「ほうじ茶」は、古くから日本茶として親しまれてきた伝統的な飲み物であり、地域によっては、家庭で日常的に飲まれているところもあります。たとえば、金沢では江戸時代からほうじ茶が愛されており、今もなお習慣的に飲む家庭が多いとのことです。
そして近年、世の中の健康志向が高まる中、身体に優しいお茶として注目を集めるようになりました。これはほうじ茶に、身体に必要な有効成分が豊富に含まれているからであり、特に以下のようなものが挙げられます。
・抗ガン作用のある「タンニン」
・疲労回復に効く「カフェイン」
・リラックス効果のある「テアニン」
・消臭効果のある「クロロフィル」
・抗酸化作用のある「ビタミンE」
このうち、タンニンとカフェインはほかのお茶にも含まれていますが、ほうじ茶が注目されているのにはさらなる理由があります。ほうじ茶にはカフェインが少量しか含まれていないのです。
カフェインは適量であれば疲労回復に効き、そのうえ頭痛緩和もしてくれる成分です。ただ、摂り過ぎると胃痛や貧血を引き起こすとされ、特に加齢に伴って胃の働きが低下している高齢の方は、摂り方に気をつけなければなりません。しかし、ほうじ茶は茶葉を約200度で焙煎する工程を踏んでいることから、熱によりカフェインが減少し、その含有量はごくわずかになります。そのため、暑い季節にたくさん飲んでも、カフェインの摂り過ぎによる副作用を引き起こす心配はありません。
ほうじ茶が健康によいことは、お分かりいただけたかと思います。あとは美味しい飲み方を覚えておきましょう。冷たいほうじ茶の作り方は、大きく分けて2種類あります。
【煮出し】
やかんなどに直接ほうじ茶を入れて沸騰後、少し冷ましてから冷蔵庫などで冷やす方法です。煮出すことで雑菌を熱湯消毒できるので、1週間前後日持ちします。一度に多くの量を作るときは、この方法をとるとよいでしょう。
【水出し】
水を注いだほうじ茶を入れて、2時間から一晩放置する方法です。茶葉の持つ成分を長い時間かけて容器に抽出するので、ほうじ茶本来のバランスのよい味わいが楽しめます。一方で、雑菌が繁殖しやすいデメリットもあるため、この方法をとるのであればその日のうちに飲みきるようにしてください。
どちらも美味しいほうじ茶が飲める方法ですが、上記の通りそれぞれに特徴があります。煮出しのほうは手間がかかりませんし、日持ちするのが大きな魅力。また、水出しならばよりほうじ茶の風味を堪能できるでしょう。こちらでご紹介した内容を参考に、ぜひ、この夏は冷たいほうじ茶に挑戦してみてください。
【栄養士ライター】スズキ
栄養士養成施設を卒業後、栄養士の資格を取得し食品会社に勤務。食品会社を退職後は、自宅で料理教室を開き栄養学上正しい料理を広めています。現在は料理教室の運営の傍らタウン誌などで記事を執筆するなど、フードライターとして執筆を中心とした活動も行っています。
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