子どもがケガをしたり、病気をした場合にお金の心配をせずに治療を受けさせたいので、医療保険に入っておきたい、と思う方は多いかもしれません。
ただ実は、国や自治体の子どもの医療助成制度はかなり充実しています。助成制度をしっかり活用すれば、多くの場合には医療費の心配はないので、基本的には「子どものための医療保険は加入する必要ない」と言えるでしょう。
まず、簡単に、子どもの医療制度を確認しておきましょう。子どもが医療機関を受診した際、窓口で支払う医療費は、未就学児(7歳になる年の3月末まで)が2割、小学校1年生以上は3割となっています。
ただし、それはあくまでも健康保険のルールで、実際には都道府県や市区町村がそれぞれ助成をしており、自己負担がもっと低く抑えられています。
自治体による制度の違いは自治体の財政状況などによって主に次の5つのポイントで変わります。
1.助成を受けられる子どもの年齢
2.通院、入院による違い、入院時の食事代も助成してくれるか否か
3.親の所得制限があるか否か
4.一部負担金があるか否か
5.助成方法は、現物給付(窓口負担なしで医療行為を受けられる)、もしくは償還払い(後日、お金が戻ってくる)なのかの違い
中には、子どもが22歳になるまで無料という自治体もあるので、子どもを育てる家庭にとっては大きな差と言えますね。
ちなみに、厚生労働省の調査によると、平成26年4月1日の時点で医療費の自己負担を無料にしている自治体は986、全体のおよそ57%に上っています。
残りの756およそ43%の自治体では一部負担を求めていて、金額は自治体によって異なりますが、1回の診療につき500円程度の自己負担を求めるところが多いようです。
ただし、無料としている自治体の中には、保護者の所得に制限を設けている場合もありますので、自分の住む市区町村の助成制度はしっかりチェックしておきましょう。なお、初診の特定療養費・健康診断・予防接種・入院室料差額等の健康保険がきかないものは助成の対象外となります。
では、子どものための医療費助成制度がしっかりしている自治体に住んでいる場合には、子どもの医療保険は必要ないとして、逆に、医療保険が必要なのはどのようなときでしょうか? 主に以下の4つのケースが考えられます。
1.医療費助成制度がほとんど整備されていない地域に住んでいるとき
2.子どもに先天的な病気の疑いがあるとき
3.自治体の助成制度が終了したとき
4.自営業者やパート・アルバイトの収入が家計の主な収入減となっている場合
(看病等で収入が減り、家計にダメージを与えるため)
この場合、検討する保険としては、子どもの将来を見据えて、早いうちから大人になっても使える保険に加入しておくという観点から「18歳以降も継続して加入できる保障内容のある程度充実した医療保険」が挙げられます。若いうちであれば保険料も安いし、もし途中で病気になった場合に加入できなくなる心配もありませんね。あるいは、「保険の安い掛け捨てのこくみん共済、県民共済、JA共済などの共済保険」もひとつの選択肢でしょう。
安いとはいえ、毎月積み重なれば保険料負担は大きくなります。その分を教育費の積立に回すという考え方もあります。まずは、住んでいる地域、住みたい地域の助成制度をしっかり確認してみましょう。
金子千春 ファイナンシャル・プランナー
千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー
新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。
【引用元記事】
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/00000229/
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