シルクのもととなる蚕の繭は、外敵から幼虫を守るだけではなく、湿気を放出する「放湿性」があり、それでいて必要な水分を繭の中に取り入れる「吸湿性」がある優れもの。おまけに太陽から降り注ぐ紫外線をシャットアウトして、繭の中の温度を快適な状態に保つことから、洋服の素材として利用してきました。
近年では、こうしたシルクの特長を健康効果に活かすための研究も盛んに行われており、サプリメントや化粧品などの商品としても販売されています。
実は、シルクには体に取り入れることで雑菌の繁殖を抑えたりする「静菌作用」、活性酸素の抑制する「抗菌化・活性酸素抑制作用」、肌に潤いを与える「保湿作用」、細胞を活性化させる「細胞活性化作用」などの美容効果を得ることができるのです。
それでは、シルクに含まれるどのような成分が美肌の効果をもたらすのでしょうか?
まずシルクの大きな特長である「保湿作用」。この働きに大きな効果を与えているのが繭から抽出できる「セリシン」という成分。天然のたんぱく質とも呼ばれていて、保湿力に優れているアミノ酸である「セリン」を数多く含んでいます。この「セリン」は、人の肌の角質層に多く含まれている成分で、コラーゲンよりも水分保持力に優れ、抗酸化力はビタミンCと同レベルだといわれています。
美容成分として、近年注目されているのが「フィブロイン」とよばれる成分です。別名「シルクフィブロイン」ともいわれており、この成分のおかげで、製糸工場で糸を紡いでいた人や、養蚕農家に人たちの手はスベスベだったと言われています。肌の水分を逃がさず、きめ細かい白い肌が期待できます。
シルクには以上のような成分のほかにも、保湿やコラーゲンの合成に働きかける「アラニン」、肌のターンオーバーを促す「アスパラギン酸」、抗酸化作用のある「シスチン」など18種類ものアミノ酸が含まれているといわれています。これらのアミノ酸は合わせて「シルクアミノ酸」ともよばれています。
天然素材なので肌に優しく、さまざまな効果を持つシルク。天然の繭自体も、お湯にふやかし肌を撫でるピーリングに使えば、古い角質が取れてくすみがなくなり、ツルツル肌に変身します。そのまま繭を湯船に浮かべるだけでも成分が溶け出して、入浴剤変わりになります。ぜひ試してみて下さい。
【栄養士ライター】スズキ
栄養士養成施設を卒業後、栄養士の資格を取得し食品会社に勤務。食品会社を退職後は、自宅で料理教室を開き栄養学上正しい料理を広めています。現在は料理教室の運営の傍らタウン誌などで記事を執筆するなど、フードライターとして執筆を中心とした活動も行っています。NO.051
コメント
全て既読にする
コメントがあるとここに表示されます