの合計額との差額と比較してみましょう。もしこれらの合計額が50万円だった場合、せっかく働く時間を増やしても実際の手取りアップは18万円程度となってしまいます。

家族との時間を減らして働く時間を延ばす価値がある収入アップなのかどうかは吟味する必要がありそうです。

しかし、授業料軽減の助成金はあくまでお子さんが高校に通っている3年間のことです。子供が手を離れてからの女性の生き方や老後資金など長期のライフプランを考えた働き方をこの機会に考えてみてください。

執筆者プロフィール

有田美津子 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。
50代からの住まい専門FP

【参照記事】https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-1162/


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