2015年の税法改正で相続税の基礎控除が減額され、法定相続人が子ども2人のケースで、相続財産が4,200万円以上だと相続税がかかるようになりました。
相続財産には不動産も含まれますので、もし自宅の評価額が4,200万円を超えると金融資産がなくても相続税が発生します。
ところが、二世帯住宅を建てて実際に暮らすことで、自宅の土地の相続税評価額が8割減になる制度があります。これが「小規模宅地の特例」です。たとえば、被相続人(亡くなった人)名義の土地の評価額が1億円でも、特例の要件を満たす二世帯住宅を建て、同居することで相続税の評価額が2,000万円になります。大きな減額なので、適用されるには様々な要件があり、自ら申告する必要があります。
特例が使える要件を下表に大まかにまとめてみました。参考にしていただき、適用を受けたい場合は、設計段階と相続時に必ず税理士に相談してください。
二世帯住宅の場合、登記が「共有」か「区分登記」にかかわらず、建物の構造が2世帯に分かれていることで「不動産取得税」や土地、建物の「固定資産税」が軽減されるケースがあります。
構造が二世帯に分かれているとは、「壁やドアで構造上2世帯に仕切られていて、台所やバス、トイレなどが2つずつあって、利用上も独立している」状態のことを指します。
以上のように、二世帯住宅を建てることで受けられる税制メリットは思った以上に大きいものがあります。しかし、適用を受けるためには要件を満たすことが必須です。素人判断で適用できると思っていたのに、いざとなったら軽減されなかった、ということがないように、建築前にしっかりと専門家に相談してから着手してください。
有田美津子 ファイナンシャル・プランナー
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級FP技能士、住宅ローンアドバイザー、相続診断士
銀行での住宅ローン相談、住宅販売、損保会社を経て独立。現在は人生と仕事の実務経験を活かし、子育て世代の住宅購入とシニア世代の住替え相談を行う。ライフプランに沿った資金計画から物件の引き渡しまで一貫したサポートが好評。共著・監修に「トクする住宅ローンはこう借りる」(自由国民社)。
【引用元記事】
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-0874/
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