まず、産休の仕組みから確認しましょう。
産休とは産前(予定日より42日、多胎妊娠の場合は98日)、および産後(分娩日の翌日より56日)の休業期間のこと。
産後42日は必ず休業しなければなりませんが、それ以外の期間は本人が希望すれば休業ができます。
産休中には、ほとんどの会社では給与は支給されませんので、この間の生活を支えるために、申請をすれば、健康保険組合や共済組合から「出産手当金」を受け取れます。
金額は、産休の期間中1日につき「標準報酬日額の3分の2に相当する額」です。ちなみに、出産手当金は非課税扱いなので税金は取られませんのでご安心を!
産休中は、所得がないので所得税だけでなく住民税もかからないと思いがちですが、住民税は前年の1月1日から12月31日までの所得を基にして、6月から翌年5月に払うものです。
したがって、前年に所得がある場合には、産休中でも住民税は免除されません。
一般的には、以下のような支払方法となります。
・役所から住民税の納付書が直接送付され、期限までに自分で納税する「普通徴収」に切り替える(自治体によっても納期限は異なりますが、通常は、1年分を4期(6月、8月、10月、1月が一般的)に分けて納付
・会社が立替えておき、復帰後に給与から天引きする(この場合には、休業中にはマイナスの給与明細が送付されることが多いです)
・産休に入る前に予定額を給与から事前に一括で天引きされる
・毎月、会社に振込をする
中には、産休に入る前に相談して決める、という会社もあるので、自分の勤める会社では、どのような取り扱いになっているかを必ず事前に確認しておきましょう。
また、「普通徴収」の場合には、これまで毎月、12回に分けて支払っていたものを、4回に分けて納付するので、1回分の金額は非常に多くなります。
産休に入る時期によっては2回や一括で支払う、というケースも出てきますので、事前にその分の資金準備をしておくと良いですね。
健康保険や厚生年金などの社会保険料については、育児休業中は免除されています。
免除期間は、育児休業を始めた日の属する月から終了する日の翌日が属する月の前月までの期間です(例:育児休業期間が平成28年5月16日~平成29年3月20日であれば、免除期間は平成28年5月~平成29年2月)。
したがって、復帰するなら月の最終日が有利ということになります(例:8月30日に復帰すれば7月分まで免除、8月31日に復帰すれば8月分まで免除)。
復帰する日程も考えましょう。
なお、以前は産休中でも健康保険や厚生年金などの社会保険料も支払う必要がありましたが、平成26年4月から保険料が免除となっています。
もちろん、産休・育休中で保険料免除になっていても今まで通り、健康保険を利用することはできますので、医療費の3割を負担するだけで保険適用医療行為を受けられます。
さらに、産休中や育児休業中に免除申請をした場合は、年金保険料を払わない期間があったとしても、納付期間としての記録はきちんと残るので、将来受給できる年金額は、産休や育児休業を取得せずに支払っていた場合と同じ額となります。
積極的に活用しましょう。
上記の健康保険や厚生年金などの社会保険料の免除を受けるためには、産休期間中に事業主を通じて「産前産後休業取得者申出書」を所轄の年金事務所(健康保険組合に加入している場合には健康保険組合にも提出)に提出する必要があります。
産前休業を開始した時点で自動的に免除になるわけではないので申請することを忘れずに!
※1 標準報酬日額は、標準報酬月額(残業代や各種手当も含めた合計額で、毎年4-6月の平均で
計算したもの)を30日で除して計算します。
金子千春 ファイナンシャル・プランナー
千春コンサルティング事務所 代表
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、1級ファイナンシャル技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー
新生銀行を経て2004年より独立。ライフプランや住宅ローンセミナー、個別相談、宅建講師、企業の従業員向け投資教育、小中学校や児童館での金銭教育など、「知らないで損をする」ことのないようにという観点から、講師や執筆を中心に活動中。
【引用元記事】
https://magazine.aruhi-corp.co.jp/00000201/
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