ホームロースター 焙煎機 KLRT-001B

家電感覚でコーヒー焙煎できる、現状で唯一のホームロースター
価格 19,500円
おすすめ度 評価 星3評価 星3評価 星3
投稿日: 2020年3月23日 更新日: 2023年9月22日
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家電感覚でコーヒー焙煎できる、現状で唯一のホームロースター

新型コロナウイルスの影響で外出もままならない昨今、自宅で過ごす時間を少しでも楽しいものにしたいですよね。

そこで、購入後紹介の機会を失っていた商品についてレビューします。
それがこの電動のコーヒー豆焙煎機です。

実は正式発売前、クラウドファンディングで評判になり、早々に注文していたものです。
原稿作成時点で8ヶ月ほど使用しているため、発売直後の口コミよりも詳しいお話ができると思います。

いろいろとクセや欠点のある機種ではありますが、わたし個人としては、アマチュアが自宅でおいしいコーヒーを楽しむためには無二の存在では、とまで考えています。

まずこの焙煎機導入前のことを。

以前は焙煎済みのコーヒー豆を、キログラム単位で購入していました。
当然すぐには消費しきれず、冷凍庫で保存しつつ1ヶ月ちょっとで飲みきるペースです。
しかし冷凍保管では、1カ月も経つと薫りがけっこう飛んでしまいます。
それに湯温管理もうまく行きません。

必要な数日分の豆をその都度焙煎するのが理想的、とわかってはいるのですが・・・
焙煎工房を作る覚悟でもなければ業務用のロースターは敷居が高すぎますし、かといって趣味の範囲のロースターは火加減の調節がむずかしすぎます。

そこに登場したのが、このライソンのホームロースターでした。
なんでもポップコーンメイカーの技術がベースになっているとか。
電気で動き、全自動というのが個人的に魅力に感じました。

以下、長期使用レビューです。

ポイント1

好みのコーヒーの生豆を入れ、浅煎りか深煎りのコースを選び、スイッチを押すだけ。

本体内側は円筒形になっており、コーヒー豆はその中をぐるぐる回転しながら加熱されていきます。
空気が下から上に向かって吹き上がる構造になっていて、軽いチャフ(薄皮、シルバースキン)はフタ部分に飛ばされます。蓋の内側はドーナツ状の溝になっていて、チャフだけがそこに溜、除去される仕組みです。

あとは適宜サーモスタットでかるく冷却工程が入りながら、スイッチを入れて20分ほどで焙煎のできあがりです。

焙煎直後はあまり香りはせず、丸1日、できれば2日経つ頃に最高にかぐわしい状態になります。その2日めから3日め、遅くとも4日めあたりで飲みきると、市販の焙煎済みのコーヒー豆は香りが物足りなくて、もう飲めません。

また、焙煎済みより生豆のほうがぐっと割安です。
1グレードか2グレード、上質な豆を選べるのも利点です。

ポイント2

試したことのなかった産地の豆も、焙煎してみて新たな好みが発見できたり。
自家焙煎というとなんんだかマニアックすぎて敷居が高く感じていましたが、ほんとうに後戻りができないほど味わいのレベルが上がっています。
これが家庭用のロースターでボタンひとつで作れるというのは、ほぼ唯一無二だと思います。

とはいえ、すべて手放しで褒められる100点満点の製品かというと、さにあらず。

以下に欠点を挙げますと・・・

1.とにかくうるさい(笑)
  フルパワーのヘアドライヤーが20分稼働しているところをイメージしてください。そんな騒音がします。

2.ハンドルが溶ける(笑)
 本体上部についているハンドルは、焙煎中は立てておいた方がよいです。寝かせた状態だと、蓋の熱で焼きごてを押し当てたような溶け跡がつきます。

ポイント3

3.温度の微調整ができない

ひょっとしたら、メーカーさんは焙煎時間や温度調整の最終決定を春先に行ったのかも。
わたしは時流に逆らって深煎り派で、具体的にはフレンチローストよりもほんのわずかにフルシティロースト寄りが好みです。
晩秋や春先の室温だと、DARK(深煎り)モードでほぼ理想の仕上がりになります。
しかし夏場、エアコンのない30度超の部屋では浅煎りモードですら深煎り以上、ほぼイタリアンローストじゃないかというほど煎られ過ぎますし、冬だと逆に深煎りモードでも少々煎りが足りなくなります。

浅煎り派にはスイートスポットとなる室温域が狭いため、あまり向かないように感じます。

4.ローストの匂いがかなり残る

これはこの機種というより、焙煎行為につきまとうことですが・・・
コーヒー豆は焙煎時、独特の臭気が発生します。それが室内に長時間残ってしまうのです。
屋外で使えれば匂いの面は解決するものの、騒音や電気の取り回しの課題が生じます。
お風呂の場合は浴室乾燥や暖房を掛けるとロースト臭が逆流してきますし、トイレだと狭い個室で壁紙が匂いを吸着しそうです。風呂もトイレも密閉ができ、騒音を和らげることができるのに、残念。
結局騒音は我慢して、現在はキッチンの換気扇の真下に落ち着きました。

ポイント4

5.容量が少ない!

この機種がすすめる容量は40〜60gです。
ふつう、コーヒーを淹れる場合は1杯10g程度でしょうか。それだとひとりで毎日飲んで1週間弱もつ勘定です。しかし、家族で飲んだり日に何杯かコーヒーを楽しむ場合、2,3日で飲みきってしまいます。
わたしの場合は1杯で25g使うため、場合によっては1日で飲みきってしまうのです。
中庸なところで、100gの容量は確保して欲しいところです。

6.ローストのムラ

焙煎後の豆を見ると、色むらが目立ちます。つまり容器の外周部と中央部で温度差があり、焙煎度に差が生じてしまうのです。しかしこれは、些細な問題だと捉えています。
本来は数十万円〜数百万円するロースターを、アマチュア向きの家電タイプとして開発してくれたわけです。焙煎ムラ程度で文句をつけると罰が当たる、程度に考えています。

というわけで、今後新製品が出るとしたら、
・焙煎時間を任意に指定できる機能をつけていただきたい
・容量は最低でも100gほしい
…これらが実現されれば、アマチュア用としては完璧だと思います。

ポイント5

とはいえ、繰り返しになりますが、コーヒー豆の焙煎が自宅でできるのは素晴らしいことです。
課題も多い本機種ですが、どれも致命的というほどではありません。
なにより、簡単にコーヒー豆焙煎が楽しめるようになるというのはプライスレスです。
家に閉じこもりがちないまこそ、おすすめしたい一品です。

⇒ライソン ホームロースターLITHON 焙煎機 KLRT-001B


追記:
おいしいコーヒーのためにはコーヒーミル選びや淹れ方もほんとうに重要です。
よろしければ下記もぜひご覧ください。

失敗しがちなコーヒーミルの正しい選び方を解説しています:

絶対失敗しないコーヒーミルの見分け方 + プロもすすめる7定番
絶対失敗しないコーヒーミルの見分け方 + プロもすすめる7定番
2015年3月12日
['20/5/6更新] 外出自粛で楽しみが減るなか、せめて自宅でおいしいコーヒーくらい味わいたいものですよね。 なのにコーヒーミルの選び方の記事のほとんどが、「それ買っちゃダメでしょ」という商品ありきで作られている事実をご存じでしょうか? コーヒーミルには、コーヒー豆が台無しになるかおいしく挽けるか、決定的な判別法があります。 本稿では、科学的においしいコーヒー抽出法を起点に、商品テストもあわせて確認。 失敗しないコーヒーミルの選び方がわかるほか、具体的なおすすめを商品7点を、ロングセラーや新定番から精選してご紹介します。
2015年3月12日


わたしが目標としている、伝説の名店の淹れ方について:
伝説のコーヒー【大坊珈琲】を再現する
伝説のコーヒー【大坊珈琲】を再現する
2017年4月3日
かつて東京・青山に、「大坊珈琲店」という名店があったことをご存じでしょうか。 海外よりも独自の、そして先進的な発展を遂げた日本のコーヒー界で、「日本でいちばんおいしいコーヒー」といえばその名が上がった、伝説的な存在です。 通常のコーヒーより3〜5倍濃く、蒸らしはほとんどゼロ。 湯温はきっかり80℃と、やや低め。ネルフィルターで点滴のように抽出するスタイルは、常識破りかもしれません。 でもそのコーヒーをひとくち飲めば、誰もが虜になったものです。 この記事は、大坊さんのネルドリップコーヒーを、一定レベルで再現できる淹れ方をご紹介するものです。 あまりに大胆すぎる目標なので、着手からまとめるまで、3年間かかりました。 しかも1記事では終わらず、1万字近い記事が何本も。 これはその中核をなすものです。 恐ろしく長文ですが、おつきあいください。 (※トップの写真は 関戸勇氏撮影 書籍『大坊珈琲店』より引用) -- 私がはじめて大坊珈琲店を訪れたのは、80年代のなかば。 コーヒーの味に目覚めたばかりの、生意気な学生のころでした。 往時のお店は、表参道交差点そばの雑居ビルの2階にありました。 狭く急な階段をのぼると木枠のドア、その脇には季節の草花がいけられた小さな花台。 13坪しかない店内で、手前が反り返った無垢板のカウンターが目を引きます。 インテリアの隅々にご主人 大坊勝次さんの目くばりが行き届き、まるで佗茶の茶室か禅僧の庵か、といった趣でした。 味の表現はむずかしいのですが、とにかく濃厚。 なのにあくまでまろやかで馥郁たる香気を含み、これまでの常識が覆されるコーヒーでした。 以来30年ほど、近くを通ると吸い寄せられるようにおじゃましたものです。 ところが、老朽化したビルの取り壊しで2013年に閉店。 今に至るも、再開のお知らせはないようです。 しかし、いちど大坊さんのコーヒーを味わってしまうと、もうあの味なしでいることなどできません。 なんとか自分の手で再現できないだろうか。 …暗中模索をはじめました。 はじめは見よう見まねで。 そして閉店を機に、腰を据えて3年。 半生をかけてコーヒーと向き合ってきた名人に伍するなど、根本から無理な話です。 しかし完全再現は不可能でも、「これ大坊さんのコーヒーみたいだね」といえるレベルなら、誰でも到達可能なところまで固まったと思います。 その結果、世界でもほぼ例を見ない、奇妙な方法に落ち着きました。 ご本人の公認ではありませんし、精緻な手業は微塵もない、なんとも即物的な淹れ方です。 でも、特別な鍛錬なしで「大坊さんのネルドリップコーヒー」を再現できる淹れ方として、いまのところこれ以上のものはないと思います。 長文になってしまいましたが、どうかおつきあいください。 昔日を知るかたには、あの味の片鱗を。 知らないかたには「世の中にはこんなコーヒーがあるんだ」「大坊さんってこんなコーヒーなんだ」と知っていただく機会となれば幸いです。
2017年4月3日

※各商品は投稿された時点での情報になります。現在店舗にて取り扱っていない場合もございますので、ご了承ください。



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2020年3月24日 22:58
ええええええええええっ!おうちで家電感覚で自家焙煎ができるんですか!? すごい!!ニッチな調理器具に足を止めずにはいられませんでした。 これから温かくなるので、延長コードでベランダで、やってみたい♪と、思いました。
2020年03月25日 00:05:19
コメントありがとうございます! ロースト時に音と匂いと煙が出るのはアレですが、焙煎状態で売られているコーヒー豆とは段違いの味が楽しめます。
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